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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「テルマエ・ロマエⅤ」 ヤマザキマリ 

2012年10月27日 | コミックス
深遠なる“歴史”の意図に翻弄されるルシウス

テルマエ・ロマエV (ビームコミックス)
ヤマザキマリ
エンターブレイン


                 * * * * * * * * * 


前巻より長編ストーリーとなり、
現代日本からルシウスが帰れなくなってしまった・・・という話でした。


温泉地にすっかり馴染んだルシウス。
何故お馬さんとまで仲良くなってしまったのか。
その答えは本巻にありました。
それはさつきさんが、
ルシウスが本当に古代ローマ人であることを納得するためのものでもあるのですが、
著者の壮大な野望が隠されてもいたのです。


二頭立ての馬車(馬車じゃなくてチャリオットというらしい)のシーン、
私は思わず映画「ベン・ハー」を思い出したのですが、
それこそが著者の意図。
ここで、大スペクタクルシーンを描きたかったのですねえ・・・。
すごいです。
はまりました。


ルシウスとさつきのほんのりした恋らしきもの。
そしてそれを見守るさつきの祖父がまた大迫力。
なぜかトミー・リー・ジョーンズ似のこの祖父は、
すご腕の整体師で、義侠心溢れ、地元の見守り役。
さつきの気持ちを見抜いた彼は、勝手に鯛を買い込んで、
さつきの疑問符も素知らぬ顔でお祝いと決め込んだりする。
いやあ、なんとも笑いのツボをついてくれます。


純朴で口下手のルシウスは、さつきに花などをプレゼントしてみては・・・と、逡巡するのですが、
できそうでできない。
こんなところ、なぜかルシウスは西洋人というよりもいかにも日本人的。
もともと、日本人の精神構造に近いのですよね・・・。
だからこそ、時の道がつながったのかも。


この度は、明らかに何か"歴史"の意図によって、
ルシウスが日本にとどまらされたり、ローマに呼び戻されたりしています。
ルシウスの旅には深い意義がありそうです。


・・・で、なんとも盛り上がるラストで、
また"つづく"になっちゃうんですよ~。
あ~、また半年。
待ち遠しいことです。

「テルマエ・ロマエⅤ」ヤマザキマリ エンターブレイン
満足度★★★★★