映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ヒトラーに屈しなかった国王

2019年03月27日 | 映画(は行)

孤独と重圧の中で

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私、なんだかんだと言って、この時代の物語が好きなんですねえ・・・。
戦争の物語は、人間性を問われる場面が多くて、つい熱が入ってしまいます。
二次大戦終了後から70年以上にもなるのに、未だに語り継がれているわけですよね。

1940年4月9日。
ノルウェー首都オスロにナチスドイツが侵攻。
ノルウェーは一応中立国ということになっていたのに、
そんなことはお構いなしでドイツ軍が乗り込んできた。
ノルウェー軍も交戦しますが、ドイツの圧倒的な軍事力で主要都市が次々と陥落していきます。
ドイツ軍はノルウェーに降伏を要求。
ドイツ国王・ホーコン7世とドイツ公使の交渉の場が持たれます。
国王は、ナチスの要求に従うか、抵抗を続けるか、決断を迫られるのです。

王なのだから、最後の決断を下すのは当然・・・と思われるかもしれませんが、
このときのノルウェーは議会による民主政治が敷かれています。
ホーコン7世は議会制民主国家に招かれた国王だったのですね。
そのため王自身は、民意を得ずに自分の独断で物事を決めるのは良くないと信じ、
これまでもそう務めてきたのです。

しかしヒトラーの意により、あくまでも国王が即刻判断を下すべし!と迫ってきた。
国を愛するがゆえに、簡単にドイツなどに屈したくはない。
しかし突っぱねた場合、国土と国民にどれだけの被害が及ぶことか・・・。
その決断の重圧と、誰にも頼ることができない孤独・・・
こんな立場にはつくづく立ちたくありませんねえ・・・。

ここに登場する外交官も、長くオスロで務めていたわけですから、
軍部の動きを苦々しく思いながら、なんとか平和裏にことを収めたいと必死なのです。
この頃はヨーロッパ中が、多かれ少なかれこんな試練を乗り越えていたわけですね。
それぞれの国の事情を知ることもまた勉強になります。

ヒトラーに屈しなかった国王 [DVD]
イェスパー・クリステンセン,カール・マルコヴィクス,アンドレス・バースモ・クリスティアンセン,ツヴァ・ノヴォトニー,カタリーナ・シュットラー
TCエンタテインメント

 

<WOWOW視聴にて>
「ヒトラーに屈しなかった国王」
2016年/ノルウェー/136分
監督:エリック・ポッペ
出演:イェスパー・クリステンセン、アンドレス・バースモ・クリスティアンセン、カール・マルコビクス、カトリーナ・シュトラー、ツバ・ノボトニー
歴史発掘度★★★★☆
信念度★★★★☆
満足度★★★.5