50歳のフランス滞在記

早期退職してパリへ。さまざまなフランス、そこに写る日本・・・日々新たな出会い。

公約は、口に苦し。

2008-03-09 02:35:24 | 自然・環境・健康
・・・いきなり、ちょっと変ですね。「良薬は、口に苦し」ですよね。それが、公約・・・そう、9日と16日はフランスでは統一地方選挙。区とか、市、県などの首長や議員を選ぶ選挙ですから、生活に身近な話題が多く取り上げられています。でも、当選後は、実際どのくらいの公約が実施されることになるのやら・・・つい日本の経験からそう思ってしまうのですが、こうした点は、フランスでも同じような傾向にあるようです。


2-3日付のル・モンド紙です。「環境」が首長たちの間で引っ張りだこ・・・公約に環境を取り上げる人たちが多いようです。それだけ有権者の間で関心が高いということなのでしょうね。温室ガス効果による地球の温暖化など、環境はよく地球規模で語られますが、実は一人ひとりが身近なところで工夫し、改善していくことが大切な問題でもありますよね。そして、地域自治体でも。

特にフランスの場合は、1982年と83年の地方分権に関する法律で、国民の日常生活に関してはかなりの施策が自治体に移管されたそうで、それだけに地方選挙では暮らしに直結した環境保護が大きなテーマになっているようです。そうした背景があるため、以前は環境といえば「緑の党」が力を入れて主張していた分野ですが、今では左右を問わずどの党の候補も環境問題について公約に掲げている・・・

ただし、環境は今回の選挙で突然脚光を浴びているわけではなく、自治体によってはすでに以前からかなり力を入れて取り組んできていたようです。最も積極的なのが、北部の工業都市・リールと、パリの南西、お城で有名なアンジェのニ都市だそうです。持続的成長をうたった「アジェンダ21」を90年代末にすでに採択し、環境問題への取組みを積極的に行なってきているとか。それに続いて、パリやリヨンといった大都市。排出ガス規制や省エネ、公共交通機関の整備などを行なってきています。路面電車(トラム)の再登場や整備もこの流れの中にあり、また公共のレンタサイクルも各地で実施に移されています。西部の町・ナントでは、市民の移動の実に41%が公共交通機関を利用してのものだそうで、全国平均のおよそ倍になっているとか。マイ・カー利用が減っているようです。

また、水質の保全、土地を汚染から守る、有機栽培による農業など、環境に直結した取組みも各地で行なわれているそうです。電力では、ごく最近話題になったペルピニャン。将来的に使用電力全てを風力と太陽光によるエネルギーでまかなうと発表しています。そこまで徹底していないまでも、ソーラーパネルを取り付ける際の補助などを検討しているところは多いようで、エコ・カルティエなどと呼ばれるモデル地域が各地で生まれつつあるようです。

こうして、各地の自治体では、さまざまな取組みが実際に行なわれているようです。しかし、それでも今回の選挙での環境に関する公約は、数も多く、またその内容も大規模、大胆なものが多いそうです。実際、どこまでが本気で、どこからが選挙用の空手形なのか見極める必要がある・・・環境団体や市民グループは、選挙後の監視を強めていきたいそうです。選挙公約は、どこまで本気なのか・・・どこの国でも、同じようですね。

首長や議員たちは当選してしまうと、まだ社会がこうした施策を受け入れる準備ができていないと言っては、先延ばしにすることがよくあるそうです。一方、市民は、政治家は公約を実行しないと非難する。こうしたネガティヴなキャッチボールはやめて、一緒に力を合わせ、地球の環境を守るべきだ、という声もあがっているそうです。その通りですね!


モンマルトルから見たパリの街並みですが、そのうち記事の写真のように多くの建物の屋根にソーラーパネルが取り付けられることになるのかもしれません。一面、ソーラーパネルの海・・・パリの外観もずいぶん変わってしまうでしょう。しかし、パリの空の下のイメージが変わってしまうのは残念ですが、これも私たちの地球、そして環境を将来にしっかり残すためですから、我慢するしかないですね。それほど環境問題は深刻になっている、ということなのでしょう。遅すぎたと後悔しないためにも、一人ひとりの取組みが今、求められているようです(パンフレットにあるような文章になってしまいました。でも本当にそう思いませんか)。

さて、9日の第1回投票と16日の決戦投票、その結果やいかに。どの党が伸張し、誰が市長に当選するのでしょうか。見守りましょう。

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2 コメント

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ジレンマ (Bon)
2008-03-10 14:59:02
『どこまでが本気で、どこからが選挙用の空手形なのか見極める必要がある』
どこのお国の議員さんは同じですね。
確かに非難するだけではなく、一緒に力を合わせ、地球の環境を守るべきだと思います。
しかし、パリの町並みは残して欲しいのですが・・・。
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当選 (take)
2008-03-10 17:23:31
Bonさん

まずは当選すること、なのでしょうね。落選すれば、ただの人、ですものね。当選するためには、美味しい話をたくさんする。時には裏付けのないプロジェクトも・・・どこの国でも同じようですね。
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