すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

増幅する危うさ

2007年10月18日 | 雑記帳
 地域の方が職場へ届けてくださる雑誌に、京都大学の正高信男氏の論考があったので思わずじっくり読み入ってしまった。
 「ITの進化につれて退化する日本人」というタイトルで、名著である『ケータイを持ったサル』以降のことについて言及している。
 そしたら、同じ雑誌に連載している汐見稔幸氏も「携帯メール時代の子どもの人間関係」と題して、共通する内容のことについて書いていた。

 両者とも、若者(そればかりではないが)の現状を憂い、思考力やコミュニケーション能力の衰えに警鐘をならしている。特に目新しい論ではないのだが、改めて気づくこともいくつかあった。

 携帯やインターネットをよき「ツール」として扱うため何に留意すべきか、キーワードをはじきだせないだろうかと、お二人の論考に共通することばを求めてみた。

 増幅

 汐見氏は、携帯メールでのやりとりのコミュニケーションの難しさをこんな言葉で表している。

 思い込みの増幅

 顔を見ずに書き言葉を使い、「即レス」「即答」を求める自己中心性は、まさしく当てはまる。

 正高氏は、ネットの状況についてこんな文を書いている。

 一つの「意見」がちょっとしたきっかけで増幅し、いつの間にか「世論」となり国政を左右する。

 膨大な情報の中で思考停止状態に陥っている私たちは、巧みな宣伝、または偶発的な出来事やそれを利用した意図的な情報操作等々によって、皆同じ向きをむくように煽られていないか。

 大量のモノを、スピーディーに扱うこのツールに麻痺しないためには、「増幅」を一つのチェックポイントとしてとらえたらどうだろうかと思う。
 例えば
 何でもメールで伝わると思う考えと行動が増幅していないか
 「商品別売れ筋ランキング」に購買意識が増幅していないか
 悪態をつく有名人への嫌悪度が増幅していないか