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号泣が「節」になる人

2021年02月08日 | 読書
 副題が「25歳 女性起業家の号泣戦記」とある。こういう類の本は読んだ経験はないなあ(いや男性ならあったか)と思いつつ、諸事情により必要になったので購入、縁があるかと読み始めた。書名通りのエネルギーとバイタリティ、そして今の30代が持つ感覚に触れることが出来た。ただ明らかに少数派と思う。


『裸でも生きる』(山口絵里子 講談社)



 「学校の門をくぐれない子」から「逃げちゃいけない」「馬鹿呼ばわり」そして「柔道との出会い」という、小学校から高校にかけての記述を読むと、一途すぎるのではと正直思った。現状の学校制度の不備や問題点は同意できるにせよ、もう少し幅を持った考え方ができなかったのか。周囲も声をかけただろうにと想う。


 しかし、その後の人生も全くその繰り返しと言ってよい。つまり、自分がやりたいことを貫く。現実から目を背けず、正面から攻めていく。時々あまりの猛進さに目的を見失いそうになるが、その度に何のために志したか振り返り軌道修正していく。多くの人物が登場してはいるが、輪郭のくっきりさは本人のみ際立つ。


 起業して成功する者、それから冒険家などは、そういう精神の立て方ができることが条件ではないか。どんなふうに養われるのかに興味があるが、家庭や周囲の環境について突っ込んだ記述はなかった。生まれつきの資質ということは容易い。ただ「よそ見をしない」「集中力」だけは、どこかで鍛えられたのかと思う。


 わずか二十数年の人生に、いくつもの転機がある。驚異的な頑張りの陰にある、学生時代の鬱病克服やバングラデシュでの裏切り…その度に「号泣」することになる。それが一つの「」になっているのが特徴か。そうか、これは女性独特かもしれない。と、けして某会長のおっしゃる蔑視発言とは違います。念のため。