南相馬市からのたより

　私は広島出身ですし、ツレアイの転勤先も南の方ばかりでしたので北の方にはあまりご縁はないのですが・・・

　私たち夫婦の初めての転勤先のタイでご一緒だった年上のお友達のＳさんは　退職後奥様とご一緒に故郷の福島県に戻られていました。
　その後は　年賀状のやりとりくらいでしたが　互いの近況は知らせ合っていました。

　３月１１日の地震のあと、Ｓさんのことは気になったのですが勝手にＳさんの故郷のあたりは地震の影響はなかったはず、と思い込んでしまっていました。

　つい先日、Ｓさんから喪中欠礼のハガキが届きました。
その時、Ｓさんの住所とお便りを見てぎょっとしました。

　Ｓさんのお宅は南相馬市にあり、津波はＳさんのお宅のすぐそばまでやってきたのだそうです。

　びっくりして今日Ｓさんに電話をして十数年ぶりにお話をしました。

　Ｓさんの奥様は今年初めに体調を崩され病院に入院していらしたそうです。
地震の日、Ｓさんは奥様のところへ行こうと準備をされていた時にあの地震が起こったのだそうです。
　あまりの揺れのひどさに奥様のことが心配になり車に乗って病院へ向かう途中で海から茶色の水が溢れてくるのが見えて　これは津波だ、と気付き大急ぎで逃げられたそうです。

　その後、原発事故の影響で避難を余儀なくされ、奥様と郡山へ避難されていたそうです。

　その間、なんとＳさんと奥様のお名前は新聞の行方不明者欄に載せられていたそうです。　Ｓさんの元部下が心配してあちこちを探され、やっと出会うことができ、Ｓさんは自分が行方不明者になっていることを知って驚かれたそうです。

　秋になりやっとご自宅に戻られたそうですが　病気の奥様を抱えどんなに大変な日々を送られていたのでしょう。胸が痛みました。
　地震の時も原発事故の時も何の情報も入らなかったとか・・・
きっと不安でいっぱいだったのではないでしょうか。

　来年が穏やかな年でありますように、と思わず電話を切る前にお話ししました。

本当にそう思います。
　来年が穏やかで平和な年となりますように・・・