一家に一冊
![]() | 憲法なんて知らないよ (集英社文庫) |
池澤 夏樹 | |
集英社 |
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憲法は国の性格を決める。
やさしい国、強い国。
卑屈な国やケンカ好きな国。
この憲法のもとで、半世紀の間、日本はケンカをしない穏やかな国だった。
そのせいでぼくたちは損をしたか得をしたか。
今、憲法を論じよう。
その土台として、自分たちのふだんの言葉に書き直したのが、この新訳憲法。
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私が図書館で借りたこの単行本には
“憲法なんて知らないよーというキミのための「日本の憲法」”
というように副題がついています。
池澤夏樹さんによる日本国憲法の、口語訳。
憲法はつまり「国としてまとまってやっていくための基本方針」であるわけですが、
実のところ私はしっかりと読んだことはありません。
そこで用いられている言葉はとっつきにくいですもんね・・・。
そこで、誰にも読みやすい形にしてくれたのがこの本です。
もちろん、原文も、元になった英文も載っていますので、
うんと詳しく知りたい方はそちらを見ることもできます。
この憲法ができた経緯のことにも「まえがき」のところで触れています。
だから受け取り方は自分次第。
決して一方向へ導こうとするものではありません。
私などはやはりいちばん気になってしまう第9条。
全文引用してしまいましょう。
第二章 戦争の放棄
第九条
①この世界ぜんたいに正義と秩序をもとにした平和がもたらされることを心から願って、
われわれ日本人は、国には戦争する権利があるという考えを永遠に否定する。
国のあいだの争いを武力による脅しや武力攻撃によって解決することは認めない。
②この決意を実現するために、
陸軍や海軍、空軍、その他の戦力を持つことはぜったいにしない。
国というものには戦争をする権利はない。
まあ、原文を読んでも特別解釈が難しいというものではないと思うのですけれど・・・。
こんな単純明快なことなのに、
どうして、こんなに複雑な世相になってしまっているのか。
ほとんど全世界で
「国のあいだの争いを武力による脅しや武力攻撃によって解決すること」
を認めていますよね。
というか、認めるも何も、当たり前。
こんなことを言っているのは日本だけ。
全くお人好しだけれど・・・
やはり世界遺産にすべきと思うくらい崇高だと思います。
今あるものは仕方ないけれども、
少しでもこの憲法の言葉に沿うように、努力すべきなのではないかなあ・・・。
憲法を変えるのではなく。
聖書じゃないけれど、一家に一冊、置いておくべきかも。
「憲法なんて知らないよ」池澤夏樹 集英社
満足度★★★★☆
図書館蔵書にて