那須太社 錦輔 の日記

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石坂洋次郎 陽のあたる坂道

2022-09-25 03:33:46 | 読書感想文

昔のベストセラーらしい。

確か船橋の常磐書房という書店が無料配布していた小冊子の中で、おすすめ本として取り上げられていて、気になって図書館でかりてよみはじめたあのだが、おもしろかった。
初めは、ドストエフスキーのカラマーゾフの兄弟、みたいな重厚な家族の愛憎と葛藤、桎梏と対決の物語なのかと期待したが、新聞小説でありそこまでの複雑さや奥行きはなかった。
しかしキャラクターの心理をていねいに描写してあってわかりやすく、自分からするとご都合主義的でなく、矛盾の無い深みのある人物像に思えてかなり面白かった。
今の小説は、逆にあまり細かく説明的な心理描写をするのは野暮で格好悪い、みたいなところがあって、読者を選ぶから広く読まれなくなっているのではないだろうか?
作者が書いてない所を読み取るのが読書の楽しみ方、みたいなことも確かにあるのだろうけど、自分などはこういう全部書いてある小説も良いと思う。
昔、菊池寛の短編を読んだときも、簡潔にしかし明瞭に登場人物の心理が描写されており、すごく分かりやすくてうれしかった記憶がある。
昔の小説と言うのはそういう誰にでも読める優しさというか間口の広さがあったのではないだろうか?
今の若い人は本を読まないらしいが、こういう心理描写の明快な分かり易い小説だったら喜んで読むのではないだろうか?
 
ひとつ疑問に思ったことは、異母兄妹が結婚する事について、法的には問題ない、とか生物学的に大丈夫とかいうセリフが、何度も出てくるのだが、大丈夫なんだったかな。
いとこくらい迄じゃなかっただろうか?
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