東京の恵比寿ガーデンプレイスの「ザ・ガーデンルーム」では「写真家チェ・ゲバラが見た世界」
という写真展が催されている。史料としても一級品だと思うが、カットも凝ったもので、例えば、
陸上競技のショットにおいて走り高跳びの選手がバーを飛び越える瞬間を正確に捉えていたり
している。
ゲバラはセルフポートレートもよく撮っているのだが、その中で気になったものが2番目の
妻のアレイダ・マルチと一緒に1966年に撮られた写真である。ゲバラとアレイダは一緒に
本を読んでいるのであるが、その本はストリンドベリ(Strindberg)の「戯曲(TEATRO)」
である。これがセルフポートレートであることを勘案するならば、ゲバラはこの写真自体が
「演劇的」であると仄めかしているのであろう。このような洒落っ気もあるからいまだに
人気の的であり、実際に、私が訪れた時には入場制限がかかっており入口に長蛇の列が
できていた。
(タンザニア 1965年)