宇宙エレベーターのしくみ
掲載日:2008年2月12日
地表と人工衛星を紐で繋ぐ事さえ出来れば宇宙エレベーターは完成します。そうすれば宇宙カプセルが細い糸を手繰り寄せて宇宙へとよじ昇るだけでロケット燃料を使用する事無く人工衛星への上昇が可能となります。しかしその様な事が実現可能なのでしょうか。
人工衛星より紐を垂らします。この紐が地表に届けば成功です。
しかしそうすれば重心位置が低下し人工衛星は降下し墜落します。
どうすれば、地表へ紐が垂らせるのでしょうか。
そのためには紐を地表の反対方向へと垂らす事が必要となります。
地表の反対方向へと垂らす事により遠心力の作用が働き、人工衛星の降下、墜落を防ぐ事が出来ます。
ではどれ位の長さの紐が必要と為るのでしょうか。
その長さは地表への3万6000㎞に対し反対方向へ10万6000㎞の紐が必要となります。しかしこれは全て紐である必要は無くおもりとして距離を短縮出来ます。地表よりの全長10万㎞で良いのです。
しかし3万6000㎞の紐、が重力に対抗出来るだけの強度とはどの様な状態なのでしょうか。その様な物質が存在するのでしょうか。
3万6000㎞の紐、が重力に対抗しなければ為らない。
確かに地表の重力には対抗する必要は有りますが、上空は重力が小さくさらに遠心力が働くため、実際には3万6000㎞分の強度は必要無く4960㎞分の強度で十分です。
それでは紐の材料を探して見たいと思います。
比重7.9の鋼鉄では1平方ミリ当たり、105kgの引っ張り強度しかなく、宇宙エレベーターの実現には39000 kgの引っ張り強度が必要なため、鋼鉄の400倍の強度ある物質が必要です。その様な物質は果たして存在するのでしょうか。
近年、フラーレン(炭素の同素体)による、フラーレンナノウイスカー、フラーレンナノチューブ、等が発見、開発され、4960㎞もの糸紐を支える事の出来る物質が存在する事が明らかとなりつつあります。また、最近ではカーボンナノチューブは、比重1.4、でありながら1平方ミリ当たり、5000kgの引っ張り強度を有して居る事が確認されています。
宇宙エレベーターには6900kgの引っ張り強度が必要ですので、
あと四割強度を増せば宇宙エレベーターは実現可能となります。
宇宙エレベーターの実現はすぐ傍にあると言って良いでしょう。
図1Aの下にあるのが地球です。静止軌道上の宇宙ステーションより紐を垂らし、同時に反対側にも紐を垂らしバランスを取ります。最終的に宇宙ステーションと地表とは一本の紐で固定連結されます。その全長は3万6千km、また反対側に垂らした紐の長さは10万6千kmで安定します。
図1Bの縦軸は地表からの距離を、横軸は地表からの距離に於ける紐の張力を示しています。張力の地表からの初期増加値は、
最大張力/4960㎞、に対応し、静止軌道上にて最大張力となります。
図2A、は反対側に垂らした紐の長さ、10万6千kmの内4万2千kmの紐の代替として相応なおもりを繋いだ物です。
図2Bの張力に全く変化無き事が理解出来ます。