ノーベル賞学者の本庄先生も、自然免疫が高まるとおっしゃられていましたし、TVで遺伝子の番組を観た時に、遺伝ではなく、後天的に鍛えて、その他の98%にある遺伝子のスイッチを入れて、がんを出来なくするとか、切り替えて、子孫にも受け継がせることができるとかやっていました。スイッチを入れる働きがあるのかも分かりません。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200413-00234432-diamond-soci はしょって掲載します
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界の感染者数は178万人を越え、死者数は10万人を超えた。現在、感染者数がもっとも多いのは米国で53万0006人、次いでスペインが16万6019人、イタリアが15万2271人と続く(4月12日時点、米ジョンズ・ホプキンズ大学の集計<https://coronavirus.jhu.edu/>による)。 一方、重症化して死に至る人の数でみると、米国が2万人を超え第1位に。次いでイタリアで1万9468人、スペインが1万6972人、フランスが1万3832人となっている。
Our World in Data(https://ourworldindata.org/grapher/total-covid-deaths-per-million)というサイトのCOVID-19情報(図1参照、4月11日時点)によれば、人口100万人に対する死者数の割合の上位3国はスペイン(338.8)、イタリア(311.7)、フランス(202.1)。米国では56.7、日本は0.69となっている。
WHOのデータによれば、結核が撲滅された欧米諸国では人口10万人あたりの結核感染者数は25人未満だ。その一方で、欧米のCOVID-19の死亡者は急増中だ。
これに対し、中国や韓国では25人以上、100人未満。モンゴルでは結核の感染者数は人口10万人あたり300人以上報告されているが、なんとCOVID-19の死亡者はまだいない。
では、日本はどうかというと、戦前の死因の第1位は結核だった。「肺病」とも呼ばれた一般的な疾患で、死に至ることも多かった。だが現在では人口10万人あたりの結核感染者数は25人未満。にもかかわらず、COVID-19の死者数の割合は非常に少ないのだ。
BCGとは、結核予防のためのワクチンで、結核菌を弱毒化したものだ。日本では、かつてはツベルクリン反応(ツ反)検査で陰性の(つまり、まだ結核菌に感染していないと考えられる)人にのみ接種されていたが、現在は生後1歳未満の赤ちゃんを対象に接種が義務付けられている。あの「9本針のスタンプ注射」の接種率は98%に上る。
欧州諸国はほとんどの国でBCG接種のプログラムがない。ドイツと国境を接するポーランドではBCG接種が為されているが、図2のカーブの傾きはポーランドでは他の欧州諸国より立ち上がりが若干緩いように見える。
まだ査読が済んだ段階ではないが、「プレプリント」としてmedRxivというサイトに公開されている分析結果では、BCGの接種プログラムのない高所得国のCOVID-19による死亡者の割合は、高齢化率を加味してもBCG接種が義務付けられている中~高所得国より高いとされている
● BCGには結核予防以外の効果もある? 自然免疫を“訓練”する可能性
ほぼ100年の歴史があるBCG接種。実は疫学研究者は、このワクチン接種が結核予防以外の効果があるらしいことに気づいていた。例えば、BCG接種によって小児の結核以外の理由、特に呼吸器感染症による死亡率も減少するという報告が、発展途上国だけでなく多数ある。
また、約3000人を60年間フォローアップして得られた米国のデータでは、幼児期のBCG接種が成人期以降の肺がんの発生リスクを下げる効果があると示されている。さらに興味深いことに、BCG接種は膀胱がんの進行を抑えるという報告もあり、多数の臨床研究が進められている。
まず、「獲得免疫」とは、血液の中を循環しているT細胞やB細胞といった免疫系の精鋭部隊の細胞たちが、病原体が侵入したことを“記憶”。次回の進入時には、記憶したターゲットを狙い撃ちする「抗体」を素早く産生することによって病原体を排除する優れたシステムだ。ただし、このシステムが病原体ではなく花粉に対して過剰に働くと、花粉症のようなアレルギー反応を引き起こしてしまう。
一方、生体には“あらかじめ備わっている”免疫システムもある。外来の病原体が侵入すると、マクロファージやナチュラルキラー(NK)細胞といった免疫系の別の細胞たちが働き、ただちに「炎症性サイトカイン」と呼ばれる物質を分泌して対応する。
BCG接種は、どうもこの「自然免疫」を刺激するらしいことが分かってきた。2012年にオランダのグループが行った研究では、BCGワクチンは、インターフェロンγの産生を促すだけでなく、ヒトの免疫系細胞の1種である「単球」(マクロファージや樹状細胞に分化する細胞)を活性化し、種々のサイトカインを分泌させることがわかった。
この研究グループは、BCGのこのような効果を「訓練免疫(trained immunity)」という新たな概念として提唱している。つまり、自然免疫が働きやすくなるように“訓練された”状態になるというのだ。
さらに彼らは、BCG接種を受けた健常人血液に含まれる単球の“遺伝子スイッチ”の状態(専門用語では「エピゲノム」の状態)を全ゲノムレベルで調査。一回のBCG接種でサイトカインや様々な増殖因子を分泌しやすくなる方向に、スイッチの状態が変わっていることを18年に報告した。
つまり、「訓練免疫」とは、いわば「自然免疫」がパワーアップした状態と考えられる。BCG接種により、未知の病原体に対する抵抗力が高まる可能性があるのだ。
実は日本では03~04年にかけて、老人の肺炎予防を目的に、BCG接種の効果についての臨床研究が実施されている。当時、東北大学の老年内科のグループは、高齢者介護施設に入所中で日常生活動作の低下した155名の高齢者を対象に、まずツ反検査を実施して陽性群と陰性群に分け、陰性群の約半数にBCG接種を試みた。
BCG接種4週間後に再びツ反の判定を行い、その後2年間にわたり肺炎の発症率を追跡調査したのだ。その結果、ツ反が陽転しなかった群では42%に新たな肺炎が発症したが、陽転した群や、もともとツ反陽性群では、それぞれ15%、もしくは13%しか肺炎を発症しなかった。すなわち、BCG接種は免疫反応性の低下した寝たきり高齢者において、肺炎発症の予防効果を有することが明らかにされたのである。
BCG接種は、有効なワクチンや新薬が開発されるまでの”繋ぎ”の対応ではあるが、もし欧州でBCG接種の効果が確かめられれば、今後、BCG接種プログラムを持たない国において、COVID-19感染症予防のために大人に対してBCG接種を行うという可能性はあるだろう。
一方、日本では現在、BCGの接種率は98%となっているため、引き続き、COVID-19感染症予防の原則は“物理的隔離”と“化学的除去”となる。前者は、いわゆる「3密」を避けることの徹底であり、後者は界面活性剤やアルコールを用いた手洗いや手指衛生である。