活字の海で、アップップ

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その他、音楽編、自然編も有り。

洋上給油は、男のロマン■海上自衛隊 イージス護衛艦「ちょうかい」一般公開(その5)

2011-10-27 23:40:55 | 施設の海
海上自衛隊 こんごう型護衛艦 「ちょうかい」
所属:第2護衛隊群第6護衛隊
母港:佐世保
起工:1995年
就役:1998年
製造:石川島播磨重工業東京第1工場
全長:161m
排水量:7250トン

一般公開日時:2011年10月15日~16日 午前9時~午後4時
公開場所:堺泉北港大浜ふ頭第5岸壁


■洋上給油は、男のロマン

更に、船尾方向へと順路は続いていく。
先ほどのハープーンミサイル発射キャニスターは艦中央側、
救命いかだは通路上部にあった。
その流れで、今度は視線を舷側側に向ける。

そこには、短魚雷のいかつい発射筒が強烈に存在を主張していた。


上記の写真は、発射口を後尾から見たところである。
前面からのショットはこちら。



この魚雷は、対潜用兵器である。
魚雷には、大きく分けて対艦船用の大口径かつ長距離航行能力を
有する長魚雷と、対潜水艦用の小口径かつ短距離航行能力を
有する短魚雷とに分けられる。

イージス艦に搭載されているこの短魚雷発射筒は、正式名称を
68式324mm3連装短魚雷発射管という。

原型は、アメリカのMk32反魚雷発射管であり、それを日本で
ライセンス生産を行なっているものである。

では、その口径はといえば、324mmである。
かつての日本海軍が誇った酸素魚雷(九三式魚雷)は610mm。
約半分の口径ということが分かる。

もとより、口径の大小のみを比較することに意味はなく、
そのターゲットをどこにおいて運用が計画されるかによって
必然的に導入される口径は決定するのであるが。


にしても舷側にあるとはいえ、完全に甲板上部にあるこの装置。
万一の有事の際には人力でその射出口を海上に向けて、発射する
のだそうだ。

射出は空気圧によるものらしいので、どれほどのインパクトを
発射担当の人が受けるのかはよく分からないが、それでも機動戦士
ガンダムのミハルのエピソードを連想しそうで、怖いポジション
なのである。

艦橋あるいは船内の管制室からの自動制御とはならないものなの
だろうか?と素人の浅知恵で心配してしまう。

ちなみに、この短魚雷に関する安全守則はこちらである。



ただ。
せっかく自己主張してくれている短魚雷には申し訳ないが、
ここでもっとも目を引いたものは、こちらの設備である。


ずばり。
洋上給油用の配管である。

イージス艦の洋上給油といえば、先のアメリカの「不朽の自由
作戦」という名前のついたアフガン地域を中心とする紛争への
洋上支援を行った行為が有名である。

ちなみに、作戦は足掛け6年もの長期に渡って行われたため、
自衛隊側も様々な艦船が支援活動に参加しており、この
「ちょうかい」も2004年(平成16年)に一度派遣されて作業に
従事している。


航空機による空中給油ほどではないけれど、それでもはやり
洋上給油も男のロマンをかきたてる光景なのである。

補給?
そんな地味なものにロマンなど無いなどという発言には、
きっぱりとNOを叩きつける。

古今東西、補給を軽視して自滅した軍隊は枚挙に暇が無い。

そうした実利面での功績を抜きにしても。
遙か大海原で邂逅する二隻の船が、洋上で物資を融通しあう。
その姿は、必ずやみるものの胸に、熱く迫る思いを抱かせずには
いられないと思うのだ…。

そんなロマンに満ちた洋上給油ではあるが、扱うものはどれも
水や燃料、食料といった即物的なものばかりである。
特に燃料は、扱いを間違えると双方に大きなダメージをもたらし
かねない代物である。

それ故に。
洋上給油は、その運用に際しても厳格な品質管理が行われている。
その確認箇所と試験日が刻まれていたのがこちらのプレートである。


更に、洋上給油に関する安全守則ももちろんあった。


こちらのトップに書かれている項目は、「火気厳禁」である。

あまりにも言わずもがなのような気もするが、基本を疎かに
すべきではないという、断固とした信念がそこには充填されて
いるのだと、素直に思えた次第である。


ちょうど、この給油口の辺りから振り返ってマストを見上げる。


あの鐘楼に登ってみたいなぁと思うが、開放されている訳も無し。

しげしげと眺めたあとで、踵を返して艦尾へと向かう。

(この稿、続く)



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