昨夜すでにきれいな星空でしたがそのまま就寝。ところが日付が変わって(9月18日)、真夜中1:00頃だったかしら、
変な時間に目が醒めて、そのあと寝付けませんでした。そのまま寝袋にくるまっていましたが、ついに我慢できなくなって
時計を見たら3:00前。テントの外を見るとちょうど北鎮岳方面に天の川が見えました。今朝は黒岳の山頂で夜明けを
迎えることにしていて、まだ少し時間があるようなので、せっかくだしここでまた星を撮ってみるか!となりました。
外に出てガサゴソ撮影準備していると、隣のテントの北海洋さんも起きだしてきて、結局二人で30分くらい撮影しました。
この朝も9月の山上としては異例の暖かさで、これだけ晴れ渡っているのに15℃くらいはあったのではないでしょうか。
10カットほど撮影しましたが、すべて同じ構図なのでその内から撮影順に3枚だけ紹介します。ISOは3200から撮り始め、
少し感度を下げながら撮り続けました。このあたり二度目ということで、ちょっと余裕が出てきたんでしょうかね。
上の写真が一番肉眼に近い星空って感じながら、天の川があまり目立たず、ちょっとつまらない印象。
これが天の川の雰囲気も出ていて、バランスとしては一番いいかも。左が北鎮岳、右が凌雲岳、山の輪郭もきりっとしてきました。
肉眼ではまったく気がつかなかったけど、山の上空に薄い雲がたなびいていたんですね。ちょうど撮影の合間に
流れ星が流れた。ほしかったね。
♪ 見果てぬ夢に願いを込めて
咲いたロマンスきらめくロマンス
星が流れる夜空を駆けて
青い命 永遠に輝け
Starry Light ただ見つめ合う
Lovely Night 言葉はいらない
Starry Light 流れる星の
Lovely Night きらめく夜に
Starry Light Lovely Night
Starry Light Lovely Night
(星空のページェント/詩:山木康世)
撮影時間はバルブで適当に時間を数えながら撮りました。これなどは時間が長くなった分だけ明るく写ったのでしょうか?
実際肉眼で見ているのとは一番印象が変わってしまっていますが、天の川のふんわり漂う様子といい、色合いはきれいですね。
肉眼ではほとんど気にならない上川、あるいは遠く旭川の街明かりが上空の雲に反映、照らし出されているのかもしれません。
暖かいとはいえ、さすがに少し体も冷えました。コーヒーを飲んで一息入れたら、黒岳山頂に向かうとしましょう。
この前の白雲岳テン場編で書き忘れたサイドストーリーを一席。
今年の夏は異常な早さで雪どけが進んだので、白雲岳避難小屋にある水場が枯れるのを心配していました。
ここの水場は雪渓の雪どけ水を利用しているので、案の定雪渓は早い段間でなくなり、一時はチョロチョロしか
流れず、枯渇寸前だったそうです。
ところが、私が訪れた際にはとうとうと流れていて、まったく取水には問題ありませんでした。
しかも口に含んでみると、ものすごく甘みがあっておいしいんです! たとえるなら、阿蘇周辺の湧水を
口に含んだ時に感じるあの甘さと同じ感覚に思えました。雪渓の雪どけ水は、一見とてもきれいですし、
またものすごく冷たいのでおいしいように思われがちですが、実際には泥なども一緒に混ざり込んでいる場合が
多く、泥臭い味がしてそれほどおいしくない、はっきり言って「まずい!」ですね。私がわざわざポカリの粉末を
水に混ぜて飲むのは、塩分や栄養を補給したいというよりも、「味を誤魔化したいから…」の意味合いの方が
大きいんですよ。
この話をこのテン場で長逗留している顔見知りの「元・銀泉台パトロール員」さんにしたところ、9月に入ってから
降り続いた雨が地盤に一度しみこんだものが、湧水として湧き出ているのが流れているんじゃないからかな?
というお答えでした。私もまったく同感で、ですから一度は枯れかけた水場に、あんなに豊富にきれいな水が
流れているんだろうなと思いました。
で、何が言いたかったというと、この水で割ったウィスキーのお湯割りが甘みがあってとても美味だったのです。
これまで何度もこの水場を使っているけど、こんなに感心、感動したのは初めてでした。ですから、うれしくなって、
ついがぶがぶ飲み過ぎた! というのがオチなんです。
……がぶがぶ飲み過ぎたいところなんですが、山に持ち上げるお酒の量には限りがあるし、そうはいかないんですね。
でも、高地なのと歩き疲れで、少量でもけっこう酔いがまわり、頭の中を星がぐるぐるまわっています。
下界では基本お酒を薄めない私がお湯割りをするわけは、
・二日酔い防止(以前ストレートでウィスキーを飲んでいて、あくる日喉が渇いてえらい目にあったことが…
飲み水に限りのある山での喉の渇きは致命的ですからね)
・エキノコックス予防(水を煮沸することで一石二鳥)
・体を温めるため(日没後は急速に気温が下がることが多いんです)
というような理由で、いつの頃からか「山ではウィスキーのお湯割り」が定番になった私です。
でも本当は、大量の汗をかいたあとなので、ビールを飲みたい気分の時が多いんですよ!
ひとりじゃなかなか持ち上げられないんですね、ビールまでは。
「星が流れているような写真を撮りたい!」みたいな願望は以前からありました。で、試しに写してみたのが
上の写真です。たしか「20分以上撮らないと流れているようには写らない」みたいなうろ覚えの知識があって、
およそ20分くらいバルブでシャッターを開けっぱなしにして撮ってみました。ところが、ISOを3200のままで
写したので大失敗!こういう場合は感度は低いままでいいと、これもあとで北海洋さんに教わりました。
実際その場でモニターで見ても真っ白でしたし、これは使い物にならないなと思っていました。
ところが、ここからがデジタルのさらにすごいというか便利なところで、こんな完全な失敗写真でも「それなりに」
見えるところまでDPPで修復できたので掲載してみました。明るさをメイッパイ(マイナス2)下げて(露出補正して)、
さらにシャドウも何段階か下げた結果、なんとかそれらしく見えるところまで回復したような感じ。元々遊びというか、
実験的に撮っている写真なので、まあこれでいいとしておきましょう。
意識したわけではないけど、たまたま北の方を撮っていたらしく、星が北極星らしきのを中心にぐるぐるまわってますね。
この撮影中ももちろんずっと夜空を見上げていました。考えられない暖かさだったんですね。
ここ白雲のテン場から見える一番のハイライトはトムラウシですが、広角だと遠いので小さくしか写らないし、明るいのか、
肉眼ではこちら方面は明らかに星数が少ないように思えます。しかし、ちょうど天の川が真上に横たわっているようだし、
ダメ元で撮ってみました。本当はこの逆側(白雲分岐方面)が星数も多く、天の川もバッチリなんですが、山岳風景的には
はっきりした山容がなくて、つまらないんですよね。
三脚をセットしたすぐ横のテントには明かりが灯り、まだ起きているようです。この女性ソロキャンパーとは
夕方白雲岳山頂で一緒に夕景を見ていて、たまたま行動を共にしたんですが、さすがに女性のテントのすぐ横で夜中に
ゴソゴソやるのはちょっと気を使いましたね。テントを利用したことがある方はおわかりでしょうけど、薄い布一枚で
隔てただけのテント生活では、すぐ横に人が居る感覚ですからね。昨日のテント7張りはすべてソロキャンパー。
この日の7、8張りもカップルの一組を除くと他は連泊中心のソロキャンパー。連日静かなテントサイトでした。
肉眼以上に明るさが際立つトムラウシ方面ですが、星も見た目よりは多く写り込んで、予想以上に定着してくれました。
高根ガ原に雲(雲海)が流れているのもわかります。トムラウシ(中央)を挟んで右が美瑛~富良野方面の明かり、
左が新得~清水あたりの明かりではないかと推察されます。
天の川が雲のようにたなびいて…それなりに雰囲気のある写真になったとしておいてください。
♪ 僕らを乗せて飛んで行く 宇宙船地球号
遥か銀河の風を受け 過去から未来へ
星空のページェント 朝まで
君を両腕で 抱きしめて
Starry Light Lovely Night
Starry Light Lovely Night
(星空のページェント/詩:山木康世)
撮影後、ようやくお酒にありつき、ホットウィスキーをチビチビと飲みました。小一時間後、歯みがきと小用を足すために
再びテントの外に出たところ、さらに星数が増しているようでした。もしかして、私の眼前だけ星がチカチカ飛び交って
いたのかもしれませんが… 本当ならここでもう一度写すのが「プロ」、しかし、お酒の入った状態でカメラを操作するのは
危険ですし、すでに山時間では真夜中(この時点で21:00頃だったかな?)、素人さんにはここらが潮時だったでしょう。
明日の予報は曇りのち雨。もしこのまま天候が持ちこたえてくれれば、早朝から撮影に向かいますし、寝る時間もなくなっちゃう。
天気がいいのを願いつつ寝袋に潜り込みます。
おやすみなさい。
♪ 梢をすべり落ちる星 真夏の賑わい
遥か宇宙をさまよって 燃えて落ちて行く
星空のページェント 朝まで
君を両腕で 抱きしめて
Starry Light Lovely Night
Starry Light Lovely Night
(星空のページェント/詩:山木康世)
山中泊すると星を見る機会が多々訪れ、それは下界で見るよりも桁違いに素晴らしいことが多いのです。
ただ、これまで星空の写真を撮ったことがありません。撮り方がわからない…のが一番大きな要因でしたが、
簡単に感度を変えられないなど、フィルムカメラでの星撮は素人にはハードルが高い印象でした。
少し前にデジカメに替えたことでこのハードルが取り払われ、さらに夏の北アルプスで撮った星空の写真を
メールに添付してくださった東京のHさんの撮影データ(ISO3200 30秒だと思ったけど)が頭の片隅にあり、
撮影の下地は出来上がりつつありました。
もうひとつ写真を撮る気が起らなかった要因が「寒さ」。星がきれい=空気が澄み切っている=寒い!!
のが常で、夏でも数分見ていられたらいい方で、「ブルっ」と寒気がしたらすぐにテントに逃げ込み、
寝袋に潜り込んでしまうのでした。ところが今回の秋山は、夏でもこんな暖かさは経験したことがないというくらい
気温が高かったので、このハードルも省かれてしまったのです。その他諸々条件が重なって、今回初の星撮となりました。
二回撮影機会がありました、計三回にわたり掲載したいと思います。
まずはこの日(9月14日)の夕方、白雲岳で夕景を撮影し日没後下山、白雲分岐まで来たらすでに空には
わずかな残照しかなくて、ここからはヘッドランプの明かりを頼りにテントサイトを目指します。星が瞬き始めていました。
アルファ米などで夕食をとり、普通でしたらこのあとお酒を飲んで就寝となるところ、その前に星でも撮ってみるか!と
なって準備開始です。レンズにほぼ常設のPLフィルターを外すなど「面倒くさいなあ」とテント内で体制を整えますが、
何とか口実をつけては「やめたい」と、まだまだこの頃は思っていたのです。
日中行動する服装にウインドブレーカー代わりのカッパの上を羽織っただけの格好で外に出ますが、
これで全然寒くない! 夏でもありえない暖かさです。テントのすぐ前で三脚を構えて撮影を開始します。
ピントも適当、いい加減なものです。カメラはEOS5DMK2、レンズはタムロンの広角ズームの一番広角側
(17mm、F2,8)です。(以下、すべての写真が同じ撮影機材です。三脚はジッツオ。) 感度はISO3200、
バルブにして適当に20~30秒くらい数えてシャッターを切りましたが、これはのちに北海洋さんに
「マニュアルにして撮ったらいいのに!」と指摘されました。なるほど!ははは、普段絞り優先でしか
撮っていないのでねえ… 次回機会があったらそうしますわ!
撮影した一発目のが上の掲載写真です。モニターで確認したら、「あっ、写ってる!」って感じ。続いて
もう一枚シャッターを切りました。
そして三枚目、少し構図を変えて写したのがこれ。白雲岳の山容がよりはっきりわかるから、こちらの方がいいかもね。