再生支援協議会が大きな予算をつけ、事業再生を行っています。
事業再生というと、後ろ向きなイメージであり、コストカットをしていく(=無駄を省いていく)とい手法が王道のように思えます。
しかしながら、知的資産経営の考え方を活用すると、提供する価値を上げて、収益を改善していくということになります。
企業の保有する知的資産は、複雑に絡み合って、ステークホルダーに価値を提供しております。そのため、その関連性を無視して、知的資産をカットしてしまうと、再生をしたつもりが、かえって悪化してしまう事態を招いてしまいます。
大事なことは、企業の保有する知的資産の関係性を明らかにし、「キラーパス」を抽出することです。この「キラーパス」を活かす形で、知的資産の整理をしていくこと、これが、事業再生にとって大事な手法です。
自社にとって当たり前の「しくみ」は、強みとして意識することがなく、SWOT分析等で、強みの抽出を行う際、見落としてしまいがちです。
しかしながら、競合他社から見えにくく、まねされることが難しい資産(知的資産)は、この「しくみ」であることが多いのも事実です。
自社の業務改善を行う際、ついつい、「HOW to」を求めがちになりますが、これではうまくいきません。なぜなら、それを導入する背景が全く違うからです。
そのため、まずは、自分たちが当たり前に行っている「しくみ」について、深く掘り下げてみることが大事です。
この「しくみ」こそ、自社のノウハウ・技術などの強みを生み出している、努力・工夫であり、強みの源泉でもあります。
なお、自社にとって当たり前の「しくみ」は、経営者ですら見落としがちですので、外部の門外漢を招いて、ヒアリング形式で抽出していく方法が最も効果的です。
今日は、4月1日、新年度がスタートしました。
平成24年度補正予算、平成25年度本予算において、中小企業支援策は多額の予算がついています。
直近の目玉では、ものづくり補助金、若者・女性向け創業補助金でしょうか。
ただ、いずれにしても、申請書をだせば、必ずもらえるというわけではありません。
また、もらえたとしても、効果的に使うことができない中小企業もいます。
一方、毎回、補助金をもらい、効果的に使っている中小企業もいます。
この違いは何でしょうか?
それは、自社の真の強みを理解し、価値創造ストーリーを描くことができているかどうかです。すなわち、知的資産経営がしっかりできている中小企業は、各種補助金もいただくことができ、持続的発展を成し遂げていっているのです。
新年度のスタートにあたって考えなくてはならないこと、それは、自社の価値創造ストーリーです。
これさえ、明確に描くことができれば、平成25年度を有意義に過ごしていくことができることと思います。
そして、私も、そのお手伝いを精一杯させていただこうと思っています!
金融円滑化法が切れることに伴い、経営改善計画の作成が増えることが予想されます。
そのため、経営革新等支援機関にも、経営改善計画の作成支援が求められてくることでしょう。
その際、間違ってはならないのが、単なるコストカットにより、営業利益を出すという計画書の作成です。
単純な話、販売管理費及び一般管理費をカットすれば、営業利益を生むことができます。
でも、本当にそれでよいのでしょうか?
企業が価値を生み出している過程には、部分的不合理が数多くあります。
これを不合理といってカットしてしまっては、最終的な利益を生み出せなくなってしまいます。
当該企業の真の強みが何で、それらがどのように絡み合っているのか、それを本当に理解したうえで、経営改善計画を作成するべきです。
まさに、知的資産経営を理解し、その考えに沿って、経営改善計画を作成することが、日本の中小企業の未来のためには必要です。
本日、つくばにて、イノベーションセミナーが開催されました。
イノベーションを引き起こす源として、「知的資産」が取り上げられ、「知的資産」を見つけ(再発見)、活用していくことがポイントであることが、参加者の間で共有されました。
その際、一番大事なのは、経営者の思い(経営理念)であり、これが、全従業員で共有化され、その思いで価値創造ストーリーが描かれていることでした。
さらに、部分的には不合理であるが、全体でみるときわめて合理的(ストーリーでみるとつながっている)であるということが、イノベーションを起こしている企業の共通項でもありました。
これは、経営改善の名のもと、単純にコストカットをしていくことへの警告でもあります。
コストカットではなく、バリューアップ、まずは、これを目指していくべきです。
自社の強みを再発見、それを活かす、その結果、企業価値を上げる、これこそが、中小企業の取るべき王道であると思います。