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今日も嫌がらせ弁当

2019年07月08日 | 映画(か行)

意地っ張りの母と娘

* * * * * * * * * *

ブログが評判となったものを映画化したもの。



次女・双葉(芳根京子)と暮らすシングルマザーのかおり(篠原涼子)。
双葉は反抗期に突入し、かおりが何をきいてもろくに返事もしません。
そんな娘に業を煮やしたかおりは、「嫌がらせ」として、
双葉の嫌がるキャラ弁を毎日作り続けることにしましたが・・・。

私、以前聞いたことがあるのですが、子供をグレさせたくなければ
毎日美味しいものをお腹いっぱい食べさせなさい、と。
レストランで豪華な食事をするとか、贅沢な食材を使うとかではありませんよ。
手作りのできたての食事を一緒に食べること。
確かにそんな生活をしていたら子供は非行に走りようがないような気もします。



さて、でも本作の双葉はグレてヤンキーになってしまったわけではないのです。
普通に反抗期なんですね。
親に何も話さなくなってしまうのは、まあ、言ってみれば成長過程で当たり前のこと。
それでも、あまりにも拒絶されているように感じる母親としては、
何かしたくなるというのも普通の心理。
しかしそのやり方が尋常ではない。
毎日毎日、手の混んだキャラ弁作り。
しかも総て内容が異なる。
それを双葉の高校在学中3年間。
しかもシングルマザーのかおりさん、
仕事を掛け持ちした上に内職までしているのです。
全く、頭が下がります。
これでグレたりしたら罰が当たります。
でも双葉は口には出さずとも、本当は感謝しているのですよね。
常にお弁当完食なのがその証。
つまりは、意地っ張りの母と娘だということです。



かおりは娘たちがまだ幼い頃、
大きくなったらみんなでレストランを開こう、と話していました。
双葉が将来のことに悩みつい
「小さいころ約束したように、一緒にレストランを開こう」と言い出したときに、
かおりは拒むのです。
双葉が東京で就職してしまったらひどく寂しくなってしまう、
そんな気持ちはありながら、
そして、双葉が小さい時の約束を覚えていてくれたことを嬉しく思いながら、
でもそれはできない、と、きっぱり言う。
く~っ、このお母さんの心意気に感動します。
だってこのときの双葉の言葉は、自分の不安から出た「逃げ」の言葉だと、
かおりにはわかっているからなのです。
私も、こんな度量が大きい愛情いっぱいの母親になりたかった・・・。
かなり手遅れ・・・。

この舞台が八丈島というのがナイス。
風光明媚な光景と温かな人々の交流、その雰囲気だけで癒やされていく感じがします。
もちろん、紹介されるキャラ弁も楽しい!! 
毎日フタを開けるのが楽しみですよねえ。
作中では双葉本人よりも級友たちのほうが楽しみにしていました。


芳根京子さんは、実のところNHKの朝ドラで
あまりにも役柄が地味だったのでソンをしたのではないかと思うのです。
この間やっていたTVドラマ「チャンネルはそのまま」や本作、個性的な役でなかなかいい。
とりあえず朝ドラで名前と顔を多くの人に覚えられた
というのはかなりの利点ではありますけれど。
本当の活躍はこれからですね。

<ユナイテッド・シネマにて>
「今日も嫌がらせ弁当」
2019年/日本/106分
監督・脚本:塚本連平
出演:篠原涼子、芳根京子、松井玲奈、佐藤寛太、岡田義徳

インスタ映えキャラ弁度★★★★★
母娘の絆度★★★★☆
満足度★★★.5



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