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50歳のフランス滞在記

早期退職してパリへ。さまざまなフランス、そこに写る日本・・・日々新たな出会い。

一大事件の主人公、その将来は・・・

2008-01-28 05:33:20 | マスコミ報道
すでにご存知のように、フランスの銀行、ソシエテ・ジェネラル(Societe generale)で一人のディーラーによる49億ユーロ(約7,800億円)という巨大な損失が発覚しました。その額の大きさから、地元フランスでは、もちろん一大ニュース。


25日のメトロ紙です(写真の人物は、この件とは全く関係ありません)。世紀の損失とか、世紀の衝撃とかいった意味でしょうか、こうした事件の今までの記録(1995年、イギリス、ベアリングス社の約1,600億円)を塗り替える一大損失ですから、「世紀の」という形容詞が誇大表現には当たらないほどの衝撃ですね。


同じく25日のフィガロ紙です。不正行為を行なったジェローム・ケルヴィエル氏(Jerome Kerviel)の写真つき(今よりも若い時のものだそうです)でトップニュースです。ソシエテ・ジェネラルに50億ユーロの損失をもたらした男・・・

普段は冷静に事件の背景や今後の課題などを論評するフランスの新聞も、さすがにその衝撃から社会面的関心でまとめた記事も多く出していました。それらを総合すると、このケルヴィエル氏、生まれは1977年1月11日。31歳の誕生日前後に、自分の権限を越える不正取引を繰り返していたことになります。リヨン第二大学で、市場金融の修士号を取得。2000年からソシエテ・ジェネラルに勤務していたそうです。はじめの5年間は、サポート部門に勤務し、その間に社内のさまざまな管理、チェックシステムに精通したそうで、その知識が不正取引を隠すのに役立ってしまったようです。

今日、フランスでもディーラーの成功報酬は大きく膨らんでおり、優秀なディーラーは50万ユーロから100万ユーロ(約8,000万円~約1億6,000万円)の年収になっているそうです。そうした環境にありながら、ディーラーとしては平凡な能力と評されるケルヴィエル氏の年収は10万ユーロ(約1,600万円)ほどしかなく、今回の不正取引でも自分の資産として手をつけた形跡はないそうです。とは言うものの、一般的フランス人よりは高収入で、裕福な人が多く住むヌイイ市に住んでいるようです。

銀行の人事担当者は、ケルヴィエル氏が性格的に弱く、家庭に問題を抱えていたと言っていますし、上司は、これは彼個人がやった行為であると強調しています。ディーラーという職種もありますし、また個人主義のフランスですから、個人で勝手にやったというのもそうなのだろうと肯けますが、上司が敢えて言うのは却って組織を守るためというニュアンスが出てしまうような気もしますね。


同じ日のフィガロ紙の経済面ですが、写真の建物が、ラ・デファンス地区にあるソシエテ・ジェネラルの本社。さすがに立派なビルですね。ここで働く社員にインタビューもしています。ケルヴィエル氏と同じ職場で働く社員にはかん口令が出されたそうですが、それ以外の部署の社員にとっても、ショックであり、この話題で持ちきりだったようです。多くの社員にとっては、この損失による人員削減が行なわれるのかどうか、業績に連動したボーナスに大きな影響がでるのではないか、ボーナスが削減されれば腕のいいディーラーは転職して行ってしまい、銀行の将来が心配になる・・・もちろん、余裕かやせ我慢か、これで不正ランキングのトップに君臨できる! とか言う社員もいるようですが、一方、たぶん悪循環に巻き込まれた若いディーラーが損失を一気に取り返そうとして、さらに抜き差しならない状態に落ち込んでしまったのではないか、しかも世界的株価急落がその損失に拍車をかけたのだろう、と分析する社員も。新聞記事曰くは、タバコを吸いに屋外に出てきている社員たちは普段以上にタバコを吸いすぎたに違いない、何しろ49億ユーロが煙と消えたのだから・・・


ソシエテ・ジェネラルのオフィスは街中にも多くあり、ATMで現金を引き出している顧客もよく目にします。今回の損失、そしてサブプライムローン問題の影響もあったものの、2007年にソシエテ・ジェネラルは55億ユーロの税引き前利益を出すそうです。従って、先のイギリス、ベアリングス社のように倒産ということにはならないようです。しかも今日では、預金者は7万ユーロ(約1,100万円)までは保証されるそうですから、取り付け騒ぎには発展していません。さらに、資本増強のため55億ユーロの増資を行なうそうで、こうした状況と今後の施策等について、ソシエテ・ジェネラル社長名で株主宛、新聞紙上でメッセージが出されています(やはり、あて先は株主、世間様ではないんですね。企業は株主のために存在する・・・)。


25日のフィガロ紙です。通常のビジネスでの困難な環境と特別な出来事が重なったが利益を出していること、特別な事件は、一社員の並外れたシステム上の隠蔽技術によるものだが、それを見抜けなかった管理体制にも問題がある。関係者の責任を明確にし、すでに解雇もしている。そして、社長自らの辞任についても申し出たが、理事会で拒否され、その任を継続することになった。役員たちの支援を得ながら、業績を回復すべく全力を傾注する覚悟である、といったことを述べています。


27-28日付けのル・モンド紙ですが、何も見なかった、何も知らなかった、と言っているとまるで砂上の楼閣のようになってしまう・・・金融監査の無力さ、今回の事件の政府への報告の遅れなどをはじめ多くの解明すべき点が残っていることを指摘しています。

高飛びしたとか、自殺したのではなどといった噂も流れたケルヴィエル氏ですが(このへんは、日本と近いですね)、噂は噂、きちんと(というのも変ですが)検察の取り調べに応じているようです。どこへ行こうと、いかなる銀行も彼を雇用することはもはやない、とフランス銀行総裁がショックのあまりか息巻いていたそうですが、司直の手によって裁かれるようです。ただし、額も額ですが、横領とかではなく、言ってみればマネーゲームの失敗という判例がフランスにはないため、どういう判決が出るか推測は難しいようですが、新聞各紙は5年から15年の禁固刑になるのではと言っています。先輩格にあたる(この言い方も変ですね)ベアリングス社事件の当事者(ニック・リーソン氏)は6年半の禁固刑でしたが、受刑中に事の経緯をまとめて出版(『私がベアリングス銀行をつぶした』)。映像化もされたようです。印税等が入ったのでしょうが、その後の長い人生、どう送るのでしょうか。そして、ケルヴィエル氏の場合は・・・

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壁に耳あり、障子にフィガロあり。

2008-01-26 03:18:07 | マスコミ報道
今日のタイトルにあるフィガロとはもちろんお馴染みの“LE FIGARO”、フィガロ紙です。フィガロ紙が血眼になって(かどうかは分かりませんが)集めた情報を開示しているので、ご紹介しようと思います。フィガロ紙の、耳寄り情報。題して、“Les confidentiels du Figaro”(フィガロの秘密情報)・・・



毎日、生活欄の最終ページに掲載されています。フリー・ペーパーの好調さに、論評ばかりでなく、ちょっといい情報、おもしろネタも紹介しようという事なのかもしれないですね。では、最近の耳より情報をいくつか・・・

①ビル・ゲイツ
マイクロソフトの共同創業者・会長、ビル・ゲイツ氏はご夫妻で世界の貧困や病気と戦う“La Fondation Bill et Melinda Gates”(ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団)という慈善団体を主宰しているそうですが、はじめてヨーロッパへ協賛者を募りにやって来るそうです。パリへは2月20日。議会やNGO、資産家などに会って、協力を依頼するそうです。世界一の資産家でも、一人ではまかないきれない、それほど世界には貧困・病苦に苦しむ人たちが多いということなのでしょうね。日本には、来ているのでしょうか・・・

②サルコジ本
メディアへの露出の多い大統領ですが、今度はギリシャでその一族を紹介する本が出版されたそうです。どうしてギリシャか・・・ご存知ですよね、母方がギリシャの出身。本のタイトルは、“Moi, le petit-fils d'un Grec”(私はギリシャ人の孫)。2人の研究者と1人のジャーナリストの共著だそうです。その概略によると・・・大統領の母方の遠い祖先、Mallah(マーラー)家は、16世紀末、スペインを追われ、ギリシャのサロニカへ(レコンキスタ運動の完成とともに多くのユダヤ人がスペインから追放されました)。時代は下って、大統領の曽祖父は宝石職人として成功を収めたそうで、その子どものひとりが医学の勉強にフランスへ。第一次大戦にはフランス軍の軍医として参戦。休暇でパリへ行った際に一人の看護婦と出会い、恋に落ちる。カトリックに改宗し、1917年、彼女とめでたく結婚。二人の間にできた娘の一人(Andree Mallah:アンドレ・マーラー)は、やがてハンガリーからの亡命者(Paul Sarkozy:ポール・サルコジ)と出会い、結婚。その間にできた子どもの一人が、ニコラ・サルコジというわけです。しかし、その父ポールは1960年にその家庭から出て行ってしまう。時に、サルコジ少年5歳。それ以降、母方のおじいちゃんに一族の昔話を聞いて育ったそうです・・・ということで、ギリシャとサルコジ大統領の絆は強いといっているようです。でも、すでに父方のふるさとハンガリーには大統領として凱旋していますが、確かギリシャにはまだだったような気が・・・

③ジュール・ヴェルヌ
といっても、『八十日間世界一周』などでお馴染みの作家・ジュール・ヴェルヌではなく、エッフェル塔にあるレストラン“Le Jules-Verne”(ル・ジュール・ヴェルヌ)です。かの有名なシェフ、アラン・デュカス氏に管理を委託し、ますます話題のレストランですが、何しろ予約を取るのが一仕事、どころか、忍耐勝負だそうです。予約の電話が一日500本。電話が繋がるまで26分という人もいるそうです。しかも、満席で予約きるのは、観光客の減る冬場でも2ヶ月先。それならば、昼食はいかがですか、というのがフィガロ紙のお勧め。昼食なら運がよければ翌週の予約ができることもあるそうです。しかも、安い。といっても、昼食で75ユーロ(約12,000円)ですが。ディナーは、2回転で、18:30からが155ユーロ、20:30からが190ユーロ(約3万円)だそうですから、確かに比較すれば安い・・・ただし、エッフェル塔を標的に、というテロリストの通信を傍受したという報道もありました・・・



④プラネット・ハリウッド
上の写真、シャンゼリゼ大通り78番地にあるテーマ・レストラン“Planet Hollywood”、1995年にシルベスター・スタローンや今やカリフォルニア州知事のシュワルツェネッガーら設立者を迎えて盛大に開店したのですが、経営がうまく行かなくなり、ついにパリから撤退だそうです。同じ建物に入っているディスコ(“le VIP Room”、ゴールドマン・サックスの子会社の管理下にある)も移転だそうです。3,800㎡というスペースが相変わらず人気のシャンゼリゼに空くことになり、不動産業界の大きな話題になっているとか。それにしても、ゴールドマン・サックス、いろいろなところに顔を出しますね・・・

⑤TGV
世界一はやいTGVを持つフランス国鉄(SNCF)は、高速鉄道網によって、貨物の取り扱いを増やそうと、エール・フランスやフランス・ポスト、フェデラル・エキスプレスなどと新会社を立ち上げるそうです。夜間でも運行でき、重いものでも運べるという強みを生かして、シャルル・ド・ゴール空港を拠点に、そこからロンドン、ケルン、アムステルダム、そして将来的にはマドリッドを結んで、鉄道による輸送網を構築したいそうです。昼は旅客、夜は貨物・・・まさに、もっと働いてもっと稼ごう、ですね。

⑥大統領とヨーヨー
といっても、遊んでいるわけではなく、支持率の上がり下がりのこと。その報道に関して、サルコジ大統領がユーモアで切り返しているそうです。調査結果が信じられるためには、支持率が悪くなくてはいけない。なぜなら、良い数字だと操作したのではないかと言われるのだから・・・名言です。

・・・現実は小説より奇なり、そして、フィガロにはおもしろネタが―――ときどき、ご紹介しますね。

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オートクチュール、復活す!

2008-01-24 05:38:27 | マスコミ報道
2003年に「イヴ・サン=ローラン」の経営陣のひとりが言ったという一言、覚えていますか・・・「オートクチュールは、死んだ」・・・それから5年、今オートクチュールが蘇りつつあるそうです。その楽屋裏はいかに・・・


(22日に行なわれたカール・ラガーフェルトによるシャネルの2008年春夏コレクションの模様、会場はグランパレ、巨大なツイードのジャケットの周囲がステージです:23日のマタン・プリュス紙)

20日に終わったプレタポルテの2008-2009秋冬コレクションに引き続き、21日から24日まで、オートクチュールの2008春夏コレクションが開催されています。会場選びや演出にも、デザイナーのセンスが反映されるためか、それぞれに「意匠」を凝らしたショーになっています。上の写真のように、シャネルは美術館のグランパレ、ディオールはポロクラブ(Polo de Paris)。でも、もちろん、主役は「衣装」。そして、その楽屋裏では、オートクチュール復活のさまざまな試みがなされているそうです。


歴史も含め、オートクチュールの現状を紹介してくれている21日のフィガロ紙。見出しは、「ニューリッチのお陰でオートクチュールが蘇る」。

第二次大戦直後には、106ものオートクチュール店(パリ・オートクチュール協会加盟店、メゾンと呼ばれるそうです)があったそうで、裕福な女性は有名店で、一般的な女性は自分の街の仕立て屋さんで服をしつらえていたそうです。それが1960年代にプレタポルテが一般に普及するようになると、オートクチュール業界に逆風となり、メゾンの数も漸減。さらに、ライフスタイルの変化に伴い、カジュアルなファションがメインになると、オートクチュールは冬の時代へ。そして、2003年の、もう死んだ、という発言に至ったそうです。

その後、恒例のファションショーすら辞退するブランドも現れ、このまま衰退の一途を辿るのかと思われていたこの業界、内部からの変化と外的要因もあって、復活の道へ・・・内的変化は、経営の効率化。お針子をはじめ多くの社員を抱えていたメゾンが、社員を解雇するなど経営の合理化を積極的に推進。そして、そこへ新しい顧客が増えるというまさに僥倖ともいえる外的変化が。以前は、アメリカ、中近東の富裕層が主な顧客だったそうですが、そこへヨーロッパ各国、ロシア、インド、中国の超富裕層が新たに加わり、ニーズが高まった。コレクションも活況を呈するようになったそうです。

オートクチュールだけでなく、アクセサリー、貴金属、香水などを含めた贅沢品の2006年の地域ごとの売り上げの割合を見てみると、当然ヨーロッパ(東欧、ロシアを含む)が37%で最も割合が多いのですが、南北アメリカが35%、日本が単独で13%、東アジア太平洋地域が11%、その他4%だそうで、中でも東アジア太平洋地域が対前年比18%と最も大きな伸びを見せています。やはり、中国パワーでしょうか。その結果、贅沢品全体の売り上げも2004年から毎年10%近い伸びを示しています。こうして、業績が伸びれば、資本も集まる。参入する新たな資本家も増えてきているそうで、うまい方向に回転し始めると、全てうまくいくという典型になりつつあるのかもしれないですね。そうした潤沢な資金を背景に、今やひとつのショーに2~300万ユーロ(約3億2,000万円~4億8,000万円)が投入されているそうです。ショーに出展されたオートクチュールのその後の売り上げだけでは当然元は取れないそうですが、多くのメディの取材・報道により、広告キャンペーンを行なったと思えば、十分に元は取れる勘定になるとか。


(ジョン・ガリアーノ率いるディオールのショーのフィナーレ、劇的ショーが得意なガリアーノが扮しているのは画家のレンブラント:22日のフィガロ紙)

では、このようなコレクションで発表されたファッションは、どのようなTPOで着られるのでしょうか。最も多いのは、富裕層の集まる結婚パーティだそうです。そして、仮縫い等のためには、世界中どこまでも行くそうですが、上得意は自分と同じサイズのトルソー(マネキン)を店に置いておけるそうで、それが大きな誇りになっているとか。因みに、コレクションで着られたファッション、その販売価格はヴェストやスーツで1万ユーロ(約160万円)、ウェディングドレスで30万ユーロ(約4,800万円)程度が相場だそうです。ドレス一着でマイホーム。そんなふうに思う私のような人間は、言うまでもなくターゲット外です。


(これもディオールのショー、クリムトの絵をファッションで再現しているようですね:22日のフィガロ紙)

オートクチュール2008春夏コレクションが始まったと同時の株暴落。はたしてオートクチュール業界への影響があるのか、ないのか・・・こんな興味で外野から見ていると、ファッションのファの字も知らないと、お叱りを受けそうです。早々に退散することにしましょう―――。

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唇に微笑を、眼光に鋭さを!

2008-01-22 05:16:26 | マスコミ報道
幸せですか、と尋ねられて、皆さんはどう答えますか。幸せ!でもないし、不幸だ!というわけでもない。中くらいかな・・・めでたさも中くらいなりおらが春・・・では、幸せ!を10とし、不幸だ!を1とした場合、あなたの幸福度は何点くらいでしょうか。


そんな調査の結果が18日のメトロ紙に紹介されていました。最も幸福指数の高かったのは、デンマーク人。逆に最も低かったのは、アフリカのタンザニア人。幸福指数の高かった国は他に、スイス、オーストリア、アイスランド、フィンランド、オーストラリア、スウェーデンと北欧諸国が多くなっています。低い国は、ザンビア、モルドヴァ、ウクライナ、アルメニア、グルジア、ブルガリアなど、東欧諸国が多く、ロシアも9位に顔を出しています。因みにフランスは、図の中では39位ですが、文章中では62位。どちらが正しいのでしょうか。たぶん、39位ですが、同率で同じ順位の国もいくつかあり、国の数では62番目ということなのではないでしょうか。日本なら、同率でおなじ順位の国が複数あれば、その次の国の順位は同率の国の数だけ飛びますよね。例えば、図の中に幸福度の高いほうから5位の国が3カ国ある。すると次の国は、8位。でも、この表は6位と表示。そうした差から来るずれなのでしょうね。

でも、こうしたデータ等の表示の不正確さはフランスではよく見かけます。観念の世界に住むフランス人。何を言いたいのか、主張は何で、主眼はどこにおかれているのかが大切で、結論をサポートするためのデータは時として誤りがある。それでも、明快な意見なりが表明されていれば、大勢に影響ない不備は気にしない。この逆が日本で、データの積み上げ式思考ですから、データに不備があっては結論もいい加減と見做され、重箱の隅をつつくようにチェックする。そのあまりの徹底振りに、結論に達する際には疲れきってしまい、主義主張がぼやけてしまう・・・しかし、われらは、人間。いいとこどりはできないようで、完璧は求めようがない。お互いに、良い点、改めたい点があるということですね。ただ、参考にできることは参考に、改めることに躊躇はしたくないものですね。

さて、今日のテーマは幸福でした。GDP(国内総生産)に替わる新しい指標に、という意気込みの「幸福度」(le Bonheur national brut)ですが、関わったイギリス人研究者によると、物質的な豊かさが必ずしも幸福度に直結するとは限らないそうです。例えば一人当たり国内総生産が958ユーロ(約155,000円)のブータンの人々の幸福度指数は8位(8位グループ)で、イギリスの23位やフランスの62位よりもずっと上位。

「幸福」を長年の研究テーマにしているオランダ・ロッテルダムにあるエラスムス大学のRuut Veenhoven教授によると、幸福に感じる人が多い国は、統治が上手に行なわれ、国民に大きな自由が与えられている国だそうです。そうした国では、国民はより寛容で、創造的になるそうです。また一般的に男性のほうが女性よりも幸福という人が多いのには、二つの理由がある。ひとつは、女性の寿命のほうが長いので、最後は一人きりになってしまうという将来に対する不安感が女性に付きまとっているため。もうひとつは、仕事と家事という二役をこなさないといけない事から来るストレス。男女で役割分担を上手に行い、女性の解放が進むほど、お互いの幸福度が上がるそうです。年齢的には、幸福は“U”字型をしているそうです。30歳までと60歳以降のほうが幸福度が高い。若い内は、いろいろやり直しもしやすい。老後は時間的にも家族の面倒の点でも余裕ができる。その間の30歳から60歳は、結婚・子ども・家のローンなどを背負い、幸せを実感しにくいそうです。

では、調査で最も幸福度の高かったデンマークの人たちの暮らしぶりはどのようなものなのでしょうか。人口1万人のRingkobingという町で住民に聞いたそうです。1443年以降、商人の町としての権利を有している伝統ある町なのだそうですが、人々の暮らしは決して華美なものではなく、とても質素で堅実。共同体の中でどうやってうまく生きていけるかを心得ているのだそうです。このあたりは、日本に近い感じがしますね。また、安全であること。所得の半分が税金に取られるそうですが、そのお陰で健康保険、授業料、養老院の費用が無料。失業率も低く、社会保障が充実している。そして何よりも、人々がネガティブなことをポジティブなものに替える術を心得ている。陽気で、微笑を絶やさず・・・これがこの町の「知性」だといっているそうです。

最も知りたい日本の順位ですが、残念ながらこの記事には紹介されていません。中くらいなのでしょうか。幸せを実感するには・・・質素、堅実、そして満ち足りることを知ること。前向きに、陽気に、唇に微笑を・・・平凡かもしれないですが、私たち一人ひとりに出来ることは、こうしたことなのかもしれませんね。そして、あとは、統治。上手な政治になっているのか。国民を幸福にしようとして行っている政治なのか。統治者に対しては、満ち足りることを知る必要はないのだと思います。眼光鋭く、細心のチェックを。少しでも良い暮らしを、少しでも多くの国民が幸せを感じられるように・・・お上任せではなく、お上のやることにこそ細かいチェックを! それがより多くの人が幸せを感じられるようになる方法なのかもしれませんね。経済では一流でなくても、幸福度では一流の国へ―――。

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めでたさも中くらいなり仏の春

2008-01-16 05:14:08 | マスコミ報道

15日のメトロ紙の第一面です。日本でも報道されていたようですが、レスト・レピュブリカン紙の電子版が、サルコジ大統領が10日に交際中のカーラ・ブルーニさんとエリゼ宮で結婚したようだ、と伝えました。先の記者会見で、結婚に関してはメディアも結婚後に知ることになるだろうとサルコジ大統領が言っていましたから、正式発表はまだありませんが、結婚の手続きを済ませたのかもしれないですね。

改革、過去との決別を訴えるサルコジ大統領らしく、大統領在任中の離婚が初めてでしたし、今回の結婚が本当ならこれまた初めて。身をもって改革を示していますね。これで三度目の結婚。ブルーニさんには6歳になる子供がいますが、今回が初婚という報道と再婚という報道があり、日本のメディアも両派に分かれています。

公人のプライヴェートはあまり追及しないのがフランスの伝統だったようですが、この点も様変わり。新聞、雑誌、テレビ、ネット・・・いたるところ、大統領のプライヴェートな話題で持ちきりです。でも、結婚は、たとえそれが何度目でも、お目出度いことに代わりはありませんよね。Felicitations ! 祝、結婚、です。

でも、お目出度い話題ばかりではないのは、いつでも、どこの国でも同じようです。


同じ日のメトロ紙ですが、「勉学を続けるために売春~フランスで、自らの体を売る大学生。タブーを打ち破る本」・・・大学生の売春をめぐる本が二冊相次いで出版されるそうです。一冊は、自らの体験記。もう一冊は三人へのインタビューで構成されたドキュメンタリー。

今フランスでは、2万人の学生がひどい貧困の中で学業を続けているそうです。そうした中には、生きていくため、あるいは勉強を続けるために、売春に走る学生もいるとか。フランスで売春をしている人の総数は18,000人と言われているようですが、その中にどの位の大学生が含まれているのでしょうか・・・フランスでは、成人の売春行為は犯罪にならないそうです。取り締まられるのは、売春の斡旋。18歳で成人ですから、18歳に達した大学生が、個人で売春をしても取締りの対象にはならないそうです。

日本では、以前、身障者の風俗嬢があくまでポジティブに生き抜いていくさまを描いた自伝、『ファイト』という本が幻冬舎から出ていました。暗くなりがちなテーマをあっけらかんと、でも多くの問題を提起する作品でしたが、フランスはやはりフランス。ファイト!といった、突き抜けた明るさはない内容にどうもなっているようです。

“La prostitution etudiante a l'heure de l'Internet”(インターネット時代の学生売春)とうドキュメンタリー・タッチの本(著者はEva Clouetというトゥールーズの大学院生)によると、1時間の売春で200ユーロくらいになるそうで、それを月に数回。1,000ユーロ前後(約16万円)稼ぐ学生が多いようで、それでさまざまな生活費と、少々の小遣いにしているそうです。一般的な学生バイトにはベビー・シッター(子守り)がありますが、これでは月に300ユーロほどにしかならず、奨学金を得ていなく、しかも親元から離れて暮らしている学生は非常に大変なんだそうです。売春に走る学生は、貧しい家の出と限ったわけではなく、中流の伝統を大切にするような家庭出身者も多いそうです。成人になれば自力で生活する、という価値観の家も多いようですから、親からの仕送りに頼るということは日本のようには多くないのかもしれないですね。

“Mes cheres etudes”(我が愛する学問)という告白本の著者は、ローラという20歳になったばかりの学生。19歳で生活の糧として売春をしていた頃のことを語った本だそうです。彼女によると、売春を個人で行う際の出会いの場は、ネット。いわゆる出会い系サイトで、フランスにもあるようです。「学生を援助したい、管理職」とか「50歳の元気な男性が、女子学生との出会いを望む。高額保証」といった書き込みがあり、そこに連絡を取って売春が成立するそうです。ローラは、売春を始める前には、CROUS(学生援護会のような組織)の支援を受けたり、貧困者や路上生活者に食事を提供するところの世話になったりもしたそうですが、そうした境遇から抜け出すために売春を始めたそうです。初めてのときは、不安と自己嫌悪、そしてこんな状況に自分がいることがおかしく感じられたそうです。経済上の必要から始めた売春ですが、いったん手を染めると、今度はそのお金の魅力に捉えられてしまった。何しろ、1時間で200ユーロとか300ユーロとか。多い月には2,000ユーロくらい(約33万円)稼いだそうです。でも、今では足を洗っているそうですが、自分の過去から目を背けないように、またこうした現実があることを訴えるために出版することにしたそうです。でも、この本のことを考えると、今でも胸が痛くなるとか。彼女の願いは、学生が売春をしないでも勉強が続けられるような対策をぜひ実現してほしい―――。

日本では、よくゴーストライターがいたり、やらせ本といわれる本が出されたりしますが、さて、フランスでは・・・フランスの出版界事情を知る物差しにもなるかもしれませんね。ただ、売春せざるを得ない経済状況にある学生がいることは事実なのだと思います。この豊かなフランスで、しかも大学生が・・・そう思えるような話題ですが、路上生活者の孤独な死といい、経済的理由から売春をする学生といい、大国フランスにも影の部分はいろいろあるようです。

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一年の計は、大晦日にあり。

2008-01-04 05:06:33 | マスコミ報道
日本とフランスの間には8時間の時差。しかもフランスのほうが遅い。だから日本で初詣の時間、フランスではまだ大晦日。そこで、「一年の計は、大晦日にあり」なんていうタイトルにしたのだろう、と思われた方、鋭い! でも、残念。実は、フランスでは、大統領が大晦日の夜8時からテレビ・ラジオを通して翌年への決意を述べる慣例になっています。「改革」をうたい文句に、いろいろと前例を変更してきたサルコジ大統領もさすがにこの慣例は破れないようで、エリゼ宮の執務室から多くの国民に直接語り掛けました。



その内容を伝える2日付けのル・モンド紙です。改革の実行が思っていたより遅い、という人たちには、野蛮で強引な政治はよくない、社会的対話や慎重な交渉が大切だ・・・“Tout ne peut etre resolu en un jour!”(全てが一日で解決できるわけではない)。逆に変化が早すぎるという人たちには、世界から遅れを取っては、フランスの運命さえ他国に左右されてしまいかねない、新しい時代に相応しい国家づくりが急務だ、と説明していました。

2007年は改革の第一段階で、多くのことを実行したが、その成果が日常の生活に反映されてくるには、もう少し時間がかかる。2008年は第二段階であり、購買力、大学の自治、ミニマム・サービス(ストなどの際の最低限の公共サービス提供)、国家制度の近代化、退職制度の簡素化などを実行していく。外交においても、フランスが世界の中でその存在感を十分発揮できるようにしていきたい。

こうした政策を総称して、“une politique de civilisation”(文明政策)・・・文化、教育、アイデンティティ、人権、環境、資本主義のモラルを包含するそうです。そして、“une nouvelle renaissance”(新たなルネッサンス)とフランスの国家としての変化を訴えていました。フランスが世界でイニシアティブを取れるように、それも経済だけでなく多くの分野で世界から尊敬される国家として再生しようではないか、と国民の愛国心(あるいは中華思想)に訴えていました。

ル・モンド紙の記事は、大統領選挙のときの勢いは若干影を潜めたが、その分大統領としての慎重さが表れている。しかし、その慎重さは政策の細部での曖昧さであり、今までの大統領の演説の枠を出ていない。と、サルコジらしさが少なくなっている、という印象を読者に与えています。もしかすると、新しい恋人とのエジプトでのクリスマス休暇で、ふやけてしまったのでしょうか・・・(下司の勘繰りですね)



同じ日のル・モンド紙の第一面ですが、いつもの風刺漫画。この日も、公共の場での禁煙に引っ掛けています。これだけ禁煙をテーマに絡ませてくると言うことは、ル・モンドの編集室にはヘビー・スモーカーが多いのでしょうか。日本でも、新聞、雑誌関係者には愛煙家が多いという印象がありますものね。

中国で禁煙になったら・・・銃で脅すより、一服吸わせてやるといえば、なんでも白状してしまいそう。中近東でタバコもテロも禁止されたら・・・他にやることは・・・。そしてフランスの2008年は、反対勢力のないサルコジ政権が我が世の春。しかし、サルコジがいなければもっと平和になる・・・そんなことは、無理か。

そのフランスの2008年、どのようなことが行なわれようとしているのでしょうか・・・



2日のフィガロ紙です。中国などでは2008年の十大出来事とかが発表になっていますが、フランスでは、20の重大出来事です。

(政治)
・地方選挙:地方自治体の首長選挙。2007年の国民議会選挙のようには与党のUMP(国民運動連合)も圧勝というわけには行かない。地域レベルでは社会党が根強い基盤を持っている。社会党・ドラノエ現市長の再選がかかっているパリをはじめ、大都市の市長選挙でそれぞれの党勢が見えてきそう。
・党首選挙:その社会党、今年退任予定のオランド第一書記の後任は、ロワイヤル女史か、ドラノエ氏か。2012年の大統領選挙も視野に入れての後継選びに。

(外交)
・7月からフランスがEUの議長国に。移民問題を受け入れ側のヨーロッパ諸国と送り出す側の国々と共同で解決していくことが大きなテーマ。

(教育)
・土曜授業:9月の新学期から小学校の土曜授業が廃止される。中学校は2009年の9月から。
・バック:バカロレア(大学入学検定試験)の実施が例年より1週間遅くなる。理由は、最終学期の授業が最後まできちんとできるように。

(スポーツ)
・サッカー:ユーロ2008(ヨーロッパ選手権)が夏にオーストリアとスイスの共催で行なわれるが、フランスはイタリア、オランダ、ルーマニアと「死のグループ」に。決勝トーナメントに進出できるか。
・五輪:8月に北京で行われるオリンピック。柔道、フェンシング、自転車といった伝統的に強い競技と、最近力をつけてきた競泳、ボート、ヨットなどで30個以上のメダルを獲得し、メダル獲得ランキング7位をめざす(さて、日本は・・・)。
・競馬:3月から競馬の馬券がインターネットでも買えるようになる。

(文化)
・展覧会:マリー=アントワネットがいかに文化振興に尽くしたか、という視点から彼女の人生を振り返る展覧会が3月15日から6月末までグラン・パレで。
・映画:人気コミックAsterix(アステリックス)の新作実写映画“Asterix aux Jeux olympiques”(「アステリックス、オリンピックへ行く」)が有名俳優、スポーツ選手、モデルなどを大量にキャスティングして完成。1月末に公開予定。
・文学:2006年に“Bienveillantes”(10万部でベストセラーともいわれるフランス出版界で、70万部売り上げた!)で多くの賞を独り占めしたアメリカ人作家、Littell(リッテル)の新作が1月に小説、エッセイそれぞれに出版予定。

(社会)
・改革:週35時間労働と年金制度の見直しが。会社と労組の話し合いで35時間以上に増やす事が可能に、また年金支払い期間が一律41年(2012年)になるよう漸増開始。
・健康:アルツハイマーに対する取組みを強化。研究費の増額や患者を収容する施設の近代化などを積極的に行なう。
・環境:クルマに対するエコ・スティッカーを制度化するなど、より積極的な取組みを実施。
・司法:1897年から2003年にかけて若い女性7人を殺害した犯人の裁判開始。
・交通:クルマのナンバー・プレートの制度が今年末から徐々に変更に。今まではナンバーで登録された場所が分かったが、新しいシステムでは、分からなくなる(日本でもあるように、いわゆる他県ナンバーに対する嫌がらせとかがあったのでしょうか・・・)。
・科学:国際宇宙ステーションへ向けて2月にさまざまな実験装置を搭載した衛星を打ち上げ予定。
・宗教:9月、聖母マリアの出現150年を祝うルールドをローマ教皇ベネディクト16世が訪問。初めてのフランス訪問になる。

(経済)
・クルマ:売り上げ好調な4WDマーケットを狙って、ルノーが韓国の工場で生産している車種(Koleos)を5月にヨーロッパ市場で発売。販売目標は5万台。
・金融:今まで郵便銀行と信用金庫でしか作れなかった預金口座“Livret A”がどこの銀行でも作れるように。しかも2月には、利息が3%から3.5%に上がる予定。

ということで、今年実施される20の事柄。いかがですか、いろいろなことが今年も行なわれるようですね。しかも、新たな事件が日々起きるわけですから、今年も新聞・雑誌やネット上での情報から目が離せません・・・でも、時々しんどくなりますが、皆さんの応援で、何とか頑張りましょう。

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アジアは、ネットワーク。

2007-12-29 05:19:45 | マスコミ報道
先日、アジアからの積極的な進出にフランス人が少し気分を害しているようにも読める新聞記事をご紹介しましたが、もちろん同じフランス人でも立場が違えば、対応も異なる。そんな例をひとつご紹介しましょう。

アジアから拡大するEUマーケットへ進出。そうした企業も多いのでしょうが、ヨーロッパ諸国も、ただ待っているだけではなく、ぜひわが国へ、わが町へ、とさまざまな働きかけを行なっているようです。雇用、税金を考えれば、どこの国の企業であれ、進出してくれるのはありがたいことなのでしょうね。

アジアからの企業誘致がうまく行っているフランスのある自治体が1ヶ月以上も前!ですが、マタン・プリュス紙で紹介されていました(投稿忘れを年末に慌てて公表したな、と勘ぐられた方、正解です! ごめんなさい。でも、面白いから読んでくださいね。)。



「ヴァル・ドワーズ県(le department du Val-d'Oise)におけるアジアビジネス」という見出しです。パリの北郊、イル・ド・フランス地域圏に属するこの県は、以前から海外の企業誘致に積極的で、進出しやすいようにサン・クリストフ工業団地(le technopole Parc Saint-Christophe)を整備するとともに、海外に駐在員オフィスを設置。なんと大阪には20年も前からオフィスを構えているそうです。その成果は、67というこの地域に進出している日本企業の数が物語っています。この数は、フランスではパリについでの多さだとか。工場だけではなく、ここにフランス本社を置いている企業もあるそうです。67社で雇用されている人員は2,000人。雇用をはじめ地域経済に良い影響をもたらしているようです。

この県の魅力は、パリとシャルル・ド・ゴール空港に近いこと、それでいて土地がわりと安価なこと、そして安全なことだそうです。

今、この県が日本企業に続き、誘致に力を入れ始めているのが中国企業。3年ほど前に上海に駐在員オフィスを開設。その成果が早速現れたようです。進出を決めたのは、通信企業の華為(Huawei)。次世代通信ネットワークソリューションを提供する企業で、本社は深セン。日本法人もすでに企業活動を行っているそうです。この企業の製品・ソリューションの利用者は世界で5,000万人を超えているとか。この華為がヴァル・ドワーズ県の工業団地に西ヨーロッパのリージョナル・オフィスを設立することにしたそうです。従業員はとりあえず200人。

迎える工業団地側は、早速レストランに中国人コックを採用し、アジア料理をメニューに加えた!(日本料理は出ていたのでしょうか・・・) さらに、住居の手配をサポートしているそうです。

この記事は、アジア人・企業はネットワークで動いていると言っているのですが、もちろんそれはこの中国企業が通信ネットワーク関連の企業だからというだけでなく、アジアはつながりで動く・・・1社が進出すると、その評判を聞きつけて、他の会社も進出する・・・最初の進出企業を見つけるまでは大変だが、最初がうまく行けば、後は次から次へと続いてくる。要は、横並び、右へ倣え・・・と言っているようです。

確かに、日本企業というか、日本人にはこうした傾向がありますね。よく見抜いています・・・と、感心するまでもなく、分かりやすいのかもしれませんが。もちろん、良い悪いではなく、特徴としてあるということです。どこの国にも個性はありますから。また、1社進出すると、その関連会社が一緒に出て行くということもありますので、全部が全部単に右へ倣えで進出するわけではないのでしょうけれど。

では、中国企業は・・・日本企業ほどに集まるでしょうか。中華街とかがあり、確かに自分たちだけの街を造る傾向はありますが、それは個人の場合で、企業の場合はどうでしょうか。何しろ、中国もどちらかと言えば個性の国。フランスほどではないかもしれませんが、日本よりは自己主張の強いお国柄。どうなりますか・・・。フランスから見ると日本も中国も「極東」。同じような国に見えるのかもしれませんが、実際にはいろいろと違いがありますよね。日本語と中国語はほとんど同じなのだろうと言うフランス人も多くいますが、実際には文法、発音などかなりの違いがあります。言葉だけでなく、文化にも。そうした違いをフランス人がどれほど分かっているのでしょうか。

せっかく企業誘致がうまく行っているヴァル・ドワーズ県。中国企業に、今までの日本企業と付き合った経験則だけで接して、問題が起きなければいいのですが。全くの部外者ながら、そう祈っています・・・と言いながら、実は、どうなるか興味津々なのですが―――。

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仕事納めは、「日本」で締めよう!

2007-12-28 05:35:41 | マスコミ報道
28日は仕事納め。昔は御用納めと言ったりしましたが、どうも最近では仕事納めのほうが一般的なようですね。証券取引所の仕事納めである大納会は28日から30日に移ってしまいましたが、そこでは手締めが恒例ですよね。一本締め、それとも三本締めでしょうか。今年のフランスでは、「にほん締め」。そう、日本締めです。年末のフィガロ紙上で、日本に関する話題がそこにも、ここにも!


まずは、トヨタがカーメーカーとして世界一に! 26日の経済面のトップ記事です。見出しは、トヨタの祝典、といった意味ですね。今年951万台を生産し、926万台のGMをついに追い抜いた。これで80年間世界の自動車業界に君臨してきたGMの天下もおしまい。クライスターのコピーから始まったトヨタが遂にそのアメリカを追い抜いたという美しいリベンジだ、と言っています。やった、これでアメリカの天下もひとつ終わった! でも、代わりにトップに立った日本は所詮コピーの国、真の世界一じゃない・・・日米を一刀両断にしている、という意地の悪い読み方もできなくはない、皮肉あるいはエスプリの効いた一文も含まれています。

販売台数は、GMの最終発表待ちのようですが、たぶんトヨタが販売台数でも世界一。そして、トヨタは来年以降も積極的なビジネスを展開しようとしている。2008年の販売目標は5%増の985万台。しかし、楽観できない経済環境も指摘されている。サブプライム問題の影響で、利益の半分以上を稼ぎ出している北米市場が冷え込んでくるのではないか。また、対米ドルでの円高やオイル高なども影響してきそうだ。

(シャンゼリゼ大通りにあるトヨタのショールームです)
しかし、株式総額でも世界のカーメーカートップで、GMの10倍にもなっているトヨタ。その潤沢な資金を生かして目標を達成しようとしている。まずは、積極的な海外展開。中国・ロシアでの販売台数を40%アップさせる。特に中国では、2010年までの生産100万台を目標にしている。また、インドでは、低価格車を投入し、4年で販売台数を4倍にしようと目論んでいる。そして、もうひとつの柱は、ハイブリッド車に見られる環境対策を中心とした、技術力の強化。こうした戦略により、来年以降は、2位以下との差を大きく広げようとしている!


次は、伊勢丹。27日の本紙最終面・全面です。世界のデパート紹介シリーズで、ベルリン、ドバイについで東京が第3弾。しかし、紹介されているのは伊勢丹のみ。右上に三越のポスターが出ていますが、三越については下のほうに小さく、伊勢丹との合併が紹介されているだけです。伊勢丹を代表に、日本のデパート業界を語ろうとする手法のようです。

多くのデパートが危機に瀕している中で、伊勢丹だけが確かな歩みを示している。伊勢丹は1886年の創業という老舗だが、今や若い消費者にとって、最も魅力的なデパートになっている。1日の来店客数が平日で7万人、週末には12万人を数え、初売出しの1月2日には20万人が予想されている。こうした集客力の高さを背景に、テナントへ伊勢丹オリジナルの商品を企画させたり、買い物客にとって便利なようにブランド毎ではなく、アイテム別の陳列を徹底したり・・・

ところで、日本の消費活動には驚くべきことも多い。年のはじめの福袋。何が入っているか分からない袋を買い求めようと多くの人が殺到する!? また、まだ続くお歳暮という儀式! そして、流通は新たな生活者像を作り出すことさえできる。例えば、“rurbain”・・・半分都会・半分自然というライフスタイル。また、伊勢丹のメンズ館発の情報により、くすんだ僧侶の服のようなスーツ姿だった日本のサラリーマンがおしゃれに変身した! デパートが新たなライフスタイルを作り出している!

ファッションコーナーは季節を先取りして、もう春。店内ではいろいろな催事が次から次へと行なわれ、消費者の関心を常にひきつけている。またアジアの消費者にとっても、買い物のメッカになっているようで、韓国語や中国語のできる店員も配置させているほどだ。


これは、JR東海。27日の経済欄です。自社の資金で東京―名古屋間にリニアを開設することにした、という記事です。JR東海のリニアが完成すると、乗客を乗せて時速500km以上のスピードで走行することになり、将来的に大阪まで延長されると、その550kmの距離を1時間で結ぶことになるそうだ。JR東海はこの事業に毎年18億ユーロ、総額320億ユーロをつぎ込んで、東名間で2025年に運転開始する計画だ。

しかし、リニアについては、30年も前からアイディアは語られてきているが、実現されているのは、ドイツ企業が作った上海の空港と市内を結ぶ路線のみ。そのドイツでも、2006年に走行試験中の事故で25人が亡くなっている。果たして、従来の方式を超える輸送システムになるのだろうか。フランスにはTGVがある! 試験運転で574.8km/hを出しており、何もリニアに追随することもない・・・と、記事の後半は、TGV擁護に終始しています。


そして、最後は、資生堂の全面広告(26日付)。1988年以来、バイオテクノロジーを生かした製品(Bio-Performance)で、ヨーロッパ女性の美の追求のお手伝いをしてきました。いつも変わらぬご贔屓ありがとうございます。よいクリスマス・新年を。

これだけ、「日本」が続けて、しかも大きく紙面を賑わすことは、ちょっと珍しいかもしれないですね。来年の日仏交流150周年のプレリュードだ、などとひねくれた見方をせず、日本の存在感も捨てたものではないと、素直に思いましょう。何しろ、年末。最後良ければ、全て良し。楽しく行きたいものです、ね!

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追う有名人に、逃げるパパラッチ。

2007-12-21 05:15:00 | マスコミ報道
このタイトル、間違いではありません。有名人が追いかけ、パパラッチが逃げている??? 普通は、逆で、有名人をパパラッチが追いかけますよね。ダイアナ元妃の最期もそうでした。いつもとは逆に、パパラッチを追う有名人が、フランスで増えている!!! どうしたのでしょう・・・



19日のフィガロ紙です。有名人の二役というか、自作自演をマスコミが非難しています。背景は、有名人の私生活・プライヴァシーの保護とその報道。そして事の発端は、そう、サルコジ大統領と新しい恋人の写真報道です。



18日のフィガロ紙ですが、こうした二人の仲睦まじい写真が19日以降、いくつかの雑誌に登場してきています。相手が元トップモデルにして、有名なシンガーソングライターだということで、特に大きな話題になっているわけですが、ここで改めて、有名人のプライヴァシーとその報道について論評する記事が増えています。しかし、あくまで論評であって、サルコジ大統領やお相手のカルラ・ブルーニのことを根掘り葉掘り報道しているわけではありません。

さて、マスコミの非難は、要約すると、自分や家族の写真を無断掲載された有名人がマスコミを(パパラッチ個人ではなくその写真を掲載した出版社や新聞社を相手取るわけですが)訴えるケースが増えている。しかし、その中には、賠償金目当てや話題づくりに利用するケースも少なくない。例えば、自分と子供の写真が掲載された際、これでは子供の顔が判ってしまい、身に危険が迫る、と訴えておきながら、別の雑誌にその子供と一緒に堂々と登場している有名人。自分と家族がやっているプロダクションが掲載を事前にOKしていたにもかかわらず、写真掲載を裁判沙汰にした有名俳優。テレビ番組への復帰を盛り上げるために、わざと写真を撮らせておいて、それが出版されるや、訴えて話題づくりに利用した有名人・・・有名人の住む世界は、どこでも大変なようですね。海千山千、生き馬の目を抜く・・・

しかし、中にはマスコミから信頼されている有名人もいて、ヤニック・ノアやジョニー・アリディーなどはこうした二枚舌を使わない有名人として知られているようです。

プライヴァシーを楯にマスコミを裁判に訴える有名人と、敗訴しないようしっかりした弁護士を雇うマスコミ。そうした戦いが、今年だけで、何と397件もあったそうです。プライヴァシーの保護に関する訴訟件数だけで、397件ですって! もちろん有名人には、俳優・歌手・テレビ関係者など以外に財界人・政治家なども含まれます。ロワイヤル女史とパートナー関係を解消した後、新たな恋人とのヴァカンスを盗撮されて訴えたオランド社会党第一書記などが特に有名ですね。

では、有名人が訴えた場合、どのくらいの賠償金になるのでしょうか。オランド氏の新パートナーが得た賠償額15,000ユーロ(約250万円)が平均的なんだそうです。盗撮されて掲載された写真1枚が約250万円! もちろん、その内容や訴えた有名人にもよるのでしょうが・・・因みに、医療事故や交通事故で亡くなった子供に対する賠償が30,000ユーロ(約500万円)だそうで、それに比べてプライヴァシー保護に関する賠償金は高過ぎると、マスコミ側の弁護士は言っているようです。

なお、2006年に勝訴した有名人の賠償額トップテンも出ているのですが、ペルノー夫妻(夫はTF1の午後1時のニュースのキャスターを20年近く続けており、夫人は俳優でテレビの司会もこなす、有名人カップル)で、526,500ユーロ(約8,700万円)だったそうです。2位はモナコ公国の大公家。何かと話題を提供してくれますよね。また、去年、今年と連続して訴訟を起こしているのは、大公家や歌手で俳優のパトリック・ブリュネル、TF1の夜8時のニュースのキャスター(金・土・日担当)のクレール・シャザルなどです。それだけ、話題になる有名人だということか、よほど秘密にしていることが多いのか・・・

なお、こうした有名人のプライヴァシーに関する訴訟事件を担当することが多いのが、パリ西郊、ナンテールの裁判所。どうしてかというと、有名人に有利な判決を出すことで有名なんだそうです。問題の写真が出版されている街ならどこででも訴訟手続きができるそうで、みんなナンテールで訴訟を起こしているようです。有名人の駆け込み寺・・・ちょっとニュアンスが違いましたね。失礼。


(17日のフィガロ紙第一面です)

サルコジ大統領は、今回の新しい恋人出現に関する写真報道について、今のところ、沈黙を守っています。一方、こういった話題の好きそうなイタリアでは(偏見?)、結婚を前提にしているとかいないとかといったブルーニ(もともとイタリア人)の母親のコメントが紙面を賑わしたようです。

なお、こうしたサルコジ大統領の恋人報道について一般的フランス人は、といっても周囲の10人弱に聞いただけなのですが、大統領の職務遂行に支障がなければ全く問題ない。プライヴァシーはプライヴァシー、誰にも個人の生活はあるわけで、それと仕事は別ものだ。やはり、こう考えるのがフランス式反応のようですね。ただし、ひとつだけ笑ってしまうのは、と数人が言っていたのが、五十代の大統領ともうすぐ39歳という有名歌手がデートした場所が、ディズニーランドとは!!! びっくりというか、どういうセンスかと思ってしまう、ということでした。でも、実は、ディズニーランド・パリは今年開園15周年。ひょっとして、恋人は本当としても、デートの場所をディズニーランドにしたのは、15周年の掉尾を飾るクリスマスのヴァカンスを前にした話題づくりだとしたら・・・何しろ、有名人、有力企業、そしてアメリカ好きな大統領のことですから・・・

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2008年の日本、どうなるか・・・一大予測。

2007-12-13 05:24:44 | マスコミ報道
もう師走も半ば、来年のことを言っても、鬼も笑わないでしょう。


ということで、“Courrier international”(『クリエ・アンテルナシオナル』:フランス)と“The Economist”(『エコノミスト』:イギリス)が世界の2008年を大胆に予測しています。


その中のアジア。まずは、中国。このあたりにも、政治経済を中心に世界がどの国に特に注目しているかがなんとなく現れていますね。因みに右ページは、オリンピックでのテロに備えての訓練風景。先日のテレビのニュースでも紹介していましたが、フランス人が教官で、そのノウハウを伝授しているそうです。中国の後に、アジア全体の概観が出ていて、その後に、我らが日本。


くれぐれも、落ち着こう。どうしてか・・・いつも政治的に落ち着いている日本が、来年は変動の年を迎えるかもしれないからだ。総選挙で野党の民主党が政権の座に就くかもしれない、と言われている・・・

わずか9ヶ月というごく短い期間を除いて半世紀もの長きに亘って権力の座についてきた自民党がついにその座から降りることになるのかどうか・・・参院選で勝利した民主党の小沢党首は真の政権交代を標榜している。そして、その政権交代が実現するかどうかの総選挙が来年中に行なわれると予想されている。

参院選の敗北の後、僅か1年という短い期間で総理の座を降りた安倍前首相に代わって登板した福田現首相は、選挙管理内閣だとか、一時凌ぎ、場つなぎの首相と見られていたが、その能力と協調路線によって、当座のテロ対策法、自衛隊の海外派遣などに関しては、民主党の攻勢を凌ぎきってしまうのではないだろうか。内政に関しては、日本はもはや改革を行なうべきではないという民主党の意見を受け入れることはないだろう。そして、高齢化の中で新たな成長を遂げるための鍵を見つける必要性を強調するのではないか。

福田首相は財政赤字を改善する予算を提示することになるだろう。民主党も予算策定前に政権を転覆させて総選挙にもって行くことはしないだろう。もしかすると、北海道でG8の行なわれる来夏も、福田氏が首相の座にあるかもしれない。その後に、総選挙。その結果は・・・参院選での民主党躍進は、国民が政権交代を求めたのではなく、政権与党へお灸をすえたものだったということを示すことになるのではないか。つまり、民主党は議席を増やすだろうが、しかし自民・公明の連立与党の獲得議席数を上回れないかもしれない。すると、どうなるだろう・・・より大きな不満は自民党内ではなく、結局は政権を取れなかった民主党内に渦巻くのではないか。そのとき、小沢代表は・・・健康に不安を抱えており、また14年前に自民党を割って飛び出したような過去をもっているだけに、もしかすると福田首相よりも先に党首の座を降りてしまうことになるのではないか。そして、一時凌ぎと見られていた福田氏が、首相の座にすわり続けることになるのではないか・・・

来年の総選挙で民主党が獲得議席数を伸ばすが、連立与党を上回れず、政権は自・公連立政権のまま。そして、小沢氏は党首から降り、短命と見られていた福田内閣が長期政権化する・・・私の読み間違いでなければ、こういう予測のようです。自・公の勝利でもなく、政権交代でもなく、その間のこんな予測も立てられますよ、という、いかにも皮肉屋のイギリス・メディア(執筆は『エコノミスト』記者)らしい記事ですね。さて、この記事の読み、当たりますかどうか。日本を読み解く力、私のフランス語読解力よりもずっと上かもしれません!

(この雑誌、パリ日本文化会館にあるのを読んでいたのですが、ほかの事をやっているうちに自分で持って行った新聞の間に挟まってしまい、帰る際、気付かず新聞と一緒にカバンの中へ。すると、出口で、見事にブザーが。盗難防止に全ての書籍類にバーコードが貼ってあるんですね。これで、ついに、雑誌持ち逃げ未遂犯?! そんな苦労もして(?)作っているブログです。応援、よろしくお願いします。)

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