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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ

2017年03月28日 | 映画(か行)
世界の壁にとらわれないで



* * * * * * * * * *

ガブリエル・バンサンによる
絵本「くまのアーネストおじさん」シリーズが原作のアニメーション映画です。
残念ながら、私は原作を見たことはないのですが、
柔らかな色使いのこの絵は、原作の持ち味を生かしているようです。



まずは、本作の世界観が面白い。
地上はくまの世界。
地下がねずみの世界です。
どちらも人間界と同じように、近代的文明の中で生活しています。
くまは大きさからすると、ねずみなど問題にならないとは思うのですが、
そこは人間界と同様で、ご婦人方はねずみを見るとキャーキャー騒ぎ立てる。
まあ、どちらかと言えばねずみは嫌われ者。
一方ねずみ界では、くまは獰猛で
ねずみを見れば捕まえて食べようとすると信じられている。
双方隣り合わせ(上下ですが)にいながら、
決して交わろうとはしません。



さて、くまのアーネストは人里離れた山の中に一人で住んでいます。
食えない音楽家。
いつもお腹をすかせていて、
たまに街へ出ては音楽を奏でて人々から恵みを受けています。
そしてねずみの少女、セレスティーナは
絵を描くことが大好きなのだけれど、周りの人々からは歯医者になれと言われています。
しかしどうにも成績が悪い。
そんな二人が、ある時出会って・・・。



どちらも各々の世界では孤独なはみ出し者。
そんな二人が寄りそって生きるようになります。


本作は人によっていろいろな見方があると思います。
この隔てられたふたつの世界は、国境のあちらとこちらのことであるとか。
もしくは、人種や宗教の隔たりのことであるとか。
または、音楽や絵画を創作する芸術家のことであるとか。
拝金主義と自由気ままの生き方のことであるとか。



大人が決めつける社会の「枠」のようなもの。
そんなものにとらわれず、自分らしく自分の感覚で物事を捉えようよ・・・、
そんなことが子どもたちに伝わるといいなあ。

くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ [DVD]
ギャガ
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「くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ」
2012年/フランス/80分
監督:バンジャマン・レネール
声:ランベール・ウィルソン、ポーリーン・ブロナー
比喩的世界観度★★★★★
満足度★★★★☆