活字の海で、アップップ

目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

今、平和を語る 聖路加国際病院理事長 日野原重明さん

2007-10-30 02:19:12 | 活字の海(新聞記事編)
毎日新聞 10月29日 夕刊 4面  ニュース インサイド より

日野原重明氏のこのインタビューを読んで、
僕はひどく疲れてしまった。

理性では、氏の説く非暴力主義はよく分かる。
誰もが痛い思いをしたくないし、
普通の感性ならば、積極的に人に痛い思いをさせたくも無い。

ただ、何か不幸な出来事を発端に、暴力と報復の連鎖が始まり、
それが国家間の規模となると戦争となる。

その状態を称して「恨みが恨みを呼ぶ状態」とする氏は、
ではそこから脱却するには「恕(ゆる)しの心」しかないと、言う。

だが、本当に人は、右の頬をぶたれたら、左の頬も差し出せるのだろうか?

僕は....やはり、嫌だ。
筋骨隆々でも無い僕は、暴力は怖いし嫌だけれど、殴られれば腹も立つし仕返しもしたくなる。

実際にそうした場になれば、痛みと恐怖で手も足も出ず、殴られるままになるかもしれない。

でも、恐怖に震えながらも、心の片隅では、畜生!という思いを持っていたい。

百歩譲って、自分の身に降り掛かった災難は耐えられるとしても、
自分の家族に万一のことがあったら、我慢できる自信は、僕には無い。

#その意味では、光市母子事件の被害者の夫は、立派だと思う。


氏は、自衛のための軍隊も不要だ、と言い切る。

近隣諸国が攻め入ろうとしても、「あんな立派な国に侵略するなんて!」と、
国際世論が許さないほど高潔な国になろう、と言う。


だが、中央アジアの片隅で、ささやかながらも敬虔な仏教徒としての暮らしを
営んでいたチベットの民はどうなったのか?

過酷な圧制に耐え忍び、自由を求めてデモを起こす彼らに向かって、

あなた方の耐える姿は素晴らしい。
そのまま耐えることが、世界平和の大きな礎になるのだ。

と言うことは、僕の精神には耐えられない。

氏の主張する、若者を徴兵制の代わりに2年間強制的に
青年海外ボランティア等に投入するというアイデアは、素晴らしいと思う。

ただ、やらされ感のみが先行するものを連れて行って、
+の効果が出ればよいが、国内の恥を拡大再生産する結果になるのでは、
という危惧の方が、残念ながら僕には高い。

あまりにも、僕の考えがペシミスティック過ぎるのだろうか。

4000人の患者の死に立ち会ってきた氏の発言の重みを、
どう受け止めていけばよいのか。

少なくとも、今の僕の度量では受け止められないことは、確かである。


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