どこから入ってきたかわからなかったが、「ホタルガ」(マダラガ科)がわが家に居座ってしまった。飛び方がゆらゆらしているのであまり邪魔にはならない。他の昆虫だとかしましい動きになって夜の平穏が崩れてしまう。そのホタルガはそのうちに手紙を読みだした。ホタルガはなかなか好奇心が強いのがわかる。
それからは畳の上で寝てしまったように動かない。近くを歩いても逃げない。あやうく踏みそうになる。このままだと、ずっと居候になってしまうばかりか、とにかく踏んでしまいそうになるので、当局の強制執行を借りて外に排除した。とにかく、外にいるときも向うから近寄ってくるのだから不思議だ。人懐っこいのだろうか。ふつうの昆虫は警戒心が強くて近寄ってくることはめったにない。
ホタルガは、毒のある蛍に擬態することで外敵から身を守る。その生き残り戦略が成功しているせいなのだろうか、警戒心というものがない。穏やかなホタルガのゆらゆら飛行でいつも癒される日々が続く。