スカーレット手帖

機嫌のいい観客

「美少女戦士セーラームーン」 -Un Nouveau Voyage-

2015-09-22 | 観劇ライブ記



9歳の私が、大阪は近鉄劇場の舞台の上で歌い踊るセーラー戦士を初めて見たあの日から、20年以上の月日が流れた。
大人になって再び出会う少女の夢の世界は驚愕の進化を遂げていた。
セーラームーンミュージカル2015、すごい。


とにかくセーラー戦士5名が揃ったときの身長バランスが理想この上なかった。
冒頭、制服を着て登場するときの脚の細さとスカート丈と靴下と靴のバランスが
全員すごくすごく、原作から飛び出てきたかのようで、細くて、かわいくて、
思わずぞわっと鳥肌がたった。
なかよし本誌で連載開始当初から1ページ1ページをつぶさに見つめ続けた
小学生時代の私がこの場にいても、その審美眼をクリアしたと思う。
感動して目が溶けるかと思った。
とくにまこちゃんとレイちゃんは控えめに言って、「完璧」だった。
(レイちゃん、サイペのかのんちゃんでした。)

そしてしみじみ、主役がすごい。
月野うさぎちゃんは、夢を保ったまま肉体を持って現存する人間だということが判明した。
あのお団子頭を違和感なく身につけられる体のバランスを
歴代のセーラームーン役の人は持っていたのだと思うが、
違和感の塊でしかないはずのあの髪型も、ふつうにかわいいし「アリだな」となる
大久保聡美という人がいるんだなー
すごいなあ~~~本当に。歌もうまいしなあ。
声が三石琴乃の若いころに似ているような気がする。
というか、みんな声が声優に似ている。リスペクトがすごい。

それから、大和悠河演じるタキシード仮面。
でてきた瞬間に客席から「いよっ」という掛け声に拍手、ここは銀橋っすか!!
しかし、今更ではあるがなるほどなあ、全員女性という座組。納得感がある。
タキシード仮面のキザさは宝塚フィルターを通せば日常になる。これはなんとも発明ですね。
あと、タキシード仮面は見守る役でありながらも原作だと結構役立たずな時もあるから、(主観)
ハーレム状態の中で男性が演じると、「顔綺麗だけどふがいない、でくのぼうの人」
みたいな風にみえることもあると思うんですよ。
「せっかく男手あるのに使えない」的な、ことによるとジェンダー論争を巻き起こしかねない存在だ。(主観)
それをベテラン女優の存在感でいろいろと相殺して、
観念的な「落ち着いた見守りびと」として置いてしまうという。なるほど感だわ。
あくまで主役は戦う女子たちなのであります。

あと、もはや原作での立ち位置をすっかり忘れた、、、というか、
このあたりから私がなかよしからりぼんに移行していったがために
ぼんやりとしかわかっていないセーラーウラヌス・ネプチューン・プルート・サターン

すごい。

セーラーウラヌスがかっこよすぎる

セーラーウラヌスがでてきた瞬間にセーラーウラヌスにしか目がいかない

すごい。

ちょっともうびっくり というか
なんだこの美しく倒錯的な人物は というか
こんな原体験を数多の少女の心に植え付けた武内直子心からおそろしい というか
いやいや具現化しているこの人奇跡なんじゃないか とか

演じるは汐月しゅうさんです

ぜひごらんください。
としか言えない。なんもいえない。


あと、セーラープルートもものっすごいフォトジェニックな人でてきたわよなんだこれ
と思ったらOggiのモデルだった(どっかで見たことあると思ってた)し
そこ地続きになってんだ!! という衝撃と共に、すでに自分が春の逆転裁判でこの石井さん1回見てたことにも驚いた。
何もかも繋がっています。こわいね。

ここまで、キャラクターと出演者の話しかしてませんが、
話はふむふむ、という感じでした。
セーラー5戦士、外部3戦士、あとほたるちゃんを巡って悪の組織の思惑。
セーラームーンを見ていると、毎回「悪の組織」がすごくしっかり組織化されていてすごいなーと思います。
由緒正しき悪者たちだ。

攻撃の演出とかは物足りないなと思っていて……
というか、やはり、これは言及せざるを得ないのですが、
なにかと悪評高い、簡素な作りのアイアシアターが私もどうにも苦手で
舞台後方から照らすピンスポの照明とか映像が、客席の後頭部とか周辺部とかの余計な部分まで照らしてしまう作りだったり
座席がガタガタ動いたり音の響きが明らかに計算外のところで広がったり吸収される作りだったりに
もうなんの演目見ててもどーーーーーーーーーしても途中で気がそがれて、
物語世界に入り込めないというところがあるのですよ。
もったいないよなあ。安く見えるのよ。
NARUTOのときもグールの時も、そのように感じておりました。
ライブ会場としてはまあありなんでしょうけれども。(アルターボーイズはまあ許せた)


今回、セーラー5戦士が卒業ということで、
そこに向かって大きな矢印が出ているような終盤のまとめ方でした。
初見なので、まだそこまで思い入れは持てない私だけど、
血肉を持った5名の凄みみたいなものは非常に感じたので、
思い入れがあったらボロ泣きしていたことでしょう。

最後の最後に「ムーンライト伝説」歌って踊るので何にせよ自分のなかで50点ぐらい加算されます。
出演者のみんなが楽しく歌ってるのがすごい。やっぱりセーラームーンのメガヒットコンテンツ力を感じさせられる。
客層も国際色と年齢性別の広さがすごかった。
劇場だけ変えて、ぜひ長く壮大にこの世界を続けていってほしい。


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