ちょっぴり腐女子な、つれづれ愚痴日記

 ぐだぐたな日々を愚痴りつつ、のんびり綴っています。気が向いたときに更新。

むし歯予防デー。その1(小ネタです)

2011年06月04日 | 腐女子ネタ

 田口は小児科からもらってきた雑誌を速水が夕食を作っている間、眺めていた。今月の特集は「子どものむし歯予防」。6月のネタにふさわしい。乳歯は生え替わるから、むし歯になってもいいや。と思いがちだが、乳歯の下に控えている永久歯に多大な悪影響があるのは、結構、知られていない。

 子どもは大人のミニチュアじゃない。それは速水の口癖だ。子どもを蝶々にたとえるなら、幼虫の芋虫だ。大型の蝶や蛾は芋虫の時にきちんとしたエサを与えられないと、成虫になっても生を全うできない。と力説したのは、獣医学部の教授だ。

 大人は子どもは、大人の小型版と思いがちだ。だが、それは全く違う。子どもは大人とは全く違うシステムを備えた一つの生物なのだ。だから、小児科医という専門医がいる。

「行灯。何、熱心に読んでいるんだ?」

「ああ。子どものむし歯予防について。むし歯って、たいしたことないって思いがちだけど、結構、大変だなぁって…。しかも、仕上げ磨きは小2までしましょうだってさ」

 田口は雑誌の特集ページを、速水に見せた。

「そりゃ、大変だ。けど、子どもにとっては親とのスキンシップになって、嬉しいんじゃないか?」

「…だとしても、親業って大変だよな」

 しみじみ。田口はとても自分にはできないと思った。ひとりの今でさえ、自分の世話を見るだけで精一杯なのだ。これに人格を持った子どもを、他人だった女性と一緒に育てるなんて、考えただけで息苦しくなる。

「でも、多かれ少なかれ、親なら誰でもしていることだから、別にたいしたことじゃないと言えばそれまでじゃないか?」

 からりと笑いながら、速水が豪快な男料理をダイニング・テーブルに並べた。

「それはそうだけど…」

 田口は速水作の夕食を見て、これはおなかにこってり溜まりそうなメニューだと思った。しかも、これを残したら、絶対、こいつはごねるというのも分かった。

 だったら、残した分は明日、弁当にして、オレンジに差し入れするか。どうせ、食事も満足に食べられない医者がゴロゴロはしているのだ。味より量だ。

 あとは速水に持たせるか。田口が持って行ったがいいかだけだ。

「けど、お前なら大丈夫だろう。火事場の馬鹿力だからな」

 速水は田口の沈黙を勘違いしたのか。アハハッと笑いながら、ウインクする。

「速水。それ意味、違うから…」

 誰が火事場の馬鹿力だよ。それを言うなら、馬耳東風だろう。あれっ、違う? 豚に真珠? 違う。えっと…。温故知新? 全然違う…。

「じゃあ、何だよ」

 速水の突っ込みに、田口は首を捻ってさらに考える。

「臨機応変」

 そうしてようやく?思いついた、それらしい四文字熟語を口にした…。が、速水はにやにや。そして、

「どっちかというと、厚顔無恥だろ」

と、とてつもなく失礼なことを口にした。それに、田口はムッとなる。しかし、速水は、

「臨機応変よりは似合っていると思うけど…」

と、断言する。

 確かに、自分にそんな面があるのを田口は否定できない。だが、他に言い様はないのだろうか。

 田口は速水に反論すべく四文字熟語を探すが…。どうしても、いい言葉が見つからない。

「まあ、俺たちの貧弱な語彙力じゃ仕方ないか」

 仕方なく、田口はほんの少し悔しさを残しながら、自ら、この戦いに終止符を打った。なので、テープルの端に置いた雑誌をぱらぱらとめくった速水が、にんまりと物騒な笑みを口元に浮かべたのには、全く気づかなかった。

  さて、ジェネラルは何を企んでいるのでしょうか? 続きがあるかも。


もしも、会えたら。(小ネタです)

2011年06月04日 | 腐女子ネタ

「なあ、幽霊に会ったら、何を聞く?」
「は?」
 田口は書類チェックの手を止めて、呆れた目で救命救急センターの責任者を見た。もちろん、その目は、“お前、馬鹿?”の文字が浮かんでいる。
「幽霊なんか滅多に会えないんだぞ。二度と機会はないかもしれないから、いろいろ聞きたいだろう?」
 田口の非難の目に言い訳する姿は、様々な『院内ナンバーワン』を頂に持つ男の態度には見えない。
「別に…。それより、幽霊になんか会わなくていい」
 超現実主義者の田口は、幽霊の怖さもあって、きっぱりはっきり拒否する。
「だから、会ったら、の仮定でいいからさ」
「会わないからいい」
 きっぱり田口は拒否する。幽霊はこの世に未練がある魂だと聞いたことがある田口は、未練=愚痴と思っている。生きている人間のだけで大変なのに、これ以上、死んだ魂の愚痴まで聞かされたらたまらない。
「何だよ。夢のない奴だな」
 そんな夢ならいない。が、田口の持論である。
「なら、お前は何を聞くんだよ?」
 たいした意図も持たずに、田口は速水に尋ねた。
「ん? 幽霊にもおっぱいはありますか?」
 ……。田口は完全に呆れた。呆れかえって、まじまじと速水を見た。
「いや。小児科のチビの中に、“幽霊にはおっぱいがない”って言い張っているのがいたから、幽霊に会ったら聞いてみろって言った手前…」
 さすがに速水もこの発言はやばかったと思ったのだろう。しょうもない言い訳を口にする。
「ふうん」
 田口はコメントなし。何しろ、小児科のチビたちと本気で張り合うだけアホらしいと思っている。別に子どもたちを馬鹿にしているのではない。40過ぎたいい大人が、同レベルで競えるところに、いろいろな意味でため息だ。
「だ・か・ら、二階のチビどもが…」
「分かったよ。俺からも、是非、幽霊に会ったら尋ねてみて欲しい。っていうか。そんなの幽霊に聞かなくてもわかりきったことだろうが…」
 どうせなら、もっと別のことを聞けばいいのにと思う。田口だったら、幽霊なるほどの思いの深さを追求したい。憎しみにしろ。悲しみにしろ。そこまで、誰かに執着できる心のなかを知りたいと思う。
「行灯の意地悪…」
 そして、速水がふて腐れた。別に田口は速水に意地悪をしたわけでも、いじめたわけでもない。そんなわかりきったことではないことを、聞いたがいいのにと思っただけだ。

 途中まで書いて、爆睡していました。気がついたら、こんな時間に…。取りあえず、無理矢理終わらせました。眠いので…。ちなみに、このネタは先日、仕事で行った小学校3年生の男子と私の会話の一部です。小学生って、面白い