活字の海で、アップップ

目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

天を仰ぐ砲身■海上自衛隊 イージス護衛艦「ちょうかい」一般公開(その2)

2011-10-22 02:09:47 | 施設の海
海上自衛隊 こんごう型護衛艦 「ちょうかい」
所属:第2護衛隊群第6護衛隊
母港:佐世保
起工:1995年
就役:1998年
製造:石川島播磨重工業東京第1工場
全長:161m
排水量:7250トン

一般公開日時:2011年10月15日~16日 午前9時~午後4時
公開場所:堺泉北港大浜ふ頭第5岸壁


■天を仰ぐ砲身

そびえ立つ艦橋から、少し視線を下にずらすと、艦船間連絡ランチが
吊るされているのが見える。


「未来少年コナン」に出ていたバラクーダ号にも、こんなのがあった
なぁと懐かしい映像を脳裏に再現する。

ちなみにこのランチは、先の東北大震災の際にも活躍している。
その勇姿は、以下に。

福島沖 津波に流された男性 屋根に乗って漂流 イージス艦が発見
    自衛隊専門誌「朝雲」 平成23年3月17日付記事より


 ※ と思ったが、記事中の写真に写っているのは、どうも
   もっと小さなボートのようである。


しばし船体を見上げたあとで。
この巨体と岸壁との間には、どのような緩衝材が入っている
のだろうかと、気になって視線を落とす。

よく僕が乗るダイビングボート等では強化ウレタンの緩衝材や
場合によっては古タイヤが使われているが、さすがにこのクラス
ともなると、とてつもなく頑丈そうな緩衝材が間に入っている。


タイヤの大きさから、緩衝材の大きさを想像してみてほしい。

これが、全長161mの巨体のそこここに挟まっているのである。

そんな僕の感心とは関係なく、程無く行列は「ちょうかい」へと
続くタラップ下へ。
いよいよ、乗船!である。

タラップは、想像以上に急傾斜。
さすがに、軍艦だということを再認識する。
(急すぎて、写真撮れませんでした。残念)

タラップ下に1名、ならびに最上部には2名。
それぞれ乗組員の方が、出迎えと万一の事故への備えのために
立っていただいている。

上甲板の方は、お一人はどうも偉いさんのようである。
ラインや徽章その他による見分けもつかない素人なので、
勘違いはあるかもしれないが、ひょっとして艦長なのだろうか?

陸続と乗船してくる人々を、笑顔と敬礼で出迎えてくれている。

こちらもペコリと答礼したあとで、艦内の表示版に従って艦首
方面へと移動を開始する。

まずは、甲板から通路をくぐって艦首方面の甲板へと移動。
通路の壁には、あちこちに様々なパイプやその他の備品が整然と
設置されている。


客船では、乗客の手の届くところにそうした備品があることは
あまりないと思うので、やはりこれは戦う船なんだよなと思う。

壁には、「ちょうかい」が活躍した記事が載っている新聞の
コピー等が、今回の展示物として貼られている。

先の東北大震災での救助活動が中心だが、冒頭にも紹介した
「ちょうかい」が漂流男性を救助した件を掲載した各紙が
もっとも目を引いている。


ダイビングを行う身としては、船の上から海上の漂流者を発見
することがどれくらい大変かは身を持って知っている。

今回も、損壊した屋根の上に乗っていたとはいえ、殆ど水面とは
同じ高さ程度しかないでっぱりに乗っていた漂流者の発見である。

あの、震災の後の膨大な漂流物が漂う海域において。
一人の見逃しも出すまいと、海上を観察し続けた「ちょうかい」
の乗組員の方の努力を思い、そっと記事に頭を下げる。


解放された水密扉をくぐり抜ければ、いよいよ艦首甲板である。

レーダー撹乱用のチャフ発射装置をすぐ左手に見ながらも、
視線は甲板上に格子を切って設置されているVLS(垂直発射装置)
に釘付けとなる。

よく映画とかで見る、甲板から発射されるミサイルの発射口が、
ここなのである。


そして、おお。
よく見ると、これも”はやぶさ”という名前なんだ!!


VLSの横を通り過ぎると、そこに鎮座しているのは54口径127mm速射砲


ここでも、乗組員の方が見学者の口々の質問に丁寧に答えている。

この砲塔の下では、弾丸と薬莢が別々に貯蔵されており、
「戦闘開始!」の指示を受けて初めて薬莢に弾丸が装填され、
発射に備えられるそうである。

最大1分間に40発もの発射に耐えられるこの速射砲。
使用する弾丸は、射撃対象物によって、対地用、対艦船用、演習用空砲、
その他様々なバリエーションがあるとのことである。

下記の写真の右下が、その弾丸のイラストである。
左から順に用途を教えていただいたのであるが、ごめんなさい。
メモできず、忘れてしまいました!



発射管制は、全て艦橋から行うため、発射時には砲塔内は無人と
なる。
というか、基本は無人であり、特に発射時は発射を受けて
有毒ガスが発生するため、周辺は立入禁止となるらしい。

つまり、砲塔横についているこのハッチは、整備時のみに使用する
という訳である。


「宇宙戦艦ヤマト」における、主砲内部に砲手がいて最終的な発射
管制を行なっている映像が刷り込まれている世代としては、時代は
変わったのね…といったところです。

(「宇宙戦艦ヤマト」(C)オフィスアカデミー)

なお、wikipediaでのこの砲塔に関する記事によると。
発射時は、砲塔内は無人となるが、砲塔下部で薬莢に装填された弾丸を
発射装置に組み込む作業は二人一組の人力によるらしい。
発射頻度によっては、最大8人(計4組)が作業に従事するとのことである。

う~ん。なぜかここだけ前近代的な気が…。



ちなみに、この砲の射程は?と聞くと、30Kmという恐るべき数字が
帰ってきた。

戦艦大和の46センチ主砲の射程が42Kmなので、この12.7センチ砲の
射程が30Kmというのは凄いことだと思うのである。

足元には、その砲弾も置かれている。



この写真の位置でいくと、上が薬莢で下が砲弾である。

演習の際には、P-3C哨戒機にターゲットを曳航させて、それを狙い打つということも
行うらしい。

P-3Cの最高速度は約730Km/hと、決して早い方ではない。
なので、ターゲットは主に対地、あるいは対艦船なのかなと思うが、
そこまでは質問できなかった。

なお、砲身の冷却は水冷方式であるとのことなので、先程列に並んで
いるときにお連れの女性に滔々と解説していたおじさんの知識は正し
かったわけである。

さすが、である。

発射時には、その冷却水で周囲は水浸し、いやお湯浸しになるそうである。
まあ(未確認だが)海水を使うのであれば、加熱した水を再度冷やした上で
使用するような手間をかける必要もなく、どんどん新しい海水を汲み上げて
いけばいいのだからなぁ。
でも、その場合、錆対策等は大丈夫なんだろうか?

そんなことを思いながら砲身をよく見ると、砲身下部に、細い管がついて
おり、砲口近くで開口しているのが見える。
おそらくは、ここが冷却用水の排出口なのかな?
その割には、径が細い気もするが…。


ちなみに、砲口に被せられたイカリマークのキャップが格好いい!
(まるで、ヤ●トである)



(この稿、続く)




イージス艦 「みらい」が突如として第二次大戦中にタイムスリップ!
そのとき、”日本人”として乗組員達は何を考え、どう行動するのか?

最近、タイムスリップづいているかわぐちかいじが、モーニング誌にて
9年間もの長期連載にて描き上げたIF戦記。

いきなり戦場に放り込まれて戸惑う「みらい」は、撃墜され死にかけて
いた一人の帝国海軍軍人を救助する。
その軍人 草加拓海が、日本の未来(=敗戦)を知った時。
未来を改変しようとして動く。
それを知った「みらい」乗組員達は…。
というのが梗概。

全43艦、いや巻と長編のため、興味のある方は冬休みの友にでもいかが?

ジパング(43) <完> (モーニングKC)
かわぐち かいじ
講談社

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