活字の海で、アップップ

目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

ターミネーター3

2009-08-02 00:00:08 | 映像の海
監督:ジョナサン・モストウ 
主演:アーノルド・シュワルツェネッガー
(※ その他、詳細データはWikiを参照のこと

※ このコラムは、ネタバレ注意です。


今日は、午後まで珍しくフリータイム。
なので、先日の余勢を駆って「ターミネーター3」に手を出すことに。

観終わった感想としては…。
「失敗した」この一言に尽きる。

間違ってもこの作品は、自宅のTVやPCモニターで観るような作品
ではない。
そうした見方をすれば、この作品の魅力の殆どに向き合えずに終わって
しまうことになるだろう。

そうした意味での”失敗”である。



この作品のサブタイトルは、”RISE OF THE MACHINES”。
つまり、機械の勃興とでも訳せばよいのだろうか?

前回のレビューでも書いたが、
「T1」が、未知のものに追われる恐怖。
「T2」が、未知のものへの戦いを挑む勇気。
を、それぞれモチーフにしていた。

そして、そのテーマに従って物語りは進められていき、「T2」の
ラストにて”審判の日”は回避された筈だった。

人の叡智と行動によって、未来は書き換えられたのだ。

その流れを踏まえた時に。
一体、「T3」では何をテーマにするのだろうと、観るまでは疑問
だった。
特に不安だったのは、このサブタイトル。
どうみても、スカイネットが完成し、機械VS人間の構図が完成する
ことを予言しているとしか読めない。

では、「T2」のラストはどうなるのだろう?
あそこで高らかに歌い上げた人類賛歌の行方は?

と、まあ不安な思いを抱きつつ、再生ボタンをクリック。

まず、ジョン・コナー。
既にあちこちで叩かれているので、特に論評は控えるけれど、
AMAZON書評子の”猿面冠者”の表現には、言いえて妙と笑って
しまった。

シュワちゃんも、寄る年波には勝てず、前作までの圧倒的な肉の厚みの
凄みが、かなりスモールダウンしてしまった印象は拭えない。
(「T3」公開時で、56歳。ちなみに「T1」時は37歳)


そして、新たな敵役となる、シリーズ初の女性型アンドロイドT-X。
前作までの、T-800(マッチョ派)、T-1000(ロデム派)
という特徴的なアンドロイドに対抗するのが、女性型というだけでは
少し物足りなさ感が。

ナノマシンにより他の機械を制御する機能を有するという点についても、
コンセプトは面白いんだけれど有効に活用していない。

場面によっては、目視しただけでパトカーを動かしたりしていたが、
そうなるとナノマシンでは説明がつかない。
不可視だけれど、ナノマシンを放出して操っているのかなあ?
で、即効性の有る制御をしたいとき(T-850を乗っ取った時等)は
直接触れる、と?

う~ん。無理があるよう。やっぱり。


まあ、そんなレベルの話はさておき。
はやり、一番気がかりなのは作品のコンセプト。
折角前作で人間って凄い!で目出度く終わったのに、未来は不可避だ。
でも、よりよくするために立ち向かうことは出来るっていう、何とも
中途半端な主張になってしまっているのが痛い。

「T2」で審判の日を回避できたと思っていたジョンが、逆に生の
目的を無くしてしまい、路上生活者寸前にまで落ちぶれていて、
そこから徐々に立ち直ってくるという流れはいいんだけれどね。

ジョン・コナーは、未来において無条件に市民防衛軍のリーダーと
なる訳ではなく、自ら闘わねばならないことをきちんと自覚して
リーダーとして成長していくという描き方の部分である。


このことから、未来と言うものは固定的なものではない。
確かに一度は機械の勃興は食い止められたが、新たな技術者の登場
によって新たなスカイネットが完成してしまう未来もあり得る。

この物語は、そうした未来におけるジョン・コナーの成長物語だ。

そう位置づけてしまえば、作品コンセプトとしては理解できなくも
ない。

ただ、それを、ターミネーターシリーズでやる意味があるのか?
となると、首を傾げざるを得ない。

やる価値については、ここまで認知されたネームバリューの活用
という点において、あると思うんだけどね。
#だからこそ、ターミネーターファン。分けてもキャメロンファン
 には、本作は不評なんだろうけれど。


少し辛口の感想となったが、この映画にも見所はある。

その最たるものが、冒頭に挙げた映像の迫力。
LA市内のカーチェイスの凄まじさ。
これは、劇場の大画面で観たかったなあ。

ただ、映画館の魅力は、何も大スクリーンだけではない。
多くの人と、同じスクリーンを見つめ、同じ点で泣き、笑い、
はらはらして、思いを共有すること。

時には、自分が思ってもいなかったところで隣の人がくすりと
笑う。そんな意外性も含めて、あの暗闇には不思議な魅力がある。


そういえば、最近映画館に行けていない。
今年の夏は、何か久しぶりに観に行こうかな。と思う。

(この稿、了)

(付記)
ターミネーターシリーズ(「T1」~「T3」)を、丹念に紐解いて
くれるHP。
それが、502@管理人さんが運営するTERMINATOR502
である。
未公開映像を始め、撮影秘話等がぎっしり。
とても面白く拝見しました。


ターミネーター3 [Blu-ray]

ジェネオン エンタテインメント

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T1を俯瞰して論評している本。
残念ながら、T2はあまり、T3に至っては全く触れられていない
けれど。
『ターミネーター』解剖
ショーン フレンチ
扶桑社

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「T3」のノベライズ。
一応、より物語の細部にまで言及され、納得感は高まるような作りに
なっているとのこと。
でも、以前「インデペンデンス・デイ」で、ノベライズにはがっかり
させられたことがあったからなあ。
ターミネーター3 (角川文庫)
デヴィッド・ハグバーグ
角川書店

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2 コメント

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Unknown (MOLTA)
2009-08-02 20:40:43
「俺の涙を返して欲しい」のフレーズに、思わず笑ってしまいました。

でも、気持ちはよく判ります。

でもまあ結局は著作権と金を持っているところの判断なので、消極的反意の表明として観に行かないくらいしか出来ないんですが。

#でも、実写版ヤマトは流石に酷い企画だと思う。
返信する
Unknown (宇宙ハンター55)
2009-08-02 10:56:07
シリーズ化するなら、場当たり的に続編を作るのではなく、シリーズとして完成したものにしてほしいです。
そういった意味では、猿の惑星はよくできていると思います。
一番最悪なのは、終わったはずなのに、別の続編を作って、それをベースにシリーズ化するパターン。製作者の大概の言い訳はパラレルワールドで別の結末も存在するというもの。
というわけで、宇宙戦艦ヤマトは映画版第2作で終了しているので、これ以上続編はいりません。(ヤマトの新シリーズが検討されているらしい。)
ヤマトが超巨大戦艦に突入していったり、ターミネーターが溶鉱炉の中に沈んでいった時の俺の涙を返してほしい。
見なけりゃいいじゃんと言われそうですが。(笑)
返信する

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