猫 周公のコラム

スケッチとエッセイ

無欲の人生 木版画家・川上澄生

2010年04月14日 | Weblog

日経朝刊の「文化欄」は充実しているので、毎日が楽しみだ。

今日は「無欲の人生を誠実に」という見出しで、「川上澄生木版画の世界」展を紹介していた。記事の中で彼の詩がとてもよかったので、興味を持った。記事の一部を紹介したい。

大正時代から戦後まで活躍した版画家、詩人の川上澄生の詩にこういうくだりがある。「われは市井の片隅に/他の人の邪魔にならぬやう/他の人を追越さぬやう/欲(よく)ばらぬやう/生きんことを希(ねが)ふものの如し」。60代初めに書いた詩の一部だ。世田谷美術館(東京・砧公園)で開催中の川上澄生木版画の世界展は、この作家が詩にあるような無欲の人生を送ったことを物語る。

川上は横浜生まれの東京育ち。1年ほど北米で暮らした後、26歳の年に宇都宮市で教職に就き、死に至るまでの50年間、教員生活に打ち込むかたわら木版画を制作し、詩作に励んだ。棟方志功が心酔した版画家としても有名だ。

このほかにも、文化欄には「私の履歴書」がある、いまは有馬稲子さんが書いている。この私の履歴書はご本人の人間性を感じることができて、とても面白い。

そして、今日の文化欄のハイライトは小沢昭一さんの「笑わせ上手な遅筆堂・井上ひさしさんを悼む」という追悼文であった。私の友人は「井上ひさしは電車の中では読めない本」だと言っていた。なぜかといえば「つい、笑いが噴き出してしまう」からだ。小沢昭一さんの追悼文はそんな内容だった。