スカーレット手帖

機嫌のいい観客

殺意の衝動

2015-06-07 | 観劇ライブ記
最後に背筋ゾクッ…!
翻弄されました。コンパクトでおいしいサスペンス。

6/3 初日の夜の「殺意の衝動」に行きました。

村井良大・平野良 というウエーブマスターが誇る若獅子W主演への期待。
そして、「殺意の衝動 なぜ殺すのか?それが生きてる証明だから」
という長いタイトルへの不安。
(やたらタイトルが長い作品はそれだけでスタンスを伝えようという向きが強く
 なんとなく予防線を張ってしまうのね個人的に)
そしてサスペンスという、演劇としてどっちに転ぶか賭けっぽいテーマへの不安。

一応村井くんのファン心理からの興味にもかかわらず、
上記のようになんとなく「不安優勢」の心境でスペースゼロに赴きました。
(閉じ込められた部屋にいる数名の男女によるワンシチュエーションストーリー
というところから、13年の「ジオラマ」を連想したというのもある)


で、行ってみましたら、すごかった。
90分間、最初から最後まで緊張感あふれる疑心暗鬼の殺し合い。
密室の中で自分以外を責め合う人々。
絶望的に出られないということが明確になっていくにつれて、自分自身、
いつのまにか「次にこいつ殺したほうがいいよ」とか思いながら見てしまう。
ベタな設定だなあと思いながらも、取り込まれているなあと思いました。
みんな熱演だったので。

宮下雄也氏、えげつねえ男だった。嫌な奴だった。
ベタすぎる嫌な人間だった。絶対に近づきたくない。

最後は村井・平野の二人になり、
村井くんが暗い過去を吐露し、すべてのカラクリが明らかにされる
・・・と思いながらも最後の最後で急展開
ラストシーンでニヤッと笑うのは平野。
そんな終わり方でした。
まあ、後からよく考えたら矛盾もある。
キャラクターの描かれ方が断片的だし、普通に考えたらそうならないだろう、とか
あまりにもベタすぎるんじゃないのか というところも確かにある。
あるんだけども、熱演なもんで、カバーされていて気にならなかった。
90分間みっちりとミステリーでサスペンスで、背筋ゾクゾクッ で観終わった。
完璧じゃないですか!!

ミーハー視点としても、村井くんのビジュアルがよかったので満足しました。
いやー、暗い男の役は割と毎回鉄板で似合うよなあ~~~

GO WEST

2015-06-07 | 観劇ライブ記
何が自分の気持ちとかみ合わないのか。
ということを考えながら見ていた次第です。
6/6 マチネで、楽しみにしていた「GO WEST」見てきました。
キャストの顔ぶれだけでなく、
池鉄さんはどんなものを作るのか、というのが楽しみでした。


本作、オリジナル西部劇なんですが。

「ヘタレウエスタン」の3人組のバランスとテンポは
よいと思ったし、(宣伝文句としての「ヘタレウエスタン」秀逸だと思う)
渡部秀くんは初主演舞台だけど、やっぱり華がある。動きもキレあり。
太田くんは可愛げがあるし、冒頭部分の狂言回し的に登場したところでは
「おっ、この作品はきっとおもしろい」を予感させるテンポのよさ。
佐藤真弓さんのキャラクターめいたおじさんもかわいい。

なのに、この3人組ストーリーがあまり軸に走っているように見えなかったんだよな。
そして、細部のバランスつうか、「どこまで配慮しているのか?」
というのがどうにも気になる私。

銃をぶっぱなすシーンが多い中で
空砲と玉が入っているものが同じ表現、というところまではいいのだけど、
それによって
「怪我をしたふりをしてる人 」
「死んだふりをしてる人」
「ほんとに結構な怪我をした人」
「ほんとに死んじゃった人」
というのが入り乱れている点。
モブなんでしょうがないんだけど
敵との乱闘シーンで倒したやつが何回も生き返る点。
普通の殺陣とかでもまあこういうのはよくあるのだけど、
今回に限っては「空砲の玉」がけっこう鍵になっているはずなのに
みんな発砲して、みんなリアクションして、みんな倒れてるのに、みんな復活していくので
強いのか弱いのか、倒せてるのか倒せてないのか
というのを気にしながらも曖昧なまま、
(きっと主役関連は死なないよなと思いながら) だだだだーと行ってしまう感じのところ。

そして、それが生死は西部の日常、の描写ということで
主要メンバーに及んでこないのであれば
まあなんか、こう、見ているほうとしてスタンスを決められるのだけど、
(主役じゃないけど)劇中けっこう長い事生きてたのに死ぬ人もいる、という点。
コミカルの流れに突然の残虐が入ってきて引いてしまう私。
特に 「木につるす」というところが私の中で、
「奇妙な果実」を連想してしまってダメであった。

そんで、そんな残虐な悪の親玉として田口さんが出てくるのだが
どうもな、先に1回兼ね役で出ているときの印象が立ってしまい、
「満を持して感」が薄れてしまい、もったいない。

あと、トラウマを暴いていくシーンにどうにも緊張感がたりない。
ここが山場でしょ。
笑いが挟まれるのはいいけど「「ワー」言われてうるさい」というだけだしなあ。

というような感じで、
なんでだ、なんかいい線までいっているのに…
との思いが波のように打ち寄せては返す状況が2時間続く。
もっと……もっと一思いに、ば…爆発させてくれ…
という心境の私。


ここまでくると、
着替えシーンで幌馬車に映るお嬢様の影の見え方が
どうにも中途半端に見えるのすら気になってくる。
(もっと角度計算したらいいのに。。。
 てかなんならもう映像投影したらいいじゃないのか)

小島藤子ちゃんがかわいいんだけど、
どうもこの人の役の信念もわかったようでわからないまま。

佐藤祐基くんと大口兼悟くんの雰囲気が似過ぎている(主観)ことによる混乱。

あとは、異様な存在感の栗原類くんが話の中盤以降から
突然登場してくること。
「人間だけど馬役」←突然のシュール
「しかも、ドリューお嬢様はこの馬と喋れる」←突然のファンタジー設定
そしてディズニーアニメの吹き替えを実写で再現しているかのような
栗原類くんの熱演。びっくりするぐらいバタ臭く、一生懸命に演じている。
彼は他の人の芝居のトーンと明らかに違う磁場を生み出していて、
控えめに言ってちょっとした異様であるし、目をもっていかれる。
なのに、基本的に隅っこにいるというもったいなさ。

もったいねえな~~~~~

結構彼を大きく生かすのかどうかで、
この話はもっとコミカルに見えてくると思うのになあ。
脇にしかいないのよ。お嬢様を結構助けているはずなのに。


そんなこんなでなんやかんやかみ合わない気持ちのまま、
最後の突然の山下達郎も「一体なぜだ…」という感じで、
「なぜここでウエスタン曲にしないのか」
という苛立ちに似た疑問、
「ああ、この曲、GOOD LUCK!!(2003)の主題歌だったなー」
という懐かしさ、
そのふたつの気持ちに囲まれながら
汗だくの渡部秀くんを見守るカーテンコールであった。
ある意味シュールな思いであった。

最後まで3つぐらいの話がそれぞれで展開されている感じで、合奏に見えなかった。
笑いとシュールとまじめの境目、および配分が
もうちょっとどうにかこうにかなるのではないのか、と思ってしまった。
紙の上では面白いのかもしれない。
しかし、動いて組み立ててみると、いやもっと面白くなるだろう という感じ。
役者ではない。脚本ではない。演出ではないか。

なんというか、
「ディフォルメが中途半端に感じる」ということなのかもしれない。
コメディなら、もっとずっこけて。
成長物語なら、もっとビフォーアフターをはっきり見せて。
真剣な戦いなら、もっと笑いを控えめにして。
全体的に、凸凹をもうちょっと作ってくれやしまいか。
何か、この微妙に釈然としない接続がすべてガッチリ合った暁には、
いまの脚本のまま、大爆発するのではないか。


・・・


なんつって~~~~~~

こちとらまったくのドシロートなんですが~~~~~~~~
言いたくなるもんですね~~~~~
こわい。

こわいこわい、まんじゅうこわい。
半可通の観劇こわい。 ということでひとつ。

観たものメモ

2015-06-02 | 観劇ライブ記
例によって飽きてるのでなんやかんや書いてもいないものもいろいろあるけど、
6月になったので、今年年明けから何観に行ったのかを書いておこうと思う。

1月
・1/9 新幕末純情伝@新国立劇場
・1/18  カスタマイZイベント(無料)@ラゾーナ川崎
・1/24 TARO@シブゲキ
 〃 シアワセじゃなくちゃいけないリユウ@新国立劇場
・1/31 カワイクなくちゃいけないリユウ@新国立劇場

2月
・2/8 ペダステ野獣篇DVDイベント@日比谷公会堂
・2/14 テニミュ不動峰プレビュー@TDCホール
・2/15 〃
・2/27 いつも心に太陽を@紀伊国屋ホール
・2/28 モンティ・パイソンのスパマロット@ACTシアター

3月
・3/4 リチャードⅢ世@あうるすぽっと
・3/7 ペダステ The winner@青年館
・3/14 テニミュDVD全国立海イベント@さいたま市民文化会館
 〃 ペダステ The winner@青年館
・3/15 タイタニック@シアターコクーン
・3/20 極上文学草迷宮@紀伊国屋ホール
・3/22 Free!イベント@両国国技館
・3/28 テニミュ不動峰@青年館(昼+夜)
・3/29 ペダステThe winner千秋楽LV

4月
・4/4 サイケデリック・ペイン@銀河劇場
・4/5 NARUTO@アイアシアター
・4/7 サイケデリック・ペイン@銀河劇場
・4/11 デスノート@日生劇場
・4/26 レ・ミゼラブル@帝国劇場

5月
・5/9 逆転裁判@俳優座劇場
・〃 テニミュ不動峰@TDCホール
・5/11 テニミュ不動峰@TDCホール
・5/17 テニミュ不動峰@TDCホール(千秋楽)
・5/29 恋するブロードウェイ@博品館劇場
・5/20 滝口炎上@明治座
・5/31 眠れぬ夜のホンキートンクブルース@紀伊国屋
(5/6 消しゴム@銀劇 に行けず、、、)


わりと、親の仇のように劇場に行っていますね。
テニミュの基礎トレーニングの上に各種公演が乗ってきている感じがある。
平日とかバタバタしているので、駅に近い所じゃないと行きにくいのもあって
あまり変わった劇場にいけないのが寂しいところである。
下北沢とかも微妙に遠いのです。
行くのに時間がかかったりする、いろんな劇場に行ってみたい。
今日は久しぶりに音楽ライブ、SAKEROCKの有終の美を観に行ってくる。

恋するブロードウェイvol4

2015-06-01 | 観劇ライブ記
飽きてたはずなんだけど、
気づいたら3日連続で舞台的なものに足を運んでた。
逆に、ちょっとしたなんていうか焦燥感の賜物かもしれない。

恋するブロードウェイ
演目としてはずっと気になっていたけど、前売りは買ってなかった。
ところが博品館劇場が、職場から近いんですよ。
ふと通りがかったら、追加になった昼公演の当日券が出るようだったので、
急遽見てきました。


恋ブロは、ガラコンサートみたいなやつでした。
vol4まで来ているからなのか、(もう歌い尽くしたのか?)
意外と知らない曲ばかりでした。
そしてわりと英語で歌うので、否応なしに発音気になる系っすね。

これは、気軽そうなパッケージと見せかけて、
出る方にはなかなかハードル高い演目だと思った。
そもそもストーリー関係なしで曲だけ切り出してやるので、
知らない曲でテンションの下がる客(私)をどうやってキープするのか。
単に歌うだけじゃイケメンのカラオケになっちゃうし、
まあそれでもいいっちゃいいんだろうけど、
わざわざミュージカルナンバーを歌うからにはそれなりの違いが(個人的には)見たくて、
つまりそんな背景をイメージさせるためには、歌い手に相当な表現力が必要だ。
なのにあんまり曲の説明するMCの時間はなくって、
メドレーでじゃんじゃん進むんだよ。
なかなか厳しい!
しかも私は最後列という
舞台からパッションを受けるには相当エネルギー要る場所から見てたので
どうにも辛口で見てしまう。

・・・などとネガティブなことを言いがちなのですが、
ここで心を掴んだらきっと本物!と感じる中で、
大山くんのパワーがすごかった。
大山くんうまかった。
生命力みなぎるトート様の歌を歌っていましたね。
生きてる(黄泉の帝王なのに)!

あと、内藤大希くんうまいな。場慣れしているしな。
大きいうまい人(大山)、小さいうまい人(内藤)という感じで
この二人のコンビが軸になって、舞台が回っていました。
クオリティ担保係だなと思いました。

そしてなんか歌うのっていうかミュージカル好きそうだな~この人
と思うのが法月くんでした。
彼もうまいし、普通の曲ならぽいっとこなせるんだろうなー
(後半のほうでやった曲は超気軽に歌っててこなしててノリノリだった)という中、
難曲(サンセット大通りのやつ)に挑んでいたところに好感でした。
やっぱアルターの時も思ったけど、
彼はなんとも目の離せない個性を感じるので、歌手というよりミュージカルで見たい。

矢田ちゃんは、逆に歌手っぽいなというか、
歌は得意分野なんでっせ~~オラオラ~~~~ という雰囲気を醸していて、
その通り音程はがっちりつかんでいるしビブラート効きまくりなのだが
いろんなジャンルを歌うのを聞いていると、彼に合うもの・合わないもの
というのがあるんだなあと気付かされました。
具体的に言うと、最後のほうにやってたジャジーなやつは良いなと思いました。

味方くんは、
メドレーでこう流れていくとどうもいいところが見えんというか、
本人の志向と恋ブロの時間の流れ方が合ってない気がしたな。
客観的に見て、歌がものすごい強みって感じではないからかしら。(失礼)
こってりしたウィーンミュージカルに出て芝居をからめたほうがいいな。

三浦君と廣瀬くんはなんせもう若い。
高校生ですって!
若さとは・・・
という刺激が目に飛び込んでくる感じであった。
廣瀬くんの素直すぎるアニーの歌に、気づいたら突然泣いてました。
本当に唐突に母性のスイッチを押された。こわい。
三浦くんはジャニーズジュニアみたいだったぜ。
「ユー・アー・シクスティーン」とカクカク歌うのに若さを感じた。


まあ、エレクトーンひとつでノンストップ、
一生懸命舞い踊るみなさんを見る、という装置だけで一体感が生まれ、
小さい場所でやるってのはいいよな。
でもちょっと物足りない感があったことも確かなんで、
もうちょっと知ってる曲やってくれるか、
もうちょっと楽器の数増やしてくれるか、
もうちょっとミュージカル慣れした出演者を増やしてくれると うれしい。