予定調和

その女の子のすべては彼氏でした。

そして、彼氏は見た目のよさが第一条件でした。

しかし、その女の子は彼氏を失いました。
女の子は孤独でした。
いつも心のどこかに「寂しさ」を抱えていました。

寂しい
寂しい
寂しい

そんな時女の子は神様に言うのでした。
「神様、わたしはいずれ結婚するんでしょう？
わたしと結婚して幸せにしてくれる人が
わたしの知らない何処かにいて、毎日
笑ったり、怒ったり、悩んだりして
暮らしているんでしょう？
どんな人ですか？
早くその人に会わせてください。
その人も、今のわたしのように
寂しい思いをしているのなら、なおさらです。」

いつも、いつも、寂しい時に言うのでした。

でも、何も変わりませんでした。

神様は女の子に言いました。
「お前は、まだ未熟です。
気付くべきことにまだ何も気付いていないし
知るべきことをまだ何も知らない。
お前には心配しなくともやがて彼氏は出来るだろう。
しかし、すべてはお前次第で決まっていくんだよ。」

神様の声は女の子には届きませんでした。

でも、女の子はこうも思うのでした。

「がんばって、生きるからわたしの運命の人さん
待っていてください。」

やがて女の子は彼氏が出来たのでした。

つきあって
別れて
つきあって
別れて
つきあって
別れて・・・・

「彼氏は見た目じゃないんだわ。」
女の子はやっと気付きました。

そして
つきあって
別れて
つきあって
別れて・・・・


そうした中で女の子は気付いていくのでした。

大切な家族や友達がいて
「寂しさ」が
その大切な存在を無視することに
なっていたことを。
時を経ても続く友達が
どれだけありがたいのかを。

そして社会にでていくことで
「彼氏」だけがすべてではいられなくなることを。

そして、女の子は一番身近にいた人が
とても大切な人だとやがて気がつくのです。

まだ見ぬ誰かが結婚相手では無かったのです。
幸せは探しに行かなくても
すべては気付くことにあったのです。
まるで青い鳥のように。

朝
寝癖の頭で目をしぱしぱさせながら
歯を磨くその人を
女の子はじぃつと見つめるのでした。
「何？」
「なんでもない。」
女の子は「寂しい」と思うことが
今のところはないことに
気がつくのでした。