映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

サムライマラソン

2019年03月15日 | 映画(さ行)

豪華キャストの無駄遣い

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もちろん、佐藤健さん目当てで見ました。
「超高速!参勤交代」のようなコミカルな内容を予想していたのですが、これが思いの外重い・・・。

日本のマラソンの発祥と言われる「安政遠足(とおあし)」のエピソードを元にしています。



外国の脅威が迫る幕末。
安中藩主・板倉勝明(長谷川博己)は、
藩士を鍛えるため15里の山道を走る「遠足」
(「えんそく」ではなくて、「とおあし」と読む)を開催することにします。

公儀隠密として密かに藩の動向を徳川家に伝える役を代々受け継いできた唐沢家の甚内(佐藤健)。
しかし彼の手違いで、安中藩取り潰しを狙う刺客が、
遠足で藩士不在の城下に送り込まれてしまいます・・・。
藩の危機を知った甚内は、計画を阻止すべく走り出しますが・・・。

優勝者にはのぞみの報奨が与えられる遠足ということで、
八百長を仕掛けてみたり、近道を走ろうとしたりと画策を巡らすものがあらわれる。

そしてまた安中の姫(小松菜奈)は、家出で関所を通り抜けるために男装して出場する・・・など、
あまりリアリティを感じさせない部分があり、
そうであるならば、いっそもっとコミカルに仕立てたほうが良かったのではないかと思えるのです。

 

姫との結婚を狙う辻村平九郎(森山未來)は、途中で駕籠に乗ったり近道したりと、
コスいヤツなのですが、いざ、藩の危機が迫れば本気で殿を守ろうとする。
そうした切り替えを際立たせたいならば、やはり前半はもっとすっとぼけた感じにするべきだった。

せっかくの長谷川博己さんも終始難しい顔だし・・・。
甚内も実は割と粗忽者・・・、
しかし自分の役割と藩への愛との板挟みに悩んだ挙げ句の最後の行動・・・、
と、もっとジタバタもがく人物像が欲しかった。
本作中では何を考えてるのかよくわからない。
クールではあるけれど、魅力がない。



・・・ということで、豪華キャストの無駄遣いな作品。
残念です。

<シネマフロンティアにて>
「サムライマラソン」
2019年/日本/104分
監督:バーナード・ローズ
原作:土橋章宏
出演:佐藤健、小松菜奈、森山未來、染谷将太、青木崇高、竹中直人、豊川悦司、長谷川博己
満足度★★☆☆☆