MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『スパイダーマン:ホームカミング』

2017-08-16 00:03:07 | goo映画レビュー

原題:『Spider-Man: Homecoming』
監督:ジョン・ワッツ
脚本:ジョナサン・ゴールドスタイン/ジョン・フランシス・デイリー/ジョン・ワッツ
    クリストファー・フォード/クリス・マッケナ/エリック・ソマーズ
撮影:サルヴァトーレ・トチノ
出演:トム・ホランド/マイケル・キートン/ジョン・ファヴロー/ロバート・ダウニー・Jr
2017年/アメリカ

 忍耐の「尊さ」について

 『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』(アレックス・カーツマン監督 2017年)、『トランスフォーマー/最後の騎士王』(マイケル・ベイ監督 2017年)と続けて観たためもあったのか、戦闘シーンが意外と地味に見えたのだが、アイアンマンと今回のスパイダーマンの戦い方は似て非なるものである。スパイダーマンが関わる事件は高校の同級生のリズの父親であるエイドリアン・トゥームスが起こしたもので、要するにアイアンマンが「警察署長」であるならば、スパイダーマンは交番勤務の「巡査」であり、実際に、スパイダーマンが関わった今回の事件で死者は出ておらず、近所のやんちゃな知人を宥めすかしたようなものである。つまりスパイダーマンは「原点に戻った(Homecoming)」のであり、その戦闘スタイルの違いを自覚したからこそ今回ピーター・パーカーはトニー・スタークとタッグを組むのを遠慮したのではないのだろうか。だから続編で2人の関係がどうなるのか気にかかる。
 ラストのシーンは説明が必要だと思う。最後にキャプテン・アメリカが登場するのであるが、これはもともとピーター・パーカーの高校で使われている道徳のヴィデオ教材である。それが何故エンドクレジットが終わった後で流されるのか。キャプテン・アメリカはヴィデオの中で「忍耐(patience)」の尊さを語る。我慢しても報われない時があると。それはもちろん不良の高校生のためのものではあるが、本作が終わった後も席を立たずに長いエンドクレジットを観続けている私たち観客にも当てはまるからなのである。これが正真正銘の「ギャグ」である。


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