20年に渡る手紙のやり取りの中で・・・
* * * * * * * * *
劇場未公開作品ですが、
今作の意義はひとえにアンソニー・ホプキンスとジュディ・デンチ出演作
ということに有りそうです。
とても地味な作品なので、日本で公開されなかったのもうなずけますが、
さりとて、本好きには共感するところも多々。
私は好きです。
ニューヨークに住む女性脚本家のヘレン・ハンフはとても本が好き。
それも新刊ではなく、イギリスの古書、
人から人へと渡り歩いたぬくもりのある本が好きなのです。
ところがニューヨークの古書店では、そういう本はとてつもなく高価。
売れない劇作家としてはとても手がでません。
そんな彼女は、直接イギリスの古書店に本を注文することにします。
ロンドンのマークス社。
この古書店がチャリング・クロス街84番地にあるというわけですね。
ここの古書店主は、可能な限り彼女の希望の本を探してくれて、
そして安価に本を送ってくれるのです。
書店とお客の事務的なやり取りのはずの手紙が
次第に文通のように、
互いの身の回りのことなどにも触れるようになってきます。
まるで文通のように、お互いの手紙を心待ちにするようになっていくのです。
映画では互いの身の回りの様子を交互に描写していきます。
今なら、メールで瞬時に用が済んでしまいます。
映像付きでリアルタイムで話すことだって簡単。
だからこそ、今作のようにゆったりとしたやり取りがなんだか懐かしく感じられます。
ニューヨーク~ロンドン間は手紙でもかなりの日数を要したでしょうに。
事の始まりは1949年。
英国は戦後、食料などがまだ配給制だったのですね。
思うように食料が手に入らないので、
ヘレンがソーセージなどの缶詰を古書店宛に送ったりしています。
エリザベス女王の即位式があったり、
コロンビア大学の学園紛争があったり・・・
英国の近代史を追いながら、この手紙のやり取りが20年近くも続いていくのです。
でもヘレンは一度も英国に足を運ばないまま時がすぎる・・・。
ヘレンは独身ですが、古書店主の方には奥さんも子どもも居ます。
だからこれは男女の愛というわけではなくて、
真実の友愛。
食料を送ってもらったりしているので、
他の店員や、奥さんから手紙を受けたりもします。
手紙だけのやり取りで20年。
まるで家族のようにお互いのことを知っていながら、一度もあったことがない。
なんだか不思議だけれど、人と人との絆というのはそういうこともあるから素敵なんですよね。
心の距離は、実際の距離とは関係ない。
一緒に暮らしている夫婦でも、北極と南極ほど心が離れている場合だってありますしね。
なんだかほんのり温かく、
けれど、もの悲しくもある、良作でした。
1986年/アメリカ/95分
監督:デヴィッド・ジョーンズ
原作:ヘレン・ハンフ
出演:アン・バンクロフト、アンソニー・ホプキンス、ジュディ・デンチ、ジャン・デ・ベア
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アンソニー・ホプキンズ,アン・バンクロフト,ジュディ・デンチ,ジーン・デ・ベアー | |
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント |
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劇場未公開作品ですが、
今作の意義はひとえにアンソニー・ホプキンスとジュディ・デンチ出演作
ということに有りそうです。
とても地味な作品なので、日本で公開されなかったのもうなずけますが、
さりとて、本好きには共感するところも多々。
私は好きです。
ニューヨークに住む女性脚本家のヘレン・ハンフはとても本が好き。
それも新刊ではなく、イギリスの古書、
人から人へと渡り歩いたぬくもりのある本が好きなのです。
ところがニューヨークの古書店では、そういう本はとてつもなく高価。
売れない劇作家としてはとても手がでません。
そんな彼女は、直接イギリスの古書店に本を注文することにします。
ロンドンのマークス社。
この古書店がチャリング・クロス街84番地にあるというわけですね。
ここの古書店主は、可能な限り彼女の希望の本を探してくれて、
そして安価に本を送ってくれるのです。
書店とお客の事務的なやり取りのはずの手紙が
次第に文通のように、
互いの身の回りのことなどにも触れるようになってきます。
まるで文通のように、お互いの手紙を心待ちにするようになっていくのです。
映画では互いの身の回りの様子を交互に描写していきます。
今なら、メールで瞬時に用が済んでしまいます。
映像付きでリアルタイムで話すことだって簡単。
だからこそ、今作のようにゆったりとしたやり取りがなんだか懐かしく感じられます。
ニューヨーク~ロンドン間は手紙でもかなりの日数を要したでしょうに。
事の始まりは1949年。
英国は戦後、食料などがまだ配給制だったのですね。
思うように食料が手に入らないので、
ヘレンがソーセージなどの缶詰を古書店宛に送ったりしています。
エリザベス女王の即位式があったり、
コロンビア大学の学園紛争があったり・・・
英国の近代史を追いながら、この手紙のやり取りが20年近くも続いていくのです。
でもヘレンは一度も英国に足を運ばないまま時がすぎる・・・。
ヘレンは独身ですが、古書店主の方には奥さんも子どもも居ます。
だからこれは男女の愛というわけではなくて、
真実の友愛。
食料を送ってもらったりしているので、
他の店員や、奥さんから手紙を受けたりもします。
手紙だけのやり取りで20年。
まるで家族のようにお互いのことを知っていながら、一度もあったことがない。
なんだか不思議だけれど、人と人との絆というのはそういうこともあるから素敵なんですよね。
心の距離は、実際の距離とは関係ない。
一緒に暮らしている夫婦でも、北極と南極ほど心が離れている場合だってありますしね。
なんだかほんのり温かく、
けれど、もの悲しくもある、良作でした。
1986年/アメリカ/95分
監督:デヴィッド・ジョーンズ
原作:ヘレン・ハンフ
出演:アン・バンクロフト、アンソニー・ホプキンス、ジュディ・デンチ、ジャン・デ・ベア