旅にしあれば

人生の長い旅、お気に入りの歌でも口ずさみながら、
気ままに歩くとしましょうか…

20230413 北陸~東北春編㉑ 弘前の「復活の日」はあるのか? 青森県弘前市~雫石町

2023-04-13 04:13:01 | Weblog



4月13日(木) 晴れ時々曇り時々雨(目まぐるしく変わった)

天気予報が悪いほう悪いほうへ変わり、加えて、密度の濃い黄砂が降り注ぐ中、
ここしかなかろうと、13,14日の二日間で弘前入りを強行した。雲の多い
怪しげな気配の早朝、まずは下見だと、場内をくまなく歩きまわってみた。

そのうちパラパラ小雨が降り出した。この雨は黄砂混じりで濡れると厄介だ。たまたま
一緒に雨宿りすることになった40歳くらいの若いカメラマンに「今年の桜をどう
思います?」と話を振られたので、抑えきれず、本心を吐露した。もちろん彼が初見者
ならそこまでディスることなく、当たり障りのない返答に終始したであろうが、すでに
何度か訪れ、いい時を知っているみたいだったし、つい本音で語ってしまったのだ。


    

止み間をついて車に戻ったとたん、本降りの雨になった。黄砂をたっぷり含んだ雨は
一時間ほど降り続き、そのあと車のボディは悲惨な状態だった。ずぶ濡れになって
車に戻ってきた観桜客の姿もあり、あとの始末が大変だったことだろう。

待機中すっかり嫌気がさして、パーキングチケット片手に、すんでのところで出発という
ところまで気持ちが傾いたが、せっかくだから、せめて一日は滞在してみたらと、
自分自身をどうにかなだめすかせ、すっかり萎えてしまった気力を立て直した。


雨が上がると天気は急速に回復、青空が広がり、強い日差しが戻った。岩木山まで
見え始め、気分が良くなって、気をとり直し、もう一周城内を巡ることにした。


    

一時強まった風に、一部の花弁はすでに散り始め、早や花筏が形成されつつあった。
それはともかく、その奥に見える桜の木々のボリュームが、以前と比べるとめっきり
減ってしまったことが写真からおわかりいただけようか。

影季更月が…


    

西濠もほぼ満開状態だった。


    

外濠の桜。若木に植え替えたのではなかろうかという程度の枝ぶりの貧弱さ、花の少なさが
この写真からわかっていただけると思う。「弘前方式」と呼ばれる独特の桜の管理方法
(普通は極力切らない桜の枝木を、逆に思い切って刈り込むことで樹勢を維持、蘇らせる)
で、老木にもたくさんの花を咲かせてきたのに、切っても樹勢が戻らないのでさらに深く
切り込む、それでも戻らないのでさらに…の負のスパイラルに陥ったのではないかと
私は勝手に想像している。

石垣の改修工事が終わり、天守が戻されるという2025年に合わせ、それまで桜を
養生させ、万全の状態でその日を迎えられるように、わざと刈り込み量を多くしている
のではなかろうかとの、希望的観測を個人的にはしていたのだが、悪くなる一方の状況に、
さすがにあと2年で、従来のこんもりした茂みに戻ることはないように思えてきた。

極めつけは、二年前に年賀状用の写真を撮影した地点で、両側から濠に覆い被さるように
して張り出していた枝の多くが今回刈り払われ、すっかり見る影をなくしていたことだ。
夜桜を写していたとき、やってきた女性客が「ここが一番きれい!」と、聞こえよがしに
つぶやいたのをよく覚えていて、「そう、私も同じ見立てだからここで写している。
でも、少し前までは、園内こんなすごい場所だらけで、あっちもいい、こっちもいいと
目移りして大変だったんやで!」という私の心の声が、もしかしたら実際口から漏れ出て
いたかもしれない。その最後の砦すらなくなり、これで踏ん切りがついて、今度こそ
早々に離れたほうがいいとの結論に達した。


    

強い雨で黄砂がたたき落されたためか、青空が広がり、岩木山も見えてきた。結果的に
花の見ごろと天候をシンクロさせられただけにもったいない気もするが、致し方ない、
戦略的撤退だ。滞在4時間、一枚も写真を撮ることなく立ち去ることになろうとは、
まさかの展開である。


    

長距離移動して、岩手県雫石町まで戻ってきた。小岩井農場付近の桜も、ほぼ満開の
状態だった。一見天気が良さそうだが、撮影者側方面の上空は真っ黒い雲で覆われ、
そちらのエリアに入ると、雨がパラついていた。

写真は正午ごろのもので、岩手山は見えているものの靄っていて、夕方もう一度
出かけてみたが状況はさらに悪化、スゴスゴと引き返した。写真撮影的にはまったく
さえない一日となってしまったが、やれるだけのことはやったと思うしかない。

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