ジョン・ダニング著
やっと読めた。
これくらいの本を読むのに1ヶ月くらいかかってしまった。
「幻の特装本」を先に読んでから、シリーズ1作目のこの「死の蔵書」を読んだ。
「死の蔵書」はハードボイルド臭が強い。
主人公の警官は、インテリだがマッチョで腕っ節が強い。男の美学みたいなことを語る。女にモテる。男のナルシズムをくすぐる、ハードボイルドに良くあるキャラクター。
「幻の特装本」はストーリーはロス・マクドナルド風のハードボイルドだったが、主人公のキャラクターはここまでハードボイルドではなかった。
ストーリーはなんかややこしい。
つじつま合わせのどんでん返しが何回もしかけてあって、なるほど、と最後は理解できたが途中がタルかった。
ジャッキー・ニュートンという悪党が、バーバラ・クロウェルという女をドメスティックヴァイオレンスして痛めつけるのを、主人公が止めさせようとして過剰な暴力を振るうのだが、バーバラはジャッキー・ニュートンを恐れるあまり、主人公を裏切ってしまう。しかし主人公はバーバラを守るために体を張りつづける、というエピソードがあるが、本編と全然関係なくて、主人公のマッチョぶりを明示するだけなので、不要だったのではないかと思う。
あと、リタ・マッキンリーという謎の女の扱いというか最後があっけない。潔白なのに主人公に疑われたことで姿を消してしまうのだが、主人公が悔やむシーンが全くないので物足りない。
最初に出てきた主人公の恋人もすぐに作中に現れなくなる。
ピンキー・プライドという魅力的な少女キャラもあっさり消される。
あちこち不満の残る小説だった。
これくらいの本が賞を取って全世界で読まれるというのは、それだけ小説を書ける人がいない、ということなのだろうか?
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