「年賀状使用作品シリーズ」 その7(2003年)
この年(2002年)の北海道、ずいぶん春の訪れが早かったようです。とほ民宿で行われた
旅仲間の結婚披露パーティに出席するため、珍しくGW中に旅立ちを早めたのが、結果的に
功を奏することになりました。
前夜の祝宴の際、久保田・千寿やよしのみのニセコワインなど私の食指の動くお飲み物がたくさん
用意され痛飲、この日の朝は二日酔っていたことを白状します。宿のみなさんに別れを告げ、
せっかく春に初めて自分の車で来たのだし、これまで行ったことのない滝の上のシバザクラを
見に行くことにしました。例年でしたら5月中旬~下旬が見頃なところ、この年はもうすでに
ほぼ満開だったのはラッキーでした。
一通り園内を回り写真を撮影、一番気に入ったこの場所で三脚を構え待機します。
この日は基本的には「晴れ」ながら、雲が多いやや不安定な空模様です。日が翳る時間帯が
多いものの、時折雲間から差す日差しは強く、撮影にはおもしろい光線が来ました。
しかし、この日はたしかGWの最終日で、さすがの北海道でも人出はかなり多くて、この写真の中には
奥のシラカバ林に伸びていくような道と中央部左から右に向かって登っていくように横切る道の
二つの遊歩道があり、人が途切れることがほとんどありません。
ようやくいい光線がきたと思ったら人が歩いているし、人が途切れたと思いきや日が翳る…
これを何度繰り返したことでしょう。長い時間立ち止まって記念撮影などするグループがあったりとかね。
そのうちお腹は空いてくるし、これからの予定(行き先、宿泊場所)などもまったく決まっていなかったので、
それを考えると焦るし、イライラしてきてねえ。当時は携帯電話も持っていないし、緑の電話機まで
行かなければならず、そんな段取りを考え出すとなかなか撮影に集中できなかった覚えがあります。
それでもかなり粘ったかいがあって、人を入れずに、いい撮影条件がそろったタイミングでシャッター
を切れました。まさに「ビギナーズ・ラック」、これ以降二度シバザクラの季節に滝の上を訪れましたが、
残念ながらこれより気に入った写真は撮れていません。
ところで、本当はこの年、当初別の写真を年賀状に使うつもりだったのです。美瑛川の砂防ダムの堰止湖、
今でいう「青い池」ですか、その写真を使おうと試し刷りを重ねても、当時のプリンターとインクジェット紙では
なかなかいい色が出なくてね、諦めたんです。それでこの写真にお鉢がまわったのですけど、昨年度も
ミヤマキリシマの「ピンク」でしたし、二年続けてピンク色ってのも芸がないと思ったんですね。
ところが一部の方からずいぶんお褒めの言葉を頂き、特に山荘ゆずりはのおかあさんは、行くたびに
この写真の話をされてねえ。そののち、他の写真(年賀状)を見ていただいた後でもそうだったので、
やや複雑ではありましたが、私でも人さまの記憶に残るような作品を撮れたんだと感慨深く思い、
今では自分でも気に入っている写真であり、これを使っておいて良かったなあと思っているんです。
【One More Pink Nightmare~滝の上のシバザクラ/2002.05.06 撮影】