スカーレット手帖

機嫌のいい観客

フル・モンティ -急遽ですが全部出しちゃえよあと終電の時間伸ばしてください-

2014-02-13 | 観劇ライブ記
話題作フル・モンティ、急遽見てしまいました。



2/6木曜日、急に東京出張がありました。

打ち合わせ終わりで18時の東京駅。
帰りの新幹線のチケット買おうかな、と時間を調べようとしたときに
ふと「このへんでいまから当日券で見れる舞台ないかな」と思ってしまったが最後だった。

東京駅→このへんで見れそうな舞台のある場所→銀座・有楽町付近→
→大きそうなところ(確実に当日券出そうな規模)→駅近くだと国際フォーラム?→なにやってるかな?→
→えっ、えっ、フルモンティやってるじゃん!→開演時間18:30→現在時刻は18:11→
→ということは→ 走れ!!

というわけで、地下道を走り抜け、国際フォーラムへと向かいました。
(東京駅付近は地下が繋がっていて楽だな)

財布に上限があったため当日券A席をゲットし、開演3分前に席に滑り込み。
平日夜はイケちゃうもんですね。
にしても、こんなふうにナチュラルに当日券を買えるようになった自分の劇場への場馴れ感が怖いッ…

フル・モンティはもともと映画作品。今回はアメリカでミュージカルになったものの翻訳版だそうで。
工場をクビになった冴えないオッサンの主人公たちが、それぞれの人生の一発逆転をかけて
メンズストリップショーをやるまでのあれこれを描いた話でした。
(映画未見。舞台見たら映画もみてみたくなったなあ)

主演!山田孝之!
演出!福田雄一!!

という、いわゆる「ゴールデンコンビ」による舞台。(勇者ヨシヒコとかね。)
どんなシュールな演出になるのかと思っていたら、予想よりもぜんぜん正統派な仕立てだった。
元ネタがしっかりおもしろいからかもしれないけど、登場人物の葛藤をちゃんとひとりずつ描いて
飽きない流れになっていた。
おっさんが脱ぐとかいうキャッチーな切り口なんだけど、これヒューマンドラマなんですよね。
人生がうまくいかない男たちが、ストリップをやるんだ、というところに向かってそれぞれのテンションを上げながら
自分の問題をちょっと解決していく話なのです。
そこが丁寧に描かれて、その上役者の「らしさ」が存分に出ていたのがとてもよかった。
生バンドが入ってたのがめちゃくちゃテンションあがりました。バンドやりたいよう。

山田孝之は初舞台らしいけれど、ぜんっぜん、そんなことを感じさせない堂々っぷり。
声がいい(なんか声優みたい)上に歌もうまい。そしておどる。
(男子の集団でおどる山田孝之って、そういえば「ウォーターボーイズ」じゃないか!)
歌もせりふも、舞台俳優のように朗朗と歌いあげるという感じのタイプではないんだけど、
いつものように上手い演技をそのまま舞台の上に拡大させたようなかんじで、とても見やすい。
自然体なのに存在感が強くて、なんか、まじでこの人、「才能で生きてる人」だなという気がした。

まあ、こんな写真がニュースで出ていたけど(笑)

ほんとにやってたよコレ。

脇を支えるメンツもとてもよかった。
ああ、山田孝之のいるところにこの人が来たらもうお任せします、的なムロツヨシ。
八犬伝で天衣無縫だった中村倫也(歌がうまい!)
ブラザートムもやりたいほうだいだった。「バファローじゃなくてジョージアみたいだな」とか言ってた気がする。
(※山田孝之はただ今ジョージアのCMに出演中です)
準主役的ポジションにいた「いいデブ(by福田さん)」勝矢もよかった。
鈴木綜馬はもと四季ということで。お上品でした。怪人やってたんだって。色気ムンムン親父ですなあ。

あと、今回はレディースチームに、すごく惹かれました。私。

佐藤仁美はそもそも達者な人だよな、と思っていたのですが、
やっぱりうまかったです。慣れ感がある。
山田孝之とのバランスもいいんじゃないかな、と思った。(歌とかの)
別れた奥さん役で、ヒロインというわけでもないんだろうけど、ハマるポジションでした。

大和田美帆もうまかった。歌いけるのね。あとスタイルがいい。
元劇団四季の保阪智寿さんも、綜馬さんとのペアっぷりがとてもよかった。てか、能天気奥さん役がうまい。
浦嶋りんこは安定だ。ウーピーゴールドバーグのようだ。

オモシロ点としては、「ネイサン」という名前の役があったのですが、
「父さん!」「兄さん…」的な、「姉さん」なのかな、
と途中まで思っていました。違いました。息子でした。
あと、ムロツヨシが「イーサン」という役をやっていたので混乱しました(笑)

さらに帰ってきてブログ見てたら、テニミュ俳優の子たちもこの舞台けっこう見に行ってたのを知り、
なんだか嬉しかったなあ。
よくできたエンタメでしたよ。まじで。
こういう良い先輩たちの舞台を養分に、テニミュもより充実させてくれることを願います。

そして、ココまで書いてきてなんですが、
私は今回、ひとつ大きな後悔があるのだ。
当日券を購入するタイミングで、スタッフに上演時間を聞いた時点でそれは予想されたことだったのだが、
実際に目の前に迫ると非常につらかった。
何かと言いますと、
「終電に間に合うように電車に乗るために、エンディングをあきらめなければいけなかった」
ということです。

東京発名古屋ゆきの新幹線終電が22時。
18時半から始まった1幕終了時点で20時15分ぐらいになっていた。
休憩あけて20時半ごろからの2幕。物語がだんだん佳境に入ってくる。
おりしも私の隣の席にはめずらしくも眉目秀麗ななかなかイケメンの男子が1名。
こんなナイスな舞台に一人でやってくるような男子、惚れてまうやろ… 
ドキドキ、ドキドキ… ってちがう! そのドキドキちがうよ!!
ワンシーンワンシーンが終わるごとに、私は高鳴る鼓動を押さえられない。
間に合うのか?東京駅に行けるのか??
逆に最後まで見てしまって東京に泊まるか?ホテル代、いちまんぐらいか?始発帰りか?
いやそれはダメだ朝間に合わないでしょ??
行きは東京駅から頑張って10分強かかった。帰りも同様にかかるとして21時45分、いや40分。
いや、帰りの切符買ってないから買ってホームに移動するの含めて最悪21時30分には出なければ。
そっか、21時半か。それなら最後まで見れるかもな…… イヤ、ちょと待て、だめだ!
この舞台の仕上がりで行くと、たぶん最後はスタンディングオベーションが起こる。2,3回起こる。
しかも聞きかじった話で行くと最後にこれ「すっぽんぽん」になるらしいではないかめっちゃ観たい。
だけどすっぽんぽんでこの仕上がりだとかなり盛り上がってスタオベフゥウウウーー!!的になって
さらにぜんぶ終わったあとにこのA席のある6階から降りるためにはすごい大混雑を抜けなければならない
恐れがある。というか、それが確実に発生する。
…ということは、
「21時30分前の、盛り上がりシーンの前の切れ目ですばやく退出」
そう、それしか私には選択肢がなかったのです。
いくら自分が出来る限り最後まで見たいからって、
いいシーンで盛り上がってるイケメンの前を横切ることは、私にはできないと思った。
それがこの一人舞台イケメン男子への礼儀だ。彼の今後の観劇意欲を削ぎたくないのだ…!
(すごい脳内盛り上がってたけど単に私がビビりなだけとも言える)

そんなわけで、
シーンでいえば、ジョージ―とヴィッキーによる、夫への返歌が終わったところで
暗転にまぎれてイケメンのひざ前を通り抜け、
私は東京駅へ、シンデレラエクスプレスの牧瀬里穂のように可憐に駆け抜けていったのでした。
すっぽんぽんみたかった。むしろすっぽんぽんにこのチケット代の半額分ぐらいがかかっているのではないかと思う。
無事乗れた新幹線の中でハンカチを噛んでくやしがる私でございました。
JRさんよぉ終電伸ばしてよぉ。

ま、ていうかこのクオリティと満足度からすると、そもそも前売りで買うべき舞台でした。年間上位に来る勢いではないだろうか。
当日券で行ってしまった私は、オペラグラスさえ忘れていたのですが、
これは万全の態勢でチケットを取った上で、1階席間近から、拡大鏡でガン見するべき舞台だと思います。
今週日曜日までらしいですね。
イケる人は絶対に行った方がいい。
さあ、もしこのブログを2月16日以前にご覧になった方がいらっしゃったなら、
すぐに東京国際フォーラムホールCへ行き、当日券を買い求めるべきだ。

翻訳調でこんな大仰なセリフを行ってしまうほどに、非常におもしろい舞台でした!

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