著者:スティーブン・ハンター 扶桑社ミステリー(2008/6/28)
訳者:公手 成幸 価格:819円(税抜き) ※上下巻とも。
初めて、スワガー・サーガに触れたのは、何時のことだったろう?
このシリーズのうち、日本で最初に出版された「極大射程」は
1998年の刊行となっている。
自分の記憶の中にダイブして見ると、確かこの本は海浜幕張の
イトーヨーカ堂に入っているくまざわ書店幕張店で購入した
シーンが残っていた。
そうか。
もう10年以上も前になるのか。と、一人述懐する。
この10年の間で、この作品群はサーガと呼ばれるまでに
成長した。
しかも、通常の作品とは異なって、どんどんと時代を遡って
いくというパターン。
更には、当初の主人公(ボブ・リー・スワガー)を食うほどの
敏腕スナイパーである父親(アール・スワガー)が主人公の
シリーズもサーガに組み込まれるようになってから、
もう何だかとてつもない様相を呈してきたなあと、思ったもんだ。
ただ、このシリーズ。
確かに、最初の頃の作品は、もうたまらなく面白かった。
大藪晴彦ファンなら、誰もが好きになるであろう銃器に関する
詳細な描写。
人間不信の主人公が、銃器に対してのみ向ける信頼の目線。
#もっとも、その点に関しては、大藪作品の主人公ほどには
両スワガーとも人生に絶望している訳ではない。
人間不信というよりは、当初より他人を当てにするよりも
己自身をのみ頼りにしろ。というスワガー家のポリシーのような
ものが作品中に噎(む)せ返るように篭っていて、それが又
人を突き放すほどの自覚も、必要としないほどの自負も持ち得る
ほどの魂の錬度しか持たない僕としては、憧憬を持って追い続ける
ことが出来た存在なのだった。
だが。
そんなスワガー神話も、さすがに巻を重ねるにつれ、だんだんと
興醒めの要素も出てくる。
結局のところ、一人の人生にそこまでのことが起こり続けるんかい!?
という、少年漫画王道の敵役インフレーションの法則に近いものが
このサーガにも滲み出てくるようになってきたのだ。
確かに、少しずつ過去のミッシングリングが埋まっていくような
面白さは、残っているんだけどね。
正確には、それも最初の頃のボブ・リー・スワガー・サーガの
頃はよかったが、アールが主人公の「悪徳の都」辺りで、もうOK。
そんな感覚を持ってしまった。
そこから先も、面白い。
面白いのだけれど、だんだんと変質していく(これが自分か?
もしくは著者のハンターか?は微妙だが)作品世界と、上述した
インフレ敵役に対する抵抗感が強くなってきて、とうとう最新作の
本書「四十七番目の男」が刊行されるに至って、日本が舞台?
大口市場に阿(おもね)ってんじゃねーよ!とばかりに、
新刊の購入は止めてしまった。
という訳で、刊行から半年以上も経った今頃になって、ようやく
BOOK-OFFで出物を見つけ、少し迷った末に購入した次第。
購入した理由は、三つ。
・まあ、やっぱり、その、ここまで付き合ったんだからなぁ。
というもの。
・今回は、久しぶりに主人公が息子のボブ・リーだということ。
・しかも、アールの秘密にまで話が及ぶらしい、ということ。
まだ入手しただけで未読なので、書評はまた別途。
でも、AMAZON諸氏の書評を見ていると、そのあまりの
トホホ感に、悲しくなってきてしまった(泣き笑い)。
願わくば、よい意味でこの期待が裏切られますように。
今はまだ、これしか言えない。
頼むから、後から「極大射程」や「ブラック・ライト」
「狩のとき」といったとびっきりの名作群を、開くのも
嫌になるような思いにはなりませんように。
#期待通りというべきか、期待はずれというべきか。
という辛らつな言葉を、本書の書評にて送ることの
無いよう、切に願う。
(この稿、了)
訳者:公手 成幸 価格:819円(税抜き) ※上下巻とも。
初めて、スワガー・サーガに触れたのは、何時のことだったろう?
このシリーズのうち、日本で最初に出版された「極大射程」は
1998年の刊行となっている。
自分の記憶の中にダイブして見ると、確かこの本は海浜幕張の
イトーヨーカ堂に入っているくまざわ書店幕張店で購入した
シーンが残っていた。
そうか。
もう10年以上も前になるのか。と、一人述懐する。
この10年の間で、この作品群はサーガと呼ばれるまでに
成長した。
しかも、通常の作品とは異なって、どんどんと時代を遡って
いくというパターン。
更には、当初の主人公(ボブ・リー・スワガー)を食うほどの
敏腕スナイパーである父親(アール・スワガー)が主人公の
シリーズもサーガに組み込まれるようになってから、
もう何だかとてつもない様相を呈してきたなあと、思ったもんだ。
ただ、このシリーズ。
確かに、最初の頃の作品は、もうたまらなく面白かった。
大藪晴彦ファンなら、誰もが好きになるであろう銃器に関する
詳細な描写。
人間不信の主人公が、銃器に対してのみ向ける信頼の目線。
#もっとも、その点に関しては、大藪作品の主人公ほどには
両スワガーとも人生に絶望している訳ではない。
人間不信というよりは、当初より他人を当てにするよりも
己自身をのみ頼りにしろ。というスワガー家のポリシーのような
ものが作品中に噎(む)せ返るように篭っていて、それが又
人を突き放すほどの自覚も、必要としないほどの自負も持ち得る
ほどの魂の錬度しか持たない僕としては、憧憬を持って追い続ける
ことが出来た存在なのだった。
だが。
そんなスワガー神話も、さすがに巻を重ねるにつれ、だんだんと
興醒めの要素も出てくる。
結局のところ、一人の人生にそこまでのことが起こり続けるんかい!?
という、少年漫画王道の敵役インフレーションの法則に近いものが
このサーガにも滲み出てくるようになってきたのだ。
確かに、少しずつ過去のミッシングリングが埋まっていくような
面白さは、残っているんだけどね。
正確には、それも最初の頃のボブ・リー・スワガー・サーガの
頃はよかったが、アールが主人公の「悪徳の都」辺りで、もうOK。
そんな感覚を持ってしまった。
そこから先も、面白い。
面白いのだけれど、だんだんと変質していく(これが自分か?
もしくは著者のハンターか?は微妙だが)作品世界と、上述した
インフレ敵役に対する抵抗感が強くなってきて、とうとう最新作の
本書「四十七番目の男」が刊行されるに至って、日本が舞台?
大口市場に阿(おもね)ってんじゃねーよ!とばかりに、
新刊の購入は止めてしまった。
という訳で、刊行から半年以上も経った今頃になって、ようやく
BOOK-OFFで出物を見つけ、少し迷った末に購入した次第。
購入した理由は、三つ。
・まあ、やっぱり、その、ここまで付き合ったんだからなぁ。
というもの。
・今回は、久しぶりに主人公が息子のボブ・リーだということ。
・しかも、アールの秘密にまで話が及ぶらしい、ということ。
まだ入手しただけで未読なので、書評はまた別途。
でも、AMAZON諸氏の書評を見ていると、そのあまりの
トホホ感に、悲しくなってきてしまった(泣き笑い)。
願わくば、よい意味でこの期待が裏切られますように。
今はまだ、これしか言えない。
頼むから、後から「極大射程」や「ブラック・ライト」
「狩のとき」といったとびっきりの名作群を、開くのも
嫌になるような思いにはなりませんように。
#期待通りというべきか、期待はずれというべきか。
という辛らつな言葉を、本書の書評にて送ることの
無いよう、切に願う。
(この稿、了)
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