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脳動脈瘤 その42 脳血管内治療:その12 ステントアシストテクニック 4

2021年10月24日 | 動脈瘤
それではステントアシストテクニックの最後に、私たちのよく行う工夫について紹介します。

一般的にはステントを完全に留置してからコイルを挿入します。
しかし、この方法には欠点もあります。
1)マイクロカテーテルが抜けるとステントを超えて再挿入しないといけない。
 (それによって動脈瘤を傷つける可能性がある)
2)マイクロカテーテルの移動が難しくなる
 (それによって十分な塞栓ができない可能性がある)
以上のことから、最悪の場合、ステントを留置したのにコイル挿入ができなくなってしまうという可能性もあるのです。

このような事態を避けるため、私たちはステントを半分ほど広げた状態でコイルを挿入し、十分塞栓できてからステントを完全に留置する方法をとっています(図)。
この方法はセミジェイルテクニック(Semi-jail technique)と呼ばれていて、当初、韓国から報告されましたが、その報告では治療成績があまり良くありませんでした。
そこで、私たちはいくつか改良を加えて、合併症を減少させることに成功しました。
1)最新のオープンセルステントを選択する
2)抗血小板薬の有効性を確認し、調整してから治療する
以上によって、合併症は少なくなり、極めて良好な治療成績になったため、24例経験した時点で国際雑誌に報告しました(Shirakawa M, Yoshimura S, et al, World Neurosurg. 2019)。
この方法はこの報告後も継続しており、私たちのステント併用コイル塞栓術の主流となっています。
このように既にある機器の中から適切な選択をして、工夫を加えることで格段に良い治療結果を出すこともできるのです。

以上、ステント併用コイル塞栓術について紹介しました。
今後は新しい機器について紹介しますね!

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