椅子に座った瞬間に「これは駄目だ」という状況に陥った。
ただしそれは、演目内容とは一切関係のないところでのことだった。ーーー
そんな、ある意味強烈に思い出深い、そしてそのくせ書き忘れていた
1月の観劇経験について書いておきたいと思います。
観劇とは、自分の肉体のコンディションを伴うものであるということを
まざまざと感じさせられたのである。
その日、見ようとしていたのは「TARO~俺たちが救う!!~」、
日本の昔話の「~太郎」とつく登場人物がいっぱい出てくるという、
オリジナル演劇。ダンスの要素も含み、キャストにはテニスを卒業した、今見てみたい人たちが揃う。
ちょうど仕事で年明けから始まる同じような企画を仕込んでいた最中にこの芝居を見つけ、
これってなんだかリンクしてるみたいじゃ~ん 2015幸先いい!
と思いながら、チケットを取った年末を思いだす。
1/24のマチネだった。
土曜日の昼公演はいつも週末の疲れを振り切って準備をし、家を出ていかねばならないので
大体会場到着がギリギリになってしまう。
この日も案の定であった。
渋谷駅からほど近いシブゲキ。初めて行く会場だ。
さほど迷わずに到着し、エレベーターで上階へ。
開演5分前にギリギリで到着した。
ホールに入って、後方の自分の席に着席した瞬間。
ドキッとした。
この劇場って・・・足元がむちゃくちゃせまくない・・・!?
座った瞬間感じる圧迫感。
この座席、普通に腰掛けたときの前の座席への余裕として、膝にびっちりつく幅しか確保されていない。
足を組みかえるどころか寸分も動かせない距離感と、押し込められる尻まわり、
一週間の疲れがたまりきってはち切れんばかりのふくらはぎが悲鳴をあげる。
身長165センチ、体格がけっこう良い(どう間違ってもスマートとは言えない)私。
日頃の運動不足もたたり、筋力も柔軟性も低いためとにかく劇場では足元にスペースが欲しい。
しかもこの日、何を思ったか、私はデニム生地のタイトスカートに、ロングブーツという、
腹回りから足首にかけてわりと締め付けのきつい格好をしてきてしまっていた。
本来的にそれが観劇(椅子に2時間単位でじっと座る)に不向きである、ということはわかってはいたのだが、
夜に人と会う用事があったため、もうなんとか手持ちの服で防寒しつつ着痩せするもの、
ということでそのチョイスで来てしまっていたのだ。
(そして着痩せと着心地は大体の場合において、どちらかをとればどちらかを譲る運命になっている。)
ていうかまあ、別の会場にこの格好で行ったこともあったし、荷物もそんなにないから問題はないのかと思ってました。
ひとことでいうと、窮屈だ。
そしてその窮屈さを裏切るように座面だけがふかふかの椅子。
ああ、尻の裏からふかふかさだけが押し寄せてくる、、、イイカンジ、、、、
しかし、自分を騙すことができない。
尻の着地面の優しさが嘘のように、まったく余裕のない腰、腹、ふくらはぎ。
周りを見回す。
みなさんは普通に座っていらっしゃる。
だから私だけの思い込みなのかもしれない。
楽しみにしてきたのだし
普通に落ち着けば、2時間休憩なしのこの舞台を耐えられるのではないか。
そう2時間、たった2時間のことだ。
と、考えた瞬間、プチパニックが到来した。
2時間・・・・・・
細い、円筒状の入れ物の中に入れられている動物のような気持ちになる。
怖いことだが、このままゆっくりと身体が固まったまま壊死していくのではないかとすら思えた。
勝利のイマジネーションではなく、終了のお知らせが自分の中にひびきわたっていた。
そして開演1分前、私は会場を飛び出した。
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後から、思いました。
ああ、せめてスニーカーで来ていたら。
せめて、ジャージ素材のスカートあたりで来ていたら。
ふかふかの椅子~~~ひゃっほ~~~~ と言いながら楽しめていたのかもしれない。
敵はどこに潜んでいるのかわからない。
結局、会場外のビジョンで、舞台の様子を見せてもらいました。
近い距離感ならではの、楽しいお芝居が繰り広げられていたし、
ダンスは是非目の前で見たかった。
アイドルがテーマの一つになっていて、ヲタ芸も披露されていたし。
各太郎のアイデンティティが奪われてどうのこうの、、、というストーリー展開も
興味深かった(←見れてない)。
あと、テーマソング、悔しくて忘れられなくて今でも歌えます。
お箸の国のヒーロー、きみを救うのは太郎
ということで、まとめますと、
「CBGKシブゲキへ行くときは、伸縮性のある服と身軽な格好で行け」
・・・いや、ていうか、「痩せろ」か?