映画と本の『たんぽぽ館』

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メアリーの総て

2019年07月07日 | 映画(ま行)

女であることの不幸

* * * * * * * * * *


ゴシック小説の古典的名作「フランケン・シュタイン」の作者、
メアリー・シェリーのストーリーです。


19世紀イギリス、メアリー(エル・ファニング)は小説家を夢見ていました。
ある時、詩人のパーシー・シェリー(ダグラス・グース)と恋に落ちましたが、
なんと彼には妻子があったのです。

しかし、気持ちは冷めやらず、ついに駆け落ち。
メアリーは子供を生みますが借金まみれの生活のうちに、子供を亡くしてしまいます。
それでも結婚生活を続けるうち、二人は詩人バイロンと知り合い、
スイスの彼の別荘で客人たちが退屈しのぎに怪談を書いて見せ会う約束をします・・・。

メアリーは聡明で自立心に溢れた女性なのですが、
しかしイケメンの詩人には弱かった・・・。
なにしろその時のメアリーが16歳。
男を見分ける目などあろうはずもありません。
妻とまだ幼い子供がいながら、それを隠して他の女性と関係を持つような男。
こんな男は同じことを何度も繰り返すに違いないのに・・・。



そしてまた驚いたのは、この二人の駆け落ちに、
メアリーの義妹、クレアが一緒についてきてしまったことです。
彼女もちょっと変わっていて、刺激的なことが大好き。
やけに厳格な彼女の母のそばにいるのがよほど嫌だったのかもしれませんね。
しかしそんな彼女もまた、親しくした男の子を身ごもるも
「単なる遊びだった」と冷たくはねのけられてしまうのです。



また、18歳のメアリーが「フランケン・シュタイン」を書き上げ、出版社に持ち込んでも相手にされません。
若い女性がこんな物語を描くということを信用してもらえなかったのです。



本作はつまり「女であること」の不幸の物語なのです。
不実な男たちによって左右されてしまう女の人生。
なんて生きにくいことか・・・。
こんな社会でも必死で自身の道を歩もうとするメアリーを愛しく思います。
でもそうした苦い体験がなければ名作は生まれなかったのかもしれません。

メアリーの義母を演じていたのがジョアンヌ・フロガット、
あの「ダウントン・アビー」のアンナですね!

メアリーの総て [DVD]
エル・ファニング,ダグラス・ブース,トム・スターリッジ,ベル・パウリ―,スティーヴン・ディレイン
ギャガ

<J-COMオンデマンドにて>
「メアリーの総て」
2017年/イギリス・ルクセンブルク・アメリカ/121分
監督:ハイファ・アル=マンスール
出演:エル・ファニング、ダグラス・グース、スティーブン・ディレイン、ジョアンヌ・フロガット、ベン・ハーディ
女性の生き辛さ★★★★★
満足度★★★.5



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