
ここで私が外来でよく受ける質問とその答えを紹介します。
脳ドックなどで脳動脈瘤と診断され、私の外来に来られた際によく受ける質問に以下のようなものがあります。
【Q】脳動脈瘤って何ですか?私は「がん」なのでしょうか?脳の出血ですか?
【A】「脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)」と聞いてもどんな病気かご存知の方は少ないと思います。なんだか難しい名前ですし、イメージが湧きにくいかもしれません。このため、「私ってがんなの?」「もう出血しているの?」というご質問をよくいただきます。
まず最初にお伝えしたいのは、脳動脈瘤は“がん”ではありません。
がんというのは、体の中の細胞が異常に増えてかたまりになり、一部の細胞が体の他の場所に転移して広がっていく病気です。一方、脳動脈瘤は、脳の動脈の一部が弱くなり、そこが“風船のようにぷくっと膨らんだ状態”のことを言います。細胞が異常に増えたち、転移するわけではないので、がんとはまったく別のものです。
また、「出血しているのですか?」という質問もよくあるのですが、MRIで偶然見つかったような動脈瘤は破れていないので出血はしていません。破裂していないものは「未破裂脳動脈瘤」と呼ばれ、多くの方は症状がなく、MRIなどを受けないと見つからないのです。
ただし、動脈瘤(血管のふくらみ)が破裂すると「くも膜下出血」という、命にかかわる重大な出血が起きます。これは突然の激しい頭痛や意識障害で倒れてしまう、といった症状で発症することが多く、緊急手術が必要になります。
つまり、脳動脈瘤とは、“破裂するかもしれない風船のようなふくらみ”が、脳の血管にできている状態と考えてください。
でもご安心ください。脳動脈瘤の破裂率はおおよそ年間1%前後ととても低いのです。サイズや場所によってこの数値は変わりますが、緊急処置が必要なことはほぼないのです。
ではどうすればいいのでしょうか?
ふくらみの大きさ、場所、形、患者さんの年齢やふくらみが大きくなってきているかどうかなどを総合的に見て、「このまま様子を見る」か「予防的に治療を行うか」を判断していきます。動脈瘤が大きい、患者さんが若い、動脈瘤が増大している、という場合には比較的治療を勧められることが多くなります。逆に、動脈瘤が小さい、高齢、動脈瘤のサイズが変化していない、という場合には定期検査を勧められることが多いです。
このように、脳動脈瘤があると聞くと驚かれるかもしれませんし、「治療が必要」と言われた場合でも、今は医学の進歩によって、破裂を防ぐための安全な治療法が確立されています。
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