脳動脈瘤を持つ何名かの方に破裂率に関するご質問をいただきました。
以前、このブログで解説したことがあると思いますが、最近、未破裂脳動脈瘤の自然歴をしっかりと解説していないことに気づきましたので、ここで紹介します。
未破裂脳動脈瘤の破裂率については世界的にいくつかの調査がなされていますが、やはり一番参考になるのは日本人のデータです。
上の表をご覧ください。これは日本人で脳動脈瘤のある患者さん5,000名以上のデータを解析した結果です。
この一覧を見ると、脳動脈瘤の場所とサイズで破裂率が違うことがわかります。ですから、自分の脳動脈瘤の場所とサイズに一致するところを見るとおおよその年間破裂率がわかるということです。
例えば、前交通動脈に4ミリの動脈瘤がある場合には、年間0.9%の破裂率が見込まれる、ということになります。
ただし、破裂率が「ゼロ」になっているところもあります。これはこのサイズと場所では破裂しない、ということではなく、5000人以上のデータであってもサイズと場所で一覧にすると、一つ一つの欄の人数は少なくなるため、数値のばらつきが生じてしまうためだと考えられます。このため、「ゼロ」に当てはまる場合には、左右、上下の欄から推測しています。
サイズの影響を考える場合には一番下の「合計」のところを見ると良いと思います。
3-4mmでは年間破裂率0.35%、5-6mmで0.5%ですが、7-9mmになると1.69%と高くなり、大型脳動脈瘤(10-24mm)では4.37%、巨大脳動脈瘤(25mm以上)では33.4%と跳ね上がります。
このように、動脈瘤が大きいほど破裂率が高いことをまず理解して、同じサイズでも破裂しやすい場所かどうか、と確認すると良いと思います。
いかがでしたでしょうか。私たち脳神経外科医はこの一覧を参考にして、それぞれの患者さんの動脈瘤の破裂率を推定し、その数値に基づいて説明を行なっています。
ただし、サイズと場所以外にも破裂に関与する因子があります。そのうち最も重要なのは患者さんの年齢です。なぜなら、若い人と高齢の人では余命が違うため、生涯破裂率を考えた場合に大きな差が出るからです。
年齢以外にも動脈瘤の形や高血圧の有無なども関係してきます。これについては次回説明しますね。
以前、このブログで解説したことがあると思いますが、最近、未破裂脳動脈瘤の自然歴をしっかりと解説していないことに気づきましたので、ここで紹介します。
未破裂脳動脈瘤の破裂率については世界的にいくつかの調査がなされていますが、やはり一番参考になるのは日本人のデータです。
上の表をご覧ください。これは日本人で脳動脈瘤のある患者さん5,000名以上のデータを解析した結果です。
この一覧を見ると、脳動脈瘤の場所とサイズで破裂率が違うことがわかります。ですから、自分の脳動脈瘤の場所とサイズに一致するところを見るとおおよその年間破裂率がわかるということです。
例えば、前交通動脈に4ミリの動脈瘤がある場合には、年間0.9%の破裂率が見込まれる、ということになります。
ただし、破裂率が「ゼロ」になっているところもあります。これはこのサイズと場所では破裂しない、ということではなく、5000人以上のデータであってもサイズと場所で一覧にすると、一つ一つの欄の人数は少なくなるため、数値のばらつきが生じてしまうためだと考えられます。このため、「ゼロ」に当てはまる場合には、左右、上下の欄から推測しています。
サイズの影響を考える場合には一番下の「合計」のところを見ると良いと思います。
3-4mmでは年間破裂率0.35%、5-6mmで0.5%ですが、7-9mmになると1.69%と高くなり、大型脳動脈瘤(10-24mm)では4.37%、巨大脳動脈瘤(25mm以上)では33.4%と跳ね上がります。
このように、動脈瘤が大きいほど破裂率が高いことをまず理解して、同じサイズでも破裂しやすい場所かどうか、と確認すると良いと思います。
いかがでしたでしょうか。私たち脳神経外科医はこの一覧を参考にして、それぞれの患者さんの動脈瘤の破裂率を推定し、その数値に基づいて説明を行なっています。
ただし、サイズと場所以外にも破裂に関与する因子があります。そのうち最も重要なのは患者さんの年齢です。なぜなら、若い人と高齢の人では余命が違うため、生涯破裂率を考えた場合に大きな差が出るからです。
年齢以外にも動脈瘤の形や高血圧の有無なども関係してきます。これについては次回説明しますね。