MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『幼な子われらに生まれ』

2017-08-29 18:29:15 | goo映画レビュー

原題:『幼な子われらに生まれ』
監督:三島有紀子
脚本:荒井晴彦
撮影:大塚亮
出演:浅野忠信/田中麗奈/南沙良/鎌田らい樹/新井美羽/宮藤官九郎/寺島しのぶ
2017年/日本

絶えず立場が変化する家族のバランスの取り方について

 2017年6月、主人公でサラリーマンの田中信は年に4回しか会えない前妻との子供の沙織と遊園地で楽しんでいるのであるが、4年前に再婚した身重の奈苗と彼女の連れ子の薫と恵理子との関係を優先するために会社の同僚との付き合いの悪さから出向を命じら倉庫管理に回されてしまう。
 小学校6年生の薫は反抗期で、DVが離婚の原因で薫自身も殴られた経験があるにも関わらず実の父親の沢田と会いたいと駄々をこねるのは信と奈苗の間に子供ができたり、信が沙織と会ったりしていることが原因であるだろう。
 13年前に自分のキャリアに支障が生じるということで自分に内緒で堕胎し、結局子供に対する見解の相違が元で信が当時大学の助手をしていた友佳と別れたはずなのであるが、自身が会社の閑職に追いやられ、薫の理不尽なわがままに耐えられなくなった信は奈苗に子供を堕して別れようと口走ってしまうのである。
 一方で、沙織は新しい父親が末期の癌を患っているのであるが、何故か悲しめないと信に告白する。ところが信と一緒に危篤となった父親の病室に入ったことで一気に悲しみに溢れて号泣するのである。
 この、再婚による家族がそれぞれの家族間の頼らざるを得ない微妙なバランスの描写が地味ながら素晴らしいと思う。


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