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六本木ヒルズでの勉強会

2012年07月29日 | 学会/研究会
本日は六本木ヒルズで脳卒中の勉強会がありました。
脳卒中内科の先生方の講義とディスカッションを主体とする会でしたが、私には大変勉強になりました。
脳梗塞急性期にスタチンというコレステロールを下げる薬がどのように役に立つかという観点を主体とする勉強会でしたが、スタチンだけでなく、急性期脳梗塞に関する他の知識も深めることが出来ました。

例えば最近、一過性脳虚血発作(TIA)の概念が変わりつつあり、現在その定義が混沌としています。というのも従来TIAは「頭部CTで異常がなく、神経症状が24時間以内に消失するもの」という定義だったのですが、最近MRIが普及し、CTで異常がないように見えてもMRI拡散強調画像では異常が見つかることが増えたためです。
つまり、症状は24時間以内に消失してもMRIでは脳梗塞を認める場合をどう扱うかが問題です。これに関しては内科的にはMRIで脳梗塞を認める場合には、症状がたとえ24時間以内に消えても脳梗塞として扱っていることが多いとの見解を知りました。

医学や医療機器が進歩すると以前はスタンダードとされた定義や概念を変更せざるを得なくなることがあります。進歩について行くためには、常に知識をブラッシュアップする必要があるのです。
医者は一生勉強で大変ですね、と言われますが、自分の専門領域の新たな知識を得るのは私たちにとっては楽しいことでもあるのです。

ところで、上の写真、会場の六本木ヒルズ49階から撮影したものです。懇親会場から撮影したのですが、普段は図書館になっている場所らしいです。図書館からこの景色、すごいですねー!
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六本木ヒルズの<命の光景> (はまゆう)
2012-08-21 01:28:06

六本木ヒルズ49階からの絶景のお写真、眺めさせていただいているうちに、
何となく<脳の中の世界>のように思われ(微笑)、少々遅ればせながら、
コメントを送らせていただきます。

                  *

「脳梗塞急性期にスタチンというコレステロールを下げる薬がどのように役に立つか
という観点を主体とする勉強会」とうかがい、想起させていただきましたのが、

     ★「橋本君、がんばれ」(2009年12月8日)
     ★「リピトールmeeting」(2010年2月24日)

最近では「懐かしの面々」(2012年7月7日)でも言及されていたファイザー製薬の
「橋本真明さん」が、山田清文先生のおこなっていらっしゃった頸動脈エコー検査に
注目 → ランダム化研究 → 倫理委員会を通しての研究 → 海外の専門誌に
掲載 → リピトールオピニオンリーダーズミーティングでの高評価

とご紹介のあった2年半前の記事です。

「コレステロールを下げる薬のうち、このスタチンという系統の薬は、動脈硬化を
改善する作用があることが分かりはじめており注目されているのです。
我々も少ない症例ながら、この薬を飲むと頚動脈の動脈硬化が安定化するという
明快なデータを出せました。」(2010年2月)

とのことでしたから、六本木ヒルズでの先生方の勉強会も、きっと多大のご成果が
おありになったにちがいありません。

                  *

今回の記事で印象深かったのが、「医学や医療機器が進歩すると以前はスタンダードと
された定義や概念を変更せざるを得なくなることがあります」との吉村先生のお言葉。

「内科的にはMRIで脳梗塞を認める場合には、症状がたとえ24時間以内に消えても
脳梗塞として扱っている」ということは、素人考えでは<当然>のように思われる
のですが、ご解説いただいたように、専門的には「定義や概念」の変遷があるのですね。

医療機器デバイスの進化や医療技術の向上、診療科の枠を越えての共同研究や連携医療
の成果といった、複合的・総合的な観点から、「定義や概念」が「変更」され得ること
をうかがい、またまた医学の奥の深さを垣間見させていただいたように思います。

「進歩について行くためには、常に知識をブラッシュアップする必要があるのです。
医者は一生勉強で大変ですね、と言われますが、自分の専門領域の新たな知識を得る
のは私たちにとっては楽しいことでもあるのです」という
吉村先生のお言葉から、山あり谷ありの困難な道程であるにもかかわらず、
<ライフワーク>を楽しんでいらっしゃるごようすがうかがえます。

困難な課題にも果敢に挑戦なさる先生方の不断のご研究が、多分野の医療関係者の方々
との協同によって、今後も、病気に苦しむ多くの方々を救済する、頼もしいご成果を
挙げられるにちがいありません。

                  *

六本木ヒルズ49階からの絶景は、きっと、多くの人々が息づいている都市であるとともに、
多くの医療関係者の方々の高い志を象徴する、<命の光景>なのですね。





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