活字の海で、アップップ

目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

からくりサーカス 第1巻 藤田和日郎

2007-10-30 00:32:01 | マンガの海(読了編)



藤田和日郎の長編第2作。少年サンデーコミックス。

この作者の場合、2作目といえどそれぞれが超長編であり、
その長丁場を維持する作画力、ストーリーの構成力には定評がある。

長編1作目の「うしおととら」は、1990年~1996年という、
もう10年以上前の作品ながら、今読み返しても全く古さを感じさせない。

全編に流れる作者の熱い思い(へこたれるな、逆境でこそ笑い、立ち上がれ!)は、
少年漫画の王道路線でありながらも、読む人の心にいつも力を湧き起こす。


さて、そんな思い入れがある藤田だが、からくりサーカス連載中は、
敢えて単行本に手を出さないようにしていた。

理由は二つ。

 1) 1巻を読むと、次の巻の発売まで身もだえしながら中毒症状に
    もだえ苦しむことになること

 2) サンデーを購読していないため、それを緩和する措置は過去の
    名作(うしおととら)に当たるしかないこと

このたび、うしおととら連載終了(1996)の翌年(1997)から
連載が始まった本作品が、2006年にようやく終了したことを受け、
単行本を大人買いする機会を狙ってほぼ一年。

ようやく、先般ヤフオクで仕入れることが出来た次第。


以降、ネタばれも在りです。

冒頭に出てきた主人公の病気に、まずびっくり。

「他者の副交感神経系優位状態認識における生理機能影響症」
(通称 ZONAPHA(ゾナハ)病)

なんだこりゃ?と思うでしょう?

なんでまたこんな訳の分からない設定にしたんだろうと思いましたよ。はい。

ただ、のっけから話は主人公の青年と、もう一人の主人公?の少年が
絡んで目まぐるしく動いていく展開に。

いきなり訪れる危機、また危機の、ジェットコースターコミックに目を離せず、
あ!!!!!!!!!!と言う間に1巻は終わってしまう。

1巻だけでは、ゾナハ病なる奇天烈な病気の必然性は全く理解できないが、
この作者のことだ。

最終巻まで引っ張りに引っ張っておいて、ナイアガラのように雪崩落ちる
カタルシスを与えてくれるのであろう。

そこに私は全幅の信頼を置いている。

1巻での主人公のセリフ。

「キツい時には『助けて』とどなれ!
 ハラが立ったら悪態をついてやれ!!

 おとなしくかこつけてあきらめんな、

 あがいてあがいてダメだったら そん時ゃ…

 にっこり、笑うしかねえけどよ。」  


 くさいし、お約束の展開ではあるけれど、
この格好よさが、藤田作品の真骨頂なんだ!!
と、改めて思う。

 全43巻。
 しばし、幸福の時が我に有る、この幸せに感謝を。

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