活字の海で、アップップ

目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

さらば「ちょうかい」■海上自衛隊 イージス護衛艦「ちょうかい」一般公開(その6)【完】

2011-10-30 13:27:30 | 施設の海
海上自衛隊 こんごう型護衛艦 「ちょうかい」
所属:第2護衛隊群第6護衛隊
母港:佐世保
起工:1995年
就役:1998年
製造:石川島播磨重工業東京第1工場
全長:161m
排水量:7250トン

一般公開日時:2011年10月15日~16日 午前9時~午後4時
公開場所:堺泉北港大浜ふ頭第5岸壁


■さらば「ちょうかい」

イージス艦の艦尾には、艦首と異なり広大な空間が広がっている。

それもそのはず。
艦尾に設置されているVLS(Vertical Launching System)は、
艦首のそれと比べてセル数が
艦首はミサイル格納ポッド(セルと称する)が29セルなのに対して、
艦尾は61セルと圧倒的に多いのである。

ちなみに、それぞれのセル数が端数なのは、3セルずつがミサイル
再搭載クレーン用のスペースとなっているためである。

(このあたりの情報は、青葉山軍事図書館さんのHPを参考にさせて
 いただいた。豊富な写真とコメントは、非常に参考になりました。
 ありがとうございます)

更に。
その奥(というか艦尾側)には、ヘリの発着ポートが用意されて
いる。

この辺りの上部構造は、おなじこんごう型のイージス艦であっても
違いはあるようである。
今回見学した「ちょうかい」を含むこんごう型イージス艦は、ヘリ
ポートはあるが、ヘリ格納ドックは有していない。

次世代イージス艦であるあたご級(「あたご」「あしがら」)は、
対戦哨戒用ヘリコプターSH-60Jを1機搭載出来る格納庫が設けられて
いる場所は、こんごう級ではがらんと広く空いているのである。



上の写真は、「ちょうかい」の後甲板最後部(ただし、立ち入りが
許可されているところw)から艦首方面を振り返ってみたもので
ある。

見事に、後甲板には何も建造物がないことが分かる。

艦橋の背面に縦二連で並んでいるディッシュアンテナは、AN/SPG-62
イルミネーターレーダーである。

敵ミサイル等に対して、中長距離ではSPYレーダーで、近距離では
こちらのレーダーが捕捉してこちらの迎撃ミサイルを終末誘導する
仕組みとなっている。

更にその手前に見えるものは、艦首側にも同型のものがあった
ファランクスである。

鉄壁とも言える防空網をくぐり抜けてきたとしても、このレーダーに
より精密誘導されたファランクスの6連装20mm機関銃が火を吹くという
算段である。


一方、次世代艦である「あたご」では、後甲板はどうなっているのか。
HARUNAさんが主筆されている「J-NAVY World」の中に、まさにその
「あたご」のヘリ格納庫を執拗に(失礼w)撮影し、UPされている
ページを発見したので紹介しておこう。

どこも概ねそうだが、こうしたマニアの方のページは訪れる度に、
その丹念な情報の収集と整理、そして見やすいUPに感心してしまう
ことしきりである。


艦尾には、海上自衛隊機である16条旭日旗が大きくはためいている。



ぐるりと甲板を回りこむようにして、右舷へと向かう。
艦橋の麓まで来た時に目についたのが、この入り口。


「立ち入らないでください OFF LIMIT」の看板が、却ってこちらの
興味をそそる。

が、そこは良識ある大人として、入り口からシゲシゲと艦内を眺める
に留めておく。

ちなみにドアは異なるが、こちらは艦首にあった閉めてある状態の
水密ドア。

水密ロックが、本当にドアの周りをぐるりと取り囲むようにあることが
よく分かる。


先ほどのドアの内部に未練を残しつつ、右舷半ばへと歩いて行く。

そこにあったものは、オレンジも目に鮮やかな短艇。


人が乗るスペースが有るほどでもないし、何に使うんだろう?と
思っていたら、ちゃんと解説板が用意されていた。


なるほど。
訓練用の標的なんだ。

結構小さいが、小さければ小さいほど訓練の精度も上がるということ
だろう。

実際には、このサイズの艦船がイージス艦に接近して攻撃を挑むという
ことは想像しがたいが。

自衛隊の艦船に、海賊行為を挑むバカもいないだろうしね。

なお、この訓練標的。
写真では全景が入っているように見えるが、実際にはマストの上に
赤い杉玉のようなものが乗っかっていた。
フレームから外れてしまったことに気がついたのは、帰宅してから
だったという次第である。


もうその先は、後部タラップ。
ここで、一般公開は終りとなる。

その通路脇にあったこれは、なんだろう。


艦内のどこかと連絡を取り合うための設備と思われるが、電話や
その他の装備が重厚な雰囲気を醸し出しているのに比べて、時計は
普通の電波時計っぽく見え、そのギャップになんだか笑ってしまう。


タラップの前後には、やはり乗組員さんたちが配備されていて、
降りる見物客の安全確認等をしてくれている。

お礼を言うと、にっこり微笑んでくれたのが印象的だった。
あまりどの乗組員の方も、日焼けした印象がなかったのが、意外と
いえば意外である。


再度振り返り、艦橋を見つめた後でタラップを降りる。


結構急勾配であることが、見て取れるだろうか?



この時、時刻は既に12時近くになっていた。
空腹に鳴るお腹を抱えながら、出口へと向かう。

流石に順番待ちの列も消えて、閑散としている手荷物検査場。


それでも、これから入ってくる人がちらちらいることに驚く。
たしか、午前は11時で見学締め切りの筈なんだけれど。

来客数が思った以上に多いので、時間枠を超えて受け入れて
くれているのだろうか。

ご苦労様、と思う。


ふと思い立って、もう一度艦首方面へと足を向ける。

巨大なクロスのもやいロープが見える。


ここが、最先端。
イカリが、まるで衝角(ラム)に見える。


更に、その先まで歩を進め、振り返る。


底から見える「ちょうかい」の勇姿をしっかりと瞼に焼き付け
つつ、見学会場のゲートから出る。


我が愛馬、BMWーK100RS「パールビューティ」号へと戻り、
エンジンに火を入れる。

直列四気筒エンジンに火花が散り、力強い鼓動が沸き上がって
くる。

いつか、「ちょうかい」のエンジンに火が入ったところも
見てみたいなと思いながら、会場を後にする。


(この稿、了)


(付記)
この記事を書くに当たって、いろんなブログを参考にさせて
いただいた。
改めて御礼を申し上げる。

なお、SPYレーダーが作動すると人体へのダメージが大きい
という話はやはり事実のようであり、艦首方面の通路状の
構造物は、電磁波遮蔽用に設けられているものということ
である。

確かに、普通船の上に通路なんてないものなぁ。
そうしたことが書かれてある記事を読むまで、疑問にも
思わなかったことだが、改めて自分の注意力のなさを
再認識してしまった。

(こちらについては、くみくみ創作所♪楽天さんのHPにある
 「伊勢湾マリンフェスタ#2 イージス艦「ちょうかい」外観
 の中で、くみくみさんが乗組員の方に質問した際の回答として
 記述されている。
 この方のHPも、とても参考になった)

あと、艦内を散策中にどうしても気になったことが一つある。
それは、米国のイージス艦と比べて、日本の艦は性能的に同等
なのか?ということである。

一艦の価格が1200億円を超えるというイージス艦である。
これほどの投資をするのに、劣化版を掴まされてはたまらない
というのは自然な感覚だろう。
その一方で、自分が輸出する側ともなれば、同盟国といえども
イージス艦の中枢のイージスシステムに何らかの劣化チューニング
を施すのではないか?との懸念もあったためである。

艦首辺りにいらした乗組員の方に質問すると、「いやあ、同じ
ですよ」とさらりと言われていたが、少し検索すると「軍事板
初心者質問スレまとめ(FAQ)
」というサイトに行き着いた。

この中では、ずばり

米と日本のイージス艦(システム)の違いを教えてください

というQAがあったので、興味が有る方はご覧になっていただければ
と思う。

出典等の明記がないサイトのため、どこまで確証があるかは不明
であるが、さもありなんという内容ではあった。



でも、楽しかったなぁ。
他のブログを見ていると、一般公開では艦内も公開しているケース
も多い。
また、航海艦船にちなんだグッズを販売するブースを設けている
ケースも紹介されている。
それどころか、体験航海をしてくれる見学会もあるとのことであり、
今度は是非、そうしたツアーにも参加したいものだと思う。





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