秋になると、玄関先に通じる道に恒例のキンモクセイロードができる。というのは、玄関先にはキンモクセイの太い木がどっしりと鎮座していて、秋になると大量の花をその小さな径に降り続けるからだ。樹の先端を剪定しなかったので樹高がどんどん伸びてきている。樹皮がサイの足に似ているので、「木犀」の漢字をあてている。
和宮様はキンモクセイの花が咲きだすと「キンモクセイが秋の到来を賛歌しているのがわからぬか」と、鈍感なオイラに開花を教えて下さる。いつも匂いから先に開花を告げるのだ。オイラの下ばかり向いて生きている生き方は、開花にさえ気づかない。樹の上を見ない生き方に、「上を向いて歩こう」「嗅覚を鍛えよう」というわけだ。
キンモクセイは、江戸時代に中国から雄株が渡来したせいで、その挿し木が日本中に広まったが、したがって日本には雌株はみられない。ただし、その遺伝子は中国にはないらしいので、キンモクセイは日本で独自に産み出されたのではないかとも言われている。
キンモクセイロードのオレンジの花を見て、これは食べられるかなと思って調べたら、シロップやジャムやお茶にできるという。現在は雨も降りだし、大半が落花してしまったが、来年は何とかその味と香りを確かめたいものだ。ちなみに、「三大香木」とはキンモクセイ・ジンチョウゲ・クチナシということだ。