モノクロの効果

* * * * * * * * * *
本作、ずっと「見なくては!」と思っていたのに、
ついに今まで見ないでいたというのは、この長さのためなのですが・・・
195分。
考えてみたらそれくらいの長さの映画ならざらにありますね・・・。
ともあれ、この度やっと年貢の納め時という感じで見ました。
しかし1993年の作品?
もう20年以上前なんですね。
道理でリーアム・ニーソンも若いはずだ・・・。
ベン・キングスレーなんかはじめ誰だかわからなかったワ~。
1939年、ポーランドにドイツ軍が侵攻。
ユダヤ人がゲットーでの居住を強制されます。
そんな頃、ドイツ人オスカー・シンドラー(リーアム・ニーソン)が、
戦争の需要品を生産・販売することで一旗揚げようと
ポーランド南部、クラクスの街にやってきます。
彼は、金に物を言わせて軍の幹部に取り入り、ユダヤ人を雇用する許可を得ます。
ユダヤ人だと賃金が格安なのです。
シンドラーはユダヤ人イザック・シュターン(ベン・キングスレー)を会計士に据え、
軍用ホーロー容器の事業を始めます。
この時のシンドラーは、女好きで商売第一、かなりの俗物というイメージです。
まもなく、ゲットーは解体。
ユダヤ人たちは収容所へ入れられますが、
それでも、ユダヤ人たちは工場で働き続けます。
しかしこの収容所にアーモン・ゲート(レイフ・ファインズ)という所長が赴任。
彼はやや性格破綻者のように思われるのですが、全く気まぐれにユダヤ人を射殺。
この、人を人とも思わないアーモンの行動に、怒りを感じ始めるシンドラー。
そして更に戦局が厳しくなってきた頃、
ここのユダヤ人もアウシュビッツの収容所へ送られることになりますが・・・。
シンドラーはチェコに工場を移すということにして、ユダヤ人労働者を要求。
必要な人員の「リスト」を作ります。
そしてそのために多額の私財を賄賂として軍の高官に差し出すのです。
結局、このリストのおかげで、1200名のユダヤ人を救い出すことができたのです。
本作は実話を元にしていて、全編モノクロ。
当時の時代性を表すことに成功しています。
しかし、ごく一部に、色が付いているところが。
それはユダヤの女の子のコートの赤い色。
ゲットーでドイツ兵がユダヤ人を拘束し収容所へ送ろうとするシーンです。
一人の女の子が兵のすきを見てこっそり建物の中に入っていこうとするシーン。
それをシンドラーは目撃してしまうのですが、
モブシーンなのになぜか私たちもその子に目が行ってしまう。
なぜかといえば、その子のコートだけが赤い色。
私は、なぜそこに目が行くのか・・・と考えてから、はじめてそこにだけ色が付いていることに気付きました。
そしてこの赤い色をシンドラーと私たちは、
また後で実に悲惨な場面で目にすることになります。
この演出にはちょっとやられました。
そしてもう一つ、色がついていたのはユダヤの祈りのシーンで灯されるろうそくの炎。
なるほど、モノクロというのはこういう効果を出す事もできるんですね。
始めはただ単に安上がりだから、ということでユダヤ人を徴用していた。
けれども、少なくともシンドラーの工場にいれば彼らは安全だと確信し、
次第にユダヤ人の救出が彼の責務であるようにシンドラーは思い始めるのです。
こういう変化が丁寧に描かれていたと思います。
でも本作、実際はシンドラーを美化しすぎているのかもしれません。
ではあっても、この映画は一つの悲惨な過去を十分に私たちに伝えています。
結局は「エンタテイメント」なのかもしれないけれど、でも知らないよりはマシです。
こういう入り方でもいい。
若い人たちが戦争やホロコーストをきちんと知るきっかけとなればいいんじゃないかな、
と私は思います。
「シンドラーのリスト」
1993年/アメリカ/195分
監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:リーアム・ニーソン、ベン・キングスレー、レイフ・ファインズ、キャロライン・グッドオール
歴史発掘度★★★★★
満足度★★★★☆

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本作、ずっと「見なくては!」と思っていたのに、
ついに今まで見ないでいたというのは、この長さのためなのですが・・・
195分。
考えてみたらそれくらいの長さの映画ならざらにありますね・・・。
ともあれ、この度やっと年貢の納め時という感じで見ました。
しかし1993年の作品?
もう20年以上前なんですね。
道理でリーアム・ニーソンも若いはずだ・・・。
ベン・キングスレーなんかはじめ誰だかわからなかったワ~。
1939年、ポーランドにドイツ軍が侵攻。
ユダヤ人がゲットーでの居住を強制されます。
そんな頃、ドイツ人オスカー・シンドラー(リーアム・ニーソン)が、
戦争の需要品を生産・販売することで一旗揚げようと
ポーランド南部、クラクスの街にやってきます。
彼は、金に物を言わせて軍の幹部に取り入り、ユダヤ人を雇用する許可を得ます。
ユダヤ人だと賃金が格安なのです。
シンドラーはユダヤ人イザック・シュターン(ベン・キングスレー)を会計士に据え、
軍用ホーロー容器の事業を始めます。
この時のシンドラーは、女好きで商売第一、かなりの俗物というイメージです。
まもなく、ゲットーは解体。
ユダヤ人たちは収容所へ入れられますが、
それでも、ユダヤ人たちは工場で働き続けます。
しかしこの収容所にアーモン・ゲート(レイフ・ファインズ)という所長が赴任。
彼はやや性格破綻者のように思われるのですが、全く気まぐれにユダヤ人を射殺。
この、人を人とも思わないアーモンの行動に、怒りを感じ始めるシンドラー。
そして更に戦局が厳しくなってきた頃、
ここのユダヤ人もアウシュビッツの収容所へ送られることになりますが・・・。
シンドラーはチェコに工場を移すということにして、ユダヤ人労働者を要求。
必要な人員の「リスト」を作ります。
そしてそのために多額の私財を賄賂として軍の高官に差し出すのです。
結局、このリストのおかげで、1200名のユダヤ人を救い出すことができたのです。
本作は実話を元にしていて、全編モノクロ。
当時の時代性を表すことに成功しています。
しかし、ごく一部に、色が付いているところが。
それはユダヤの女の子のコートの赤い色。
ゲットーでドイツ兵がユダヤ人を拘束し収容所へ送ろうとするシーンです。
一人の女の子が兵のすきを見てこっそり建物の中に入っていこうとするシーン。
それをシンドラーは目撃してしまうのですが、
モブシーンなのになぜか私たちもその子に目が行ってしまう。
なぜかといえば、その子のコートだけが赤い色。
私は、なぜそこに目が行くのか・・・と考えてから、はじめてそこにだけ色が付いていることに気付きました。
そしてこの赤い色をシンドラーと私たちは、
また後で実に悲惨な場面で目にすることになります。
この演出にはちょっとやられました。
そしてもう一つ、色がついていたのはユダヤの祈りのシーンで灯されるろうそくの炎。
なるほど、モノクロというのはこういう効果を出す事もできるんですね。
始めはただ単に安上がりだから、ということでユダヤ人を徴用していた。
けれども、少なくともシンドラーの工場にいれば彼らは安全だと確信し、
次第にユダヤ人の救出が彼の責務であるようにシンドラーは思い始めるのです。
こういう変化が丁寧に描かれていたと思います。
でも本作、実際はシンドラーを美化しすぎているのかもしれません。
ではあっても、この映画は一つの悲惨な過去を十分に私たちに伝えています。
結局は「エンタテイメント」なのかもしれないけれど、でも知らないよりはマシです。
こういう入り方でもいい。
若い人たちが戦争やホロコーストをきちんと知るきっかけとなればいいんじゃないかな、
と私は思います。
![]() | シンドラーのリスト スペシャル・エディション [DVD] |
リーアム・ニーソン,ベン・キングズレー,レイフ・ファインズ | |
ジェネオン・ユニバーサル |
「シンドラーのリスト」
1993年/アメリカ/195分
監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:リーアム・ニーソン、ベン・キングスレー、レイフ・ファインズ、キャロライン・グッドオール
歴史発掘度★★★★★
満足度★★★★☆