“Velib'”・・・le velo en libre-service、つまりセルフサービスの自転車。年間パス(29ユーロ)、あるいは週間パス(5ユーロ)、1日パス(1ユーロ)をカードで購入すれば、どこの駐輪場で借りてどこの駐輪場に返してもOKという、自由に使える貸し自転車システムをパリ市が7月15日から始めました。
6月28日付のメトロ紙です。マスコミを対象とした試乗会が事前に行なわれたようで、各紙が取り上げています。新しい自転車利用システムが、大気汚染と交通渋滞解消の切り札になれるかどうか・・・大きな話題になっていました。
当時の準備状況です。名前もまだ“lib'erte”と、マスコミに発表した“Velib'”とは異なる名称になっています。しかも、操作パネルには、なんと・・・
「日本語」とあるではないですか。日本人観光客にも使いやすいようにという配慮でしょうか。これは、うれしい! さすが、パリ市です!!
と、喜んでいたのですが、16日、完成した状況を見てみると・・・
多くの人が説明パネルを覗いていましたが、説明言語は、フランス語・英語・スペイン語のみ。日本語やイタリア語は消えてしまいました。技術的には対応できるのに、ソフトが間に合わなかったのでしょうか。あるいは、計画倒れ?
しかも、16日付のフィガロ紙によると・・・
15日の初日に、2時間ほど貸し出し装置が作動しなかったところや、パスの発行にトラブルが出たり、自転車返却がうまく機能しなかったりと、いろいろ問題がでたようです。どうもエリート層が立派な計画を練りあげるのですが、現場の対応がまずく、実施の際にはいろいろ問題が起きる、というフランス式ビジネスの特徴が、ここにも遺憾なく発揮されたようです。そういえば、14日の革命記念日の行進、観客に配布したプログラムにはスケジュールが分刻みで出ていたのですが、実施に当たっては、たんなる目安。10分や20分の遅れは当たり前。でも、それを誰も気にしたり、少なくとも表面上はいらいらしないのがフランス! のようです。
ともあれ、一部に問題はあったにせよ、ヴェリブ、スタートしました。15日午後1時から5時までの4時間に、15,000台が使われたと、パリ市は大喜び。
最初に書いたように、年間、あるいは1日のパスを買えば、乗り放題。ただし、30分以上継続して使用すると、使用料(30分毎に1ユーロ)が別途カードから引き落とされます。それを防ぐには、30分以内にどこかの駐輪場へいったん返却し、新たに借り直す。その場合、少なくとも5分間のインターヴァルをおかないと継続使用になってしまう。と、ちょっと面倒ですね。でも、駐輪場は、市内に750ヵ所設置されていますから、上手く活用できるかもしれないですね。しかも、今年末までには、1,450ヶ所に増える予定だそうです。
肝心の自転車は、1万台が使用できるようになっており、同じく年末までには2万台に増えるそうです。この自転車、利用者からはおしゃれでいいが、ちょっと重い、という声も出ているそうです。因みにこの自転車、ラピエール社というフランスの企業(ただしオランダ企業の傘下)がハンガリーで生産したものだそうです。EU内でのビジネス展開の一つのモデルを見るようですね。
また、フランスでは自転車が走るのは車道。歩道を走ることはできませんから、自動車が怖い。ヘルメットを買わなくちゃ、という声も出ているとか。たしかに必要かもしれないですね。そうすると、ヘルメットを持って、ヴェリブの駐輪場へ。一度パリ市内を自転車で移動する快適さを知ってしまった人で、いちいちヘルメットを持ってヴェリブの駐輪場まで行くのは面倒という人は、自分用の自転車を買って乗るようになるかもしれないといわれています。現に、同じ制度を先行して2005年5月から始めているリヨン市では、市の設置した自転車の2~3倍の台数が売れたそうです。
ヴァカンスに行くにも、自転車を車に積んでいくほど、自転車好きなフランス人。昨年100世帯あたり5.4台の自転車を買ったそうで、もう一つの自転車大国、中国の2.1台よりも多かったそうです。しかし、総世帯数が違いますから、販売台数では、350万台で、中国の2,700万台やアメリカの1,850万台よりはかなり少なかったそうです。それでも、自転車好きという下地があるからこそ、ヴェリブのような自転車による大気汚染・交通渋滞対策に自治体も市民も「乗り気」になるのでしょうね。
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6月28日付のメトロ紙です。マスコミを対象とした試乗会が事前に行なわれたようで、各紙が取り上げています。新しい自転車利用システムが、大気汚染と交通渋滞解消の切り札になれるかどうか・・・大きな話題になっていました。
当時の準備状況です。名前もまだ“lib'erte”と、マスコミに発表した“Velib'”とは異なる名称になっています。しかも、操作パネルには、なんと・・・
「日本語」とあるではないですか。日本人観光客にも使いやすいようにという配慮でしょうか。これは、うれしい! さすが、パリ市です!!
と、喜んでいたのですが、16日、完成した状況を見てみると・・・
多くの人が説明パネルを覗いていましたが、説明言語は、フランス語・英語・スペイン語のみ。日本語やイタリア語は消えてしまいました。技術的には対応できるのに、ソフトが間に合わなかったのでしょうか。あるいは、計画倒れ?
しかも、16日付のフィガロ紙によると・・・
15日の初日に、2時間ほど貸し出し装置が作動しなかったところや、パスの発行にトラブルが出たり、自転車返却がうまく機能しなかったりと、いろいろ問題がでたようです。どうもエリート層が立派な計画を練りあげるのですが、現場の対応がまずく、実施の際にはいろいろ問題が起きる、というフランス式ビジネスの特徴が、ここにも遺憾なく発揮されたようです。そういえば、14日の革命記念日の行進、観客に配布したプログラムにはスケジュールが分刻みで出ていたのですが、実施に当たっては、たんなる目安。10分や20分の遅れは当たり前。でも、それを誰も気にしたり、少なくとも表面上はいらいらしないのがフランス! のようです。
ともあれ、一部に問題はあったにせよ、ヴェリブ、スタートしました。15日午後1時から5時までの4時間に、15,000台が使われたと、パリ市は大喜び。
最初に書いたように、年間、あるいは1日のパスを買えば、乗り放題。ただし、30分以上継続して使用すると、使用料(30分毎に1ユーロ)が別途カードから引き落とされます。それを防ぐには、30分以内にどこかの駐輪場へいったん返却し、新たに借り直す。その場合、少なくとも5分間のインターヴァルをおかないと継続使用になってしまう。と、ちょっと面倒ですね。でも、駐輪場は、市内に750ヵ所設置されていますから、上手く活用できるかもしれないですね。しかも、今年末までには、1,450ヶ所に増える予定だそうです。
肝心の自転車は、1万台が使用できるようになっており、同じく年末までには2万台に増えるそうです。この自転車、利用者からはおしゃれでいいが、ちょっと重い、という声も出ているそうです。因みにこの自転車、ラピエール社というフランスの企業(ただしオランダ企業の傘下)がハンガリーで生産したものだそうです。EU内でのビジネス展開の一つのモデルを見るようですね。
また、フランスでは自転車が走るのは車道。歩道を走ることはできませんから、自動車が怖い。ヘルメットを買わなくちゃ、という声も出ているとか。たしかに必要かもしれないですね。そうすると、ヘルメットを持って、ヴェリブの駐輪場へ。一度パリ市内を自転車で移動する快適さを知ってしまった人で、いちいちヘルメットを持ってヴェリブの駐輪場まで行くのは面倒という人は、自分用の自転車を買って乗るようになるかもしれないといわれています。現に、同じ制度を先行して2005年5月から始めているリヨン市では、市の設置した自転車の2~3倍の台数が売れたそうです。
ヴァカンスに行くにも、自転車を車に積んでいくほど、自転車好きなフランス人。昨年100世帯あたり5.4台の自転車を買ったそうで、もう一つの自転車大国、中国の2.1台よりも多かったそうです。しかし、総世帯数が違いますから、販売台数では、350万台で、中国の2,700万台やアメリカの1,850万台よりはかなり少なかったそうです。それでも、自転車好きという下地があるからこそ、ヴェリブのような自転車による大気汚染・交通渋滞対策に自治体も市民も「乗り気」になるのでしょうね。
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素敵なブログですね。私も若い頃にパリに住んでいましたので、とても懐かしいです。
ときどきお邪魔させていただきます。
もし訪れる機会があれば、ぜひ利用したいと思います。観光スポット紹介付きの日本語ガイドなども整備されるといいですね。
コメントありがとうございます。
今後とも、ご訪問・コメント、よろしくお願いします。
そうですよね、自転車でパリの石畳を走る。楽しそうですね。そのうち、日本語の表示や観光案内もできるかもしれません(大きな期待はできませんが)。
それに、環境に優しいので、多くの人に利用してほしいですね。
とうとう始動したのですね。
Velibというネーミングに感心してしまいました。
以前から自転車通勤をしている方を時々みかけましたが、よくやるなぁと感心していました。(笑)
坂の急なところなどは大変でしょうね。
車道を走るものも恐いです。
でも、日本では歩道を自転車が走りますが、
それも、危ないことがあります。
自転車が歩行者につっこんでくることがよくあって、しかも自転車をこいでいるひとは何も感じていないようです。
ぶつかりそうになっても一言もなく幽霊のように通り過ぎていきます。
こちらはこちらでまた問題かなぁと思うことがあよくあります。
ところで私は潔癖症の気が少しあります。
このVelib、誰かもわからない他人が握ったハンドルを握るのが気持ち悪い・・・。
と思ってしまうので、
もし自転車移動が快適と知ったならばマイ・自転車を買うタイプかもしれません。
今日本に帰国中ですのですぐにその現場が見られませんが、こうしてtakeさんの記事でフランス現代事情がよくわかり、とてもありがたいです!
日本での新しい機器でも 使用法が一度では飲み込めない50代です。
パリの街を風をきって走るには 辞書持参でしょうか?
図々しいお願いですが、もしお時間がとれるようでしたら、この機器の表面の文字をフランス語で表示していただけると とてもうれしいのですが・・
お礼は、ランキングに投票することくらいしかできませんが。
ご依頼の件、私でできる範囲で写真を撮ってみますが、どれほどの方が興味をお持ちか分かりませんので、ブログで公表するよりは、メールでお送りしたいと思います。このブログの左側bookmarkに出している個人的ご連絡は・・・のところにあるメールアドレスまでご連絡ください。
なお、こうした情報は、観光を生業としているフランス政府観光局などに問い合わせると早く入手できるかもしれません。
また、表記はフランス語・英語・スペイン語ですので、もし英語のほうがフランス語より堪能でいらっしゃれば、英語でも対応できると思います。
パリの街を自転車でさっそうと! でも、坂道・雨、そして車道を走る・・・ちょっと考えてしまいますね。自動車に乗っているなら環境を考えて自転車にするのでしょうが、今もメトロなど公共交通機関を利用しているので・・・でも、ヴェリブ、試してみたいですね。意外とやみつきになるかもしれません。
早速17日の夜、うわさのヴェリブ、試してきましたので報告します。
なるべく交通量の少ない夜、右側通行に平気な同伴者の後ろについて試乗してきました。
感想は・・色々ありますが、たくさん自転車が並んでいるにもかかわらず『現在貸し出しできる自転車はありません』と表示されているステーションに出くわしたり、そろそろ返そうと思ってみつけたステーションに近づくと返却のための空きスペースがなかったり、想定内プチトラブルがありました。
記事の中に書かれてありました『ちょっと重い』という苦情についてですが、乗り始めたすぐは『全然!』と思っていたのが、30分後には『うん、やはり重い』と感じました。これは個人的な問題でしょうか。しかし3段階ギアがついてありましたので、結構長時間でもいけるんじゃないかと思います。
30分以内で返却しようと思うと、いい運動になることは間違いなさそうですが、バスティーユ広場などの大きな車の流れはビビりました。初日は車道を走る緊張感でまわりの風景を楽しむ余裕がありませんでしたが、これからときどき、夜中のジムナスティックとして利用したいなと思いました。
以上、レポートでした!
突撃体験レポート、ありがとうございます。
重さはそれほどでもないけれど、やはり車道を走るのは怖い! なるほど、そうなんでしょうね。慣れるまでは、怖いでしょうね。それに、想定内とはいえ、問題も。これは、しかたがないですね。でも、夜中のジム、人によっては、昼間のジム。運動不足解消にも、いいかもしれないですね。
レポーター、ご苦労様でした。
コメントありがとうございます。
たしかに、この円安、なんとかならないものかと思ってしまいます。フランスの預金金利が8月、2.75%から3.00%へ。ユーロ高、まだまだ進むかもしれないですね。先日もニュースで、対ユーロのドル安にもかかわらず、アメリカ人の観光客がたくさん押しかけていると報道していましたが、インタビューの中で若い人たちからは、物が高くて何も買えないという声が出ていました。ユーロの一人高、観光に影響が出てくるかもしれないですね。