原題:『The Mummy』
監督:アレックス・カーツマン
脚本:デヴィッド・コープ/クリストファー・マッカリー/ディラン・カスマン
撮影:ベン・セレシン
出演:トム・クルーズ/ソフィア・ブテラ/アナベル・ウォーリス/ジェイク・ジョンソン/ラッセル・クロウ
2017年/アメリカ
「ジキルとハイド」になり損ねた主人公について
古代エジプトにおいてアマネット王女は皇位継承順位第1位だったのだが、父親のメネプトレ大王に男児が生まれ王位に就けないことになったことから死神のセトに魂を売り恋人に罪を擦り付けようとするものの、怨みを果たす寸前で神官たちに見破られてミイラにされたのである。
舞台は変わり現代のイラクにおいて主人公でアメリカ軍の軍曹のニック・モートンが考古学者のジェニー・ハルセイとアマネット王女の墓を発見したことから事件が起こる。現代に甦ったアマネットは古代エジプトで成しえなかった怨みを果たそうと試みる。つまりアマネットは、ニックをメネプトレ大王に、ジェニーを男児を産んだ継母と見立てて怨みを果たすことになるはずなのだが、アマネットは逆にセトの力を得たニックによって再びミイラにされてしまうのである。
どうもアマネットに対して余りにも冷淡で、自分自身をダガーで刺して「悪」と化したニックの後日談も描かれることなく何かと消化不良気味のストーリーに共感しづらい。意外と物語設定の詳細の詰めが甘く、「リブート作品」を謳うのであるならば、もっと脚本を洗練させるべきだと思う。