スカーレット手帖

機嫌のいい観客

舞台『弱虫ペダル』インターハイ篇 The WINNER  -俳優のことを考えていますその3-

2015-03-24 | 観劇ライブ記
週末は二次元の水泳の虚構イベントを見に相撲の聖地に行っていました。
めっちゃ楽しかったです。
基本、文科系の大人しかいないのに、
全員水泳部の学生でプールサイドに立ってる気持ちになってるんだからもう。
想像力ってなんでもできるんだね。感動しました。
今後とも、自分が感じるおもしろさに敏感に生きたいなという
決心を新たにした次第でございます。
青春と仲間と男子のためには金払う。
趣味のためなら旦那も泣かす。

フィクションの世界におけるトライアスロンも佳境に入りつつ、
自転車をもう少し反芻いたします。
なんやかんやで千秋楽LVも行くことにしたので、
運命の3日目の最後まで、一緒に走りたいと思います。


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秋人くん(箱学新開)
いつもの通り声が良い、そして今回、黒子役での笑顔がいい。
鳴子を肩に乗せて台の上に返して会場に鳴子コールをあおるところ、
そして真波にボトル(新開特製回転式)を渡しての「笑顔ハケ」、
この2箇所が最高にキュートであった。
この2箇所だけ連続再生する動画を作って持ち歩きたいぐらいのキュートさである。

本役の新開という存在は、箱学の中においてはある意味緩衝材的なものである気がして、
人気があるのは知っていたけど、個人的には最初の頃は
他のキャラクターと比べて軽い感じがしていたのですよ。
ふわふわして、本気で走ると面白い鬼の人 程度の認識でした。
(最初の箱学篇があまりピンときていなかった)
でも、魅力を理解できるきっかけになったのはやっぱり秋人くんだなあと思います。
どうにもわかりづらかったライトな人物像が、
仲間を思うやさしさと狂気の走りの共存する人として
秋人くんに実体として演じられることにより線で結ばれて、
自分の中で、ハラオチしました。
生きてる新開さんが、最後にヒメヒメ楽しそうに踊っていて、うれしかった。


北村くん(箱学東堂)
最近の若手俳優で昇竜の勢いというのが北村くんとあと松田凌くんだなあ
と思いながら見ている。
この人の「掴んでる加減」はすごい。
あんなに不安そうだったのに、東堂3度目にして、完全になりきっている。
北村くん本人の好きで得意な分野と、世の需要が完全に合致したところに
東堂がある気がしていて、すごい効率の良い伝達になっている気がする。
キャスティングの妙というやつかもしれない。若さもあるし。
誰が一番モッとるかと言われればそれは北村諒、と言いたくなる具合である。
「はばたけよ、真波!」→ 私( ; ; )
ゴール後の真波を抱き抱える→ 私( ; ; )
カーテンコールで巻ちゃんとハイタッチ → 私( ; ; )萌


かわはらだ(箱学アブ泉田)
苗字を呼び捨てしたくなるたーくん。いや、かわはらだ。
なんか私、IH篇、シリーズを通してこの人が一番楽しんでいるんじゃないか、と
思っているんですよ。
相変わらず、楽しそうでした。
アブの退場シーン、「討ち死に」感がもっとも高かった気がして、
そのちょっと笑ってしまうのだが、
とにかく真面目な泉田をものすごい熱くやっているので、最終的に泣いてしまう。
なんの臆面もなくSNSで缶ビール飲んでるのがいいよね。


秋元くん(箱学黒田)
いろんなものをつなぐタスキのような役目、黒田。
前作からの参加ですが、
出てない総北側のT2的なものの大切さもしっかりと見せてくれて
すっかり馴染んでいた。
早替えお疲れ様でした。
公演中に20才を迎えたヤングマン。
次作あったらば必ず出るでしょうから、千秋楽もしっかりみておきたい。

桝井くん(京伏水田)
自分のものにしたよな。
この人、ほんとに「小物役」はまるなあ。
テニミュの6代目青学の堀尾役もはまっていたますいくん。
芸達者なんですよね。もはや水田のマスコット的なポジションも獲得し、
安心して見てられます。
楽しそうに蛇に呑まれていました。

松村くん(京伏石垣)
彼も最終日に初参加でしたね。
役目は、お前には未来がある、というセリフをいかに言うか
ということだと思う。
てか、すごいビジュアルが石垣じゃなァイ!?!?
ちょっと、2回じゃあまり彼の魅力に到達できなかったんで
LVに懸けております。週末まで、がまんや。


英治さん(箱学福富)
あらためて、金城ー福富のバランスが決まったことで、
インターハイ篇が輝いたような気がしている。
御堂筋も加えたトライアングルが綺麗にできたことで
重みのある強さが感じられるようになった。
ということでこの人も福富そのものでした。
この苦しい3日目、フランクの出番はあまりなかったけど
びっくりしたのが熊本の田浦役でございました。
芸の幅!
これが芸の幅だよ!!(フランクも含めて)
気づかない人もいるのではないかとすら、思いました。
脚の長い変態なだけではない。
3日目ではないですが、「俺は強い」を苦しそうな顔でいう福富さんが
私の中で滝川福富の真骨頂でございます。
葛藤を乗り越えてのチーム編成の苦労がにじみ出るようです。
いい主将です。


そして最後はこの人しかいない。
みつむらたさん(京伏御堂筋)
充さんが登板しなければインターハイ篇はまったく成り立たなかっただろう
と思うくらいに、演者の中でもっとも替えのきかない人。
からんでくるけど馴れ合わないけど子供っぽくも大人でもある、???という感じの
本人の変わったキャラクターや振る舞いも含めて、
私たちが大事に愛で畏れてきた「御堂筋のインターハイ」を走りきってくれていた。

足がちぎれるところの迫真がたまらない。
倒れるとき、あの体型が御堂筋そのものなんですよ。
それはものの見事に御堂筋でした。
充さん、おそらく御堂筋自身も気づいていない(作者も気づいていない)
御堂筋を表現したのではないか。という気がする。
役の理解とか、なりきりとかいうレベルではなく、
もはや「ご本人としての振る舞いの提案」という感じがする。
そのため、VS今泉という因縁の対決も、
漫画のファンタジーではなく、
<ありえる形の>生身の男の闘いにまで練り上げていたような気がする。
落ちたあと、「そのままでは勝たれへん、坂道」
という言葉をスパイスのように効かせながら
最後まで徹底的に、異様すぎる存在感をらんらんと光らせながら退場していった。
弱虫ペダルは物語自体がよくできているとは思うけど、
舞台の次作があるとして、そしてもしも彼が続投できないとして、
<御堂筋>に乗り込んで、このレベルまで体現できる人は他にいるのだろうか。
脳内キャスティング会議をひとり繰り広げている次第である。
ほんとうに、すばらしかった。
---


というところで全員でしょうか、、、
過去作品も含めて、西田シャトナーさんのツイートで
私が去年まで働いていた会社の近所のカフェで創作に格闘している様子とかもずっと見ていたので、
(ツイート見てテンションが盛り上がり過ぎて矢場珈琲まで走りそうになったこと多数
 ↑実行はしてませんけども)
勝手にすごい仲間意識で参加しておりました。
こういう仲間意識を持った人が何万人レベルでいると思うと、めちゃくちゃ楽しいね。

演劇すばらしい。弱虫ペダルすばらしいね。勇気付けられました。
みんなが言うけど、奇跡のバランスで繰り広げられたインターハイだったと思う。
本当に立ち会えて光栄でした。ありがとうございました。
今後も、何かあったら足を運ぶぞ。金を払うぞ。そして金を払うために稼いで生きるぞ。
だってそう、それこそが私のハイケイデンスなのだから。

舞台『弱虫ペダル』インターハイ篇 The WINNER  -俳優のことを考えていますその2-

2015-03-20 | 観劇ライブ記
こちらのつづきです。
涙と汗の向こうにわたくしも人生切り開きたいなあ。オイ。


友常くん(総北田所)
この「最後の最後でキャスト変更」という山場をどう乗り切るか、ともつねのゆーき
と、思っておりました。入っていくほうもプレッシャーだっただろうね。
初回見に行った時は ペダリングで他の人とくらべて腰が伸びてるというか
前傾具合が全然足らないんじゃないか 足が内股すぎるのではないか
(他の人たちがこの特殊なフォームをマスターしすぎという説もあるが)
あと集団で走るときに遠慮しすぎじゃないか 新入り感満載ね という感想すら抱いたのですが、
翌週行ってびっくりしました。
明らかに前傾が強くなってる。
そして、腹から声が出ているではないか。「田所のおっさん」になってきている。
この人は千秋楽までにもっとできるようになると思いますよ。
最後の直線勝負を終えて散っていくところは素直に私も泣いた。
でもまだよくなるはずなんだよ。
見た目は田所さんで違和感がない。体格って武器だよな。
それにしても、2回しか見てないけど
ほんとに、こういう「ぐんぐん」「めきめき」としか表現のしようのない
変化しっぷりを見られるのが観劇の醍醐味ではないか。
しかしこれでも大山くんの方が年下なんだから、びびる。


直也さん(総北金城)
3日目は全員主役と言っても過言ではないけど、
やっぱり金城の日なんだと思う。
素晴らしかった。
1年生に望みを託して檄をとばしたあとに歌いだす
「追ってきた背中を越えてゆけ」というフレーズで涙腺が大決壊いたした次第だ。
だれかバスタオル持ってきてくれ 涙を拭う布が足りない という感じであった。
(この曲、金城→荒北 の流れで歌うからなんかもうそれはそれは、熱いの。)
この人は、あんなにふざけたアンディをやり続けているのに
金城なんだと言われたらそうにしか見えてこないところがものすごい怖い。
私たちは調教されているのかもしれない。
ちなみに私、この、途中で脱落もしくは後退していった人たちが
想いを込めて1曲歌った後に
富士の頂上ゴールを説明するところの一連のシーンが今回の舞台のなかで一番好きかもしれない。
緊張からの歌からの緩和 ってかんじですごく《ペダステ的》な流れなの。
そしてヨウコは今回もちゃんと登場していた。
今泉くんにおこられるやりたがり、ヨウコ。かわいい。


ちゃんとも(総北巻島)
視界の端に緑色の髪が揺れているとうれしい私はもうある意味東堂である。
「こんな状況めったにねえ! この状況を楽しめ!」
「いけ坂道 俺たちのエースを守れ」
という重要な二つのワードを発するお仕事を難なく巻島としてこなされておりました。
ていうか巻ちゃんていいセリフ多いよね。
総北を認識する色彩として、黄色、赤、ちょびっと緑
これがないとしっくりきませんね。
今回の動きは一段と巻島っぽい、というよりは蜘蛛っぽかったから、
もう巻ちゃん本人なのかもしれないね。
どうでもいいこととしては、片方の口角があがりっぱなしなので、
顎がまがるんじゃないかと思って若干心配になるところでございます。

最後の「Over the Sweat and Tears」で前列で歌い踊るちゃんとも。
かわいい。
あと、アンコールだかダブルコールだかで北村くんとすれちがうところで
ちゃんとハイタッチするという、この舞台版東巻(巻東でもいいけど)の出来上がっている感。
楽しんでいますね。
そしてこんなタイミングでなんだけど、ブログのヘッダー写真変更したよね。
(トリックスターエイジのやつに)
やっぱりちゃんともには金を巻き上げられてもいい、という気持ちがすごく出てくる。
好きにも種類がいろいろあるけど、金を巻き上げられたいという好きのメカニズムを
だれか教えてほしい。


山本くん(呉南待宮)
さあさああマチミヤの話をするぞ。
山本くん、ペダステにおけるシンデレラボーイ というか
ある意味丁稚奉公上がりというかわらしべ長者というか。
ここでの登板はまさに「キターーーーーーー」という感じでしたね。
待宮、ほんとはもっと存在感がっつり、三日目の強敵のはずなのだが
尺の関係上、どうしてもだいたい3分の1ぐらいなんだよね。
しかし「待宮きた…!?」となる独特の待宮テーマソングが与えられたり、
なにより登場シーンでの本人の渾身の「モッとるねえマイム」の異様さで、
異分子として描かれているのがよいと思った。
それだけに、荒北との勝負が一瞬で終わってしまったのはもったいないなあと思った。
1日目のアブvs総北スプリンターズのシーンもそうだったけど、
「異様な敵役」としてあくまで脇として去っていった という印象がやや残ってしまった。
尺の関係で仕方ないんだろうけど。

しかしなんといっても「巨大な蛇」ですよ。
ここな~~~~~~~~
すごいよな~~~~~~~~~
私、初めて行った時、ヘルメットの大群と蛇の目が光るのだけで驚愕してしまって
待宮が脚で「舌」をやっているのに気づかなかった。2回目にちゃんと確認しました。
短い時間で客の頭にへたすれば一生印象付く、またすごいシーンができたなと思いました。
これ、やってみたい。このシーン。
呉南が散っていったあとは、「声のでかいモブの人」の役をがっちりやってたよ。


松本くん(呉南井尾谷)
ブロマイド全員分を買った観劇後の私が
「えっ、井尾谷ないやん!?なんで!!?」と
自然につぶやいてしまう。そんな存在感でした。(※井尾谷もともとありません)
ちょっとイビタニがすごくいい。
イビタニ、声がいい。ひびく。
イビタニの女房感がすごい。待宮を引き立てまくる。しかしそんなお前が輝いていたよ。
イビタニのブロマイドだしてくれ。
イビタニイケメン。


南くん一瀬くん馬庭くん瀬戸くん(パズルライダー)
この流れでペダル名物パズルライダーのみなさんです。
今回、この人たちはこれまでと違って、ある意味完全に「二役」で、
呉のメンバーを4人で演じた上でさまざまなパーツもやっていた。
呉のメンバーとしてのスポットライトも浴びていたし、
なにより髪型(髪色)とかちゃんと呉用に揃えている。
前は京都伏見とかもやってたけど、あれはどちらかというとほんとに「パーツ」だったから、
今回はほんとに役ついたね、という感じ。
呉メンバーのまま台座を動かしたりサッと裾はけして着替えてきて黒子やったり、
ちょっとこのへんの流れがすごいおもしろいんだよ!!
その合間のセット移動はキャストがやってたりして、
演出の仕掛け(蛇からの流れを含めて)という意味では、
この前半の呉関係での動線が舞台としてめちゃおもしろいと思います。
また、パズルライダーのお仕事としては、華麗なる坂移動のほかに
南・一瀬あたりの「ニカッ」という顔がライブビューイングやDVDで
楽しめるのでしょう。



ハアハア、おわらない。
以下、さらにつづく。

舞台『弱虫ペダル』インターハイ篇 The WINNER  -俳優のことを考えています-

2015-03-19 | 観劇ライブ記
ペダステ3日目、感想、役者篇です。
役者もいっぱいいるから、まとめて書ききれないよ。
とりあえず思いついた人から書いていくよ。

3/7に引き続き、先週末(3/14)も見に行ってしまったんですよ。
すばらしかった。
どんどん進化している、というか熱量が増加してきているし
なんだか歯車が噛み合ってきている気がする。
言いたいことがあふれてくるなあ。

ペダステはここにきて、「2.5次元舞台」の勢いを表す旗印として
プロモーション活動も盛んに仕掛けられてるけれど、
世間的な認知向上施策とはうらはらに、
現場は泣いても笑ってももういったん、終わってしまう。あと半月もしないうちに。
ここからストーリーが続くとしても、繰り返すとしても
今回がひとつ区切りとなるところ。
次回があるとしても、おそらく演者は変わるはずだ。(代わりになれそうにない人もいるけど)

先のことはともかく
いまのこの布陣には、2年間見てきたから ということも含めて
個人的にものすごい最強感を感じている。
西田シャトナーの指揮のもと、0から試行錯誤で練り上げてきた
「ペダステの〈最初の〉インハイ編」(となるのか、これで終わるのかわからないけど)
ある意味、伝説となっていくのだろうと思う。

奇跡的タイミングで1~3日を並走できたことは改めてありがたい。
ペダル(私の場合、舞台からはじまって原作→アニメ)の人生への影響、はかりしれない。
でも、知人の縁がなければ、私はこの渦に参加できていなかったので。
出会いは大切にしないとな。
日々の生活や仕事もしっかりやっていこうと思うよ…

という感慨も根底にふくみつつ、いくぜ!
勝手に思い入れを含んで役者別感想!!

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植田くん(箱学真波)
今回の主役ですね。
彼の場合は、むしろまずインハイ1日目が始まったところから
遠からず自分が最大の敵として物語を彩ることは決まっており、
それまでのモチベーションをどのように高めていったのか、ということが
すごく気になる。
むしろ、ここまでの2日間+箱学篇では、彼は真波というよりは
「優秀なモブ」としての役割を着々と果たしてきた。
(奈良の大粒、委員長、つぶやき、寮長、マザー 他多数)
野獣覚醒編のDVDイベントに行った時に、
「植ちゃんは荒北の早替えシーンのトラブルを絶妙な間のアドリブトークで救った」
という話があったのだけど、
そんな感じで支えながら(すごい長い「筋トレ」をしながら)雌伏していたのだと思う。

植ちゃん真波は、割と一番オス(雄)だった。
見ているほうとしても山で豹変する真波を重ねているので
これが2.5次元名物「もはやどちらが本人かキャラかわからない現象」なのかもしれないけど、
個人的には植田くんのこの『オス感』は、戦国鍋の「ももいろゴタイロー」の時から漂っていて、
すいかに塩かけたら感じなかった甘みが際立つみたいなもんで、
隠れている本質っぽいものをふと見出す感じに似ている。
かわいい笑顔の裏側に潜む大阪のオッサン。そしてオス。
あるいは新喜劇の未知やすえみたいなものかもしれない。
ああ、どんどん未知やすえに思えてきた。

羽根が散るシーンは歌舞伎みたいでしたね。
ものすごいスピードで走っているはずの真波が覚醒したときに舞い上がって
ふわっとゆっくり舞い落ちていく羽根のスピードが残像みたいでかっこよかった。
舞台ってなんでもできるんだなあと思いました。
ゴールしたあとに坂道の後ろのほうで倒れこんでいるんですよ。
光が当たっていないけど、支えている箱学の先輩たちもいる。
そして、見に行った回では「涙がたくさん出たのでおさまるまで景色見てました」
の笑顔のセリフを言いながらほんとに頬に涙が光ってました。
泣いたよ。


村井くん(総北小野田)
もはや何かを言うでもない人。
仙人のようだった。

いつものように、
必死こいて汗を流して足を床に擦り付けて回しまくりながら最後の山も登っているんだけど、
村井くんを見ていると、
そんな「山を登っている」という目の前のアクションを何か、超越している気がする。
いまそこにいるんだけど、すごく遠くにいる人。
なんでもやるし、なんでもできる人。
抜群の安定感が仙人レベルになってしまった。
ネットの流行りことばのようであんまり言いたくないけれど「尊い」というか自然な心の支え、
応援していることももはや声高に言うまでもなく、
起床、朝食、出勤、村井の方角に向かって思いを馳せる、
ふるさとは遠くにありて想うもの、
みたいななんかそんな感じですね。
ん、9月は有楽町を想えばいいのね、そんな感じですね。
(RENT主演の件はこれだけで2時間ほど語れるけどちょっと脇おいときますね)

村井くん、(誰も否定しないと思うけど)間違いなく屋台骨である。
1日目の100人抜きシーンは肉体の限界に挑み、
インハイ篇の「ガチの走り(緊張)と、意外性のありすぎる笑い(弛緩)」という
ペダステのおもしろさのコアを自らガツンと示して方向付けたと思うんだけど、(弛緩部分はチームワークでもあるけど)
そのあとは、次々「ガチ」の見せ場がやってくる仲間を見守ってきているような気がする。
今回3日目でももちろん見せ場があるんだけど、自分のためというかは
真波のギアが重たい登り方の対比となるようにケイデンスを上げているようにも見えた。
1回目見に行ったときは小野田坂道くんの誕生日、2回目は原作者渡辺先生の観覧回だったのですが、
村井くん挨拶からは、どちらも熱を通りこしてしみじみとした原作愛を感じました。
「こんなこと千秋楽以外で言うのもなんですが、このカンパニーはほんとうに最高です」と言った力強さ。
泣いた。
「グレートグランドマザー・村井」的なものかもしれない
と思ったりするきょうこの頃でございます。


太田のもっくん(総北今泉)
人間くさい。
どうした、太田。とても人間くさい。
個人的に、彼の魅力は「目元のしわから自然に薫る育ちの良さ」
というところに感じていて、
なんか個性派イケメンていうよりは正統派ハンサムだから、ともすると
「キレイな、無難な人」になってまとまってしまう感じもあったと思うが、
今泉をやり始めてから明らかに勢いがあるのではないか。
今泉を自分にかなりシンクロさせて見ているのは知っている。
初演から小野田と鳴子と一緒にやってきて、
千秋楽で「今泉をやれるのは僕しかいません」と宣言したり(DVDにて把握)
歴史があったよなあ。
今回、今泉というよりは見ているうちに単にどんどんと太田になってきている感じがあって、
もう太田!
がんばれ太田!!
太田てっぺんとれ!!!
と思いながら見ていました。ストーリー知ってるのに。
(太田よばわりすみません。もっくん というよりは太田!というモードでした)
先週2回目に見たときはセリフの熱量がさらに上がっていて、
御堂筋と福富を挑発していた。かっこよかった。ええ声だった。
坂道を押し出すシーン、すごいいいのよ。
私のブログを好き好んでみる人なんかだったら全員泣くシーンだと思うけどさ。

今泉を経たことによるのかもしれないけれど、今の彼の
「上品さとハングリー感のマリアージュ」はすばらしい。
この人が必死になっているところがみたい。もっと吐露してほしい。えぐってみてほしい。
(若干「癖」の話になってきたので「この人のこと」で書いた方がいいかもしれない。)
SNS使いが巧みになってきているので、今後も追いかけていきたい。
彼らの意図している範囲内で踊らされる準備は、こちとら十分にできているんだぜ。


鳥越くん(総北鳴子)
鳥越裕貴という子を知ったのは個人的にはこの弱虫ペダルが最初だった。
彼はたった2人のシリーズフル出演者でもある。
舞台弱虫ペダルが単なる「イケメン舞台」ではなく「熱血芝居」なのであるという雰囲気は
この人が持ってきているのかもしれないなと思う。
鳴子というより鳥越裕貴が持ってきている。
笑いと熱さを標準搭載したやる気元気男子、という感じがする。
他の出演者にもがんがんアタックしていったり情報収集・発信したりする
この人のもっている「貪欲」が巻き起こしている渦 というものは
ペダステの空気の中に絶対的な強さで存在している と思う。

シリアスな場面が多い今回、デーハードヤドヤクライムの鳴子劇場が
劇中唯一、客席が笑いながら参加できる場面になっていて、
やっぱりこういう要の人だ という実感があった。
みんな応援するといいよ!
楽しんで!
燃え尽きてたおれるところがかっこよかった。


拡樹くん(箱学荒北)
もう一人のシリーズフル出演者、鈴木拡樹くん。
鳥ちゃんが「熱血芝居」の担保者なら、拡樹くんは「2次元の具現化という夢」の担保者だと思う。
このどちらもが絶妙なバランスで維持されてきたことがペダステの奇跡の一つだと感じている。
これはどちらかが多いと、なんだかリアルすぎて男臭すぎることになっていたり、
また逆に、綺麗な人たちによるコスプレ的なものに終わっていたのではないかと思う。
ペダステの脚本と演出他の力がすごいことは前提としつつも、
テニミュのようにまだ見る方もやる方も「システム」になっていない座組の中で
〈この人がいるからこう感じる〉というところまでもっていける
確かな存在感があったんじゃないかな と絶賛の気持ちしか出てないけど言います。

野獣編のときから改めて感じていた演技力、迫力が増していてとてもよかった。
荒北の背景は前作で描かれているから、今回は前半の山場として散っていってましたが、
短い時間でも荒北の美学が凝縮されてた気がする。
他のチームメイトが前を向いているときに、
荒北だけ後方の黒田との目線を取り交わしてるのとかも、ぐっときた。

デビューの風魔の小次郎見てみたら、彼はどれだけ努力を積んできたのかよくわかる。
最近、続々と2.5次元切り口の特集雑誌が増えてきていて、
拡樹くんがまたこれにひとつひとつ丁寧に答えているんだけど、
2.5次元の綿密な再現を計算しながらも板の上ではひたすら真面目なのに
心を打たれる。
真面目な鈴木さんを見るだけでも、人生の肥やしになる。

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ていうか全然終わらないんで
以下つづく。

こんだけ言いたいことがあるのなら
アンケートを書けばいいんじゃないのか という向きもあるだろうが、
私舞台見に行ったあとにアンケートって出したことない。
だいたい、興奮しながら書くとあまりに支離滅裂だからである。
あと、冷静になってから書こうとするとすごい上から目線なんじゃないか
という自意識がじゃまをする。
自分の意見を言えればいいが、他の人がいいこと言ってるとなんか「そういう視点もあったのね」
的な感じで、まとめこんで解釈しちゃうね。
あと世間的に評判がいい舞台だといいように書いちゃうよね。
そんなわけでブログに書いている次第です。自分メモです。
ブログは、熱量と冷静の間を無調整で出して行っている感じがある。
それはそうだ。ちゃんと調整が効いて読み物になっているレベルなのだったら金もらいたい感じだ。
(とかいいながらこないだのテニミュ3rdプレビューについては
 両面で手書きした上に郵送してしまったけど。なんだこのやる気)

ちなみに俳優さんへの手紙もほぼ、書いたことない。
だってラブレターじゃないか。
ラブレターは・・・・・・ はずかしいよ。

舞台『弱虫ペダル』インターハイ篇 The WINNER  -終わりがはじまった-

2015-03-09 | 観劇ライブ記

それにしてもこの画像はすごすぎないか。
伝えようとしていることがあふれすぎではないか。


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チーム一丸、それしかない。
全員全力、それが舞台弱虫ペダルなんだな。
運命の3日目に行ってきた。
ようやく夏の終わりの始まりだ。

2時間半、ノンストップの公演中、私は涙を流しているか、
そうでなければ演出やセットや演技に感心してるかしかなくって、
自分にびっくりした。
息つく暇もないぐらいにストーリーは展開するけど、
そのひとつひとつが濃密である。
話の筋は一応結末まで知っているのに、今生きている男たちが
本当に走っているから、そちらの方が本当の物語に見えて、はらはらする。
ひとりひとりが一生懸命生きているため、汗をふりみだしているため、
見ているほうもまったく休む暇がない。
誇張ではなく、一瞬も休めない。
ストーリーがひとりのドラマを描いて、
次のキャラクターにフォーカスを当てるまでのすきまに
タオルで涙を拭くぐらいしかできないスピード感である。
とにかく1日目、2日目以上に話の渦に巻き込まれて、
レースに参加せざるを得なくなる。
舞台の上は、ものすごいエネルギーが発せられている磁場である。
冒頭暗転した直後から鳥肌と涙が噴出して、震えた。
思い出しただけでまたもや涙ぐむ。
演劇はすべて、生の同じ空間を共有することで
感動が増幅するエンターテインメントだけど、
舞台弱虫ペダルの「生でしか得られなさ」は
やはり尋常ではない と思った。

セットのことをふりかると、
前回、2日目はゴールポストみたいな2本の金属柱が
生かされた演出になっていたが、
今回は基本(?)に戻って、スロープと段になった。
そのかわり結構このパーツが取り外しがきく。積み木みたい。 みどころだと思います。
それにしても転換が多い、多い。
場面の数(というかセットの立ち位置移動)で数えたら
これまでの作品の倍ぐらいあるんじゃないかという気がした。体感値だけど。
それでもスムーズにきっちりこなす役者とパズルライダー。
この座組は本当に信じられないことをやっていると思う。
セットが回るのよ。人力でですよ。
裏方じゃなくて、全員表に出てるのにですよ。
出来すぎてて、ちょっと笑いました。

特に頂上ゴールに向かうクライマックス、
2人が登っていくスロープの両端を
両校のメンバーが支えている。いい顔して支えてるんだよ、これが。
ゴールを争うのは2人だけど、
やっぱりこれは「チームの物語」なんだと思わせる。
弱虫ペダルは漫画もアニメもものすごく熱いけど、
舞台は本当にみんながそこで肉体を動かして、話を進めている
という意味も含めて、もっとも「チーム」を感じる。
そのセットのスロープは一段とてっぺんが「高くみえた」。
(物理的にも高いかもしれない。いままでより。)

西田シャトナーはただの『天才』だな としか言いようがない
後続の大群の「蛇」の表現、
そして真波の「翼」の表現、
アイディアだけじゃなくて、役者の動きはもちろん、
光と風と温度と心情を表現している音楽と照明も
すべて ピシャーッ!と合ってるからこその感動なのだけど、
その非凡すぎる表現への感動をものともせずに、それは単に一つの道具 とばかりに
物語がまっすぐゴールに進んでいくのが 憎い。と思う。
舞台上での”われぼめ感”がない。
そんなことするぐらいなら進むしかないとみんな思っている感じがある。
そこがとてつもなく、かっこよすぎる。ついていきます。

そう、音楽がずるかったよなあ。
呉南の待宮のちょっと間抜けなテーマ音楽
途中でリタイアした者たちが歌う歌
(歌詞がすばらしい。金城が「お前たちは全員勇者」と歌うこの説得力。)
打率10割で泣かせにかかる「まだ見たことのない道を」
そして明るくやっぱり泣かせにかかる「over the sweat and tears」

ミュージカルではない弱虫ペダルでなぜ突然歌が入るのか、
ということについては私は正直、シリーズ初作をみたときは
ちょっとした違和感だった。BGMはともかく「突然歌う!?」と思ったりもした。
だけど、なんかわかった。
ことペダステにおいては、いくつかのテーマ曲をみんなで歌う、ということは
役者が必死でやって、観客が必死で観て、個人個人で得た物語を、
「まとめるとこういうことだった」としるし、
みんなの拠り所になる旗みたいなものなのではないかと思う。
単品だけで聴いてたらポップだったり、説教くさく見えたりするかもしれない。
だけど、話の中でこの歌が楔のように刺さっていることで、
世界観が完全に出来上がる気がする。


ペダステ。
本当に、どこまでが計算でどこまでが可能性だったのか
見るたびにわからなくなるからこわい。
だからめちゃくちゃおもしろい。
みんなで未知の空間に突っ込んで行っている気がする。すばらしいね。
この作品と時代に自分がシンクロ出来ていることに心から感謝 という感じです。

そして、感想の本丸、
役者のことについては……
これ、語り始めると止まらないよなあ。

ということでとりあえず、感想前篇でした。

モンティ・パイソンのスパマロット

2015-03-03 | 観劇ライブ記
モンティ・パイソンについてはよくは知らない。
「知ってるとかっこいい」ものである という認識はある。
いまの日本人で「それを知ってる人が醸し出すかっこよさ」の似たイメージでいうと、
フレッド・アステアみたいなかんじか。
チャップリンまではいかない。
ビートルズほどでもない。
個人的には、そんな感覚でございます。

youtubeでいくつか動画を見たことがある。
BSで復活ライブを見たことがある。
たぶん、日本でいうとドリフターズみたいなものだと思う。
(イギリスではお笑い界のビートルズと言われているそうだが)
全力バカ、だけどなんか良く出来てて、上品。
関西の笑いではない。東京の笑いに近い。かんじか?

そんなイギリスの伝説グループ、モンティ・パイソンの作品を
翻訳して日本に持ってきた「スパマロット」
「フル・モンティ」と同じく福田雄一脚本演出、でした。


感想は、、、、


内容がない!!

清々しいほどに、内容がなくていいなあ!!

だけど生オケ!
たのしいなあ!!
SPAMが提供!
かわいいなあ!!!(着ぐるみ)

内容はともかく、芸達者の出演者が
シーンごとに好き勝手をやっていくのを楽しむ世界である。
それを支える生バンド。(ということは、台本がきっちりあるんだけど)
それって超たのしいしかない。

内容がないから小ネタを拾っていくしかないのですが、
(困る人は避けてね、)




オマージュだらけでしたが、
覚えてる範囲で
・オペラ座の怪人
・レミゼラブル
・レディベス(ロビンアンドボーイズ笑った)
・アナと雪の女王(各所にて)

あと、日本のエンタメより
・壁ドン
・妖怪ウォッチ
・米倉涼子
・剛力ダンス
・EXILE
・ジブリ(というか池田成志ショー)

ご本人さんネタ
・黒執事
・アクセス(浅倉大介と逃~げた に笑った)
・こないだまで帝国劇場でヒロインやってたのよ
 (平野綾すごいがんばってた。顔芸だったし声も出てた)
・二次元の女の子の声ばっかやってるけど私三次元なのよ
・暇すぎて出番待ちの間にアニメ1~2本録音してきたわよ

他いろいろございましたね。
皆川、ムロ、池田、マギー、好き放題ですね。
「こんなかんじのミュージカルよくあるよね~~」
というフレーズをよく聞いた気がします。
ちなみに、女性ダンサーズのスタイルがみんなすごく良いところに
2階席から見ててもものすごい目がいきました。
衣装効果もあるのでしょうか? 露出が多くて筋肉綺麗だな・・・
と思っていたら、ワールドツアー用(?)衣装を買い取ったそうで、
(パンフレットより)この衣装だけでも見ごたえある。

いろいろと面白い演目なのだが、
ちょっと引いて振り返ってみると、
主演のユースケ・サンタマリアが「がんばらない人」である
というところがとてもいいんだと思う。
周りの出演者がとても濃いのだけど、それに反比例するかのように、
いや、むしろ消え入りそうなくらいに、なんとなく、いる。
とくに芸もなく、呆然と立っているでくのぼうのように見える。
実のところ別になんにもしてないわけではなく、
けっこう歌って踊ってしているし、そもそもこの人は「がんばらない」
という芸風なのであるが、
舞台上でもいい意味でそこはかとなく、印象に残らない。
おかずの濃い時の「白飯」的な雰囲気である。
達者すぎる脇のなかで、何ということもなく、いる。
でも、それがいいんだ。

私は昔から、ユースケが本気を出していると、ドキドキする。
アルジャーノンに花束をで、交渉人真下正義で、
ユースケが真面目にやって演技がうまくて心を動かされた時、
なんだかモゾモゾした。

夕陽のドラゴンでトータス松本といっしょに適当なことを言っている兄さん、
それがユースケ・サンタマリアのイメージなのだ。
ビンゴボンゴで板チョコモナカのCMに出て、
ニヤニヤ笑いながらマラカスを振っていた姿がユースケなのだ。
と、こう思っているので、
とくに何をするでもなく、がんばりすぎてないユースケを見ると
安心するのだ。

植木等、所ジョージ、高田純次 と同じ方向性の人だと思うので
がんばらない、がんばれない人でいてほしい。
よしんば実際はがんばりがあったとしても、
無理やりにでもヘラヘラしていてほしい。

そんな理想のユースケに今回は会えて、私は嬉しかった。
じゃっかんがんばりが見えるところもあったので、
よりがんばらない方向にいってみてほしい。

そして今回の観劇ふりかえりにより、自分が思った以上に
ユースケ・サンタマリア像に固執していることがわかったので
私はいま自分がおそろしい。
もっと松下優也の話とかすると思ってたのに。
(松下優也は終始かっこいい~~~そしてイケボでした。
 カツラ似合うな~~~~ )
ああ、自分ってのは、わからないもんだ。

いつも心に太陽を

2015-03-02 | 観劇ライブ記
観劇って楽しいなあ。と、改めて思いました。
2/27 つかこうへいtriple impactの3本目「いつも心に太陽を」を見てきました。




この企画、ほんとは全部見に行きたかった~~~
年始に幕末純情伝見てからつかこうへいがあらためて気になりはじめ、
京浜東北線で蒲田駅の前を通過するたびに
「に~じのみやこひ~かりのみなとキ~ネ~マ~のてんチャンチャラチャラチャラチャン」
の音楽を聞いて、募り続けるつかへの気持ちを持て余していた最中の3作上演でございました。
いろいろあったが、金夜に無理やり、新宿に向かいました。

紀伊国屋ホールってなにこれすごい。風情ありますね。
入り口見ただけで高まりました。
座席も広さもちょうどいいじゃない。
いい劇場だと思いました。


蓋をあけてみたらまあ、意外なほどに主演のふたり、柳下大と高橋龍輝に心を掴まれた。
すごくよかった。
いままで「テニミュOBの、D-BOYSの人たち」としか思ってなくてごめんなさい。
(まあ、テニミュOBという演劇界に散らばる星座の上をたどりながら、
 観劇経験を積み重ねているわけなのだが。テニミュサイコーセイヤー)

高校国体の水泳強化選手として出会い(実は昔同級生だった過去もあるのだが)、
お互いの存在を無二のものとして、夢を追いかける男と支える男として愛し合い同棲していた若者たちが
夢破れ貧乏になり互いに八つ当たりするしかなくて愛を持て余して、
みたいな辛気臭い話なのだが、とてもよかった。
「和歌山国体」って語感がいいよな。

柳下くんの肉体がとても美しい。上腕の筋肉美しい。
龍輝くんのなんかがっしりしてんのに不安定な雰囲気がすごい気になる。
後半はほとんどこの2人のガチ痴話ゲンカからのわかればなし、という悲しくも熱いシーンなのだが、
つか作品の異常な量のセリフを喋りながらも、
なにか体がシンクロしているように見えるのだ。
でもものすごい技巧や頭で考えてシンクロさせているというよりは、
がっぷり取り組んでいって、肉体を駆使している感じがある。
もしかすると体の使い方がうまいのかもしれない。だから、声の使い方もうまいのかも?
いや、使い方というか、鍛え方というか。
体を鍛錬して詰め込み方を鍛錬して、それで入れたセリフ という感じもあるんだけど、
それをそのままジャバーッと出す、というんでなくて
出てくるときにその人のかけらがしぶとくからみついている感じ。
感動があるな、と思った。
肉体を使った人間の芸術だな、
これぞ演劇の感動だな、と思いました。

つかこうへい作品は、なんだか歌舞伎とか伝統芸能みたいなものかもしれない。
一にも二にも「型」な歌舞伎みたいに、
ものすごい足かせとしての「セリフ」がある。
(あれ、なんか独特な演出なんですよね? 台本ないんでしたっけ。)
それをひとまず全部こなさねばならず、追い立てられるようにやりきらねばならない。
やりながら、すごい圧を跳ね返しながら、そこに何を付与できるか、という感じ。

まだ1月の新幕末純情伝しかつか作品見たことないんだけど、
正直けっこうこのときの出演者たちは、まだ詰め込んで即出し、という感じの人が
多かった気がしていて、それも若さの味わい、とも言えるけど、ちょっと物足りない感じもあった。
新撰組っていう役の設定にいろいろ助けられてたよね。

そういう視点では、
武田義晴氏がさすがだった。初めて見たけど、地味なのにすごい。(えらそう)
つか作品にたくさん出ているそうで、「つか語」をいっぱいその体を通して話してきたんでしょうなあ、
という安定感と、セリフの聞かせ方のうまさに惚れ惚れでございました。
異常にいっぱい喋ってるけど抑揚があるんだよなあ。
ホモとかオカマが完全に「道化」だった時代の悲しくもやさしく強いオカマ先生でした。
「若さにはね、みんなかまけるわよ。私もかまけたわ・・・」
というところがよかったです。

そう、今回の「いつも心に」も街宣車のナレーションみたいにがなりあげる
「70年代っぽい」空気を作ってはいたけれど、
今ではもうリアルで感じられない昭和後期の「ホモ」の苦悩の話。
(わからん、個人では今でも悩んでいる人はいると思うけど、
 空気としてどう考えても『許容』『真面目な討議の議題にしてよい』からなあ。
 ついさっきもたけしのTVタックルで同性婚の話やってたし)
今見ても普通に素敵な一組のカップルの愛と別れの話だけど、
当時見てる方としては革命的に胸を締め付けられる、
ものすごいラブストーリーだったのではないかなあ と思いました。

そんなことを思いながら見ていたので
最後の最後にセカイノオワリの
「ドラゴンナイト」が流れた時には、私はすごく納得した。
これは革命でありファンタジーでありドリームであり、流行であり、
いやいや、それを圧倒的に上回る「俗」なんだと。
そういうこの作品なんだという宣言に見えまして。
俗の極み、それをまっすぐにやっていて、それで見ているほうも
自分の心の中をほじくられたような気になるのだ。

うおおおおおおお





おもしろかった。


美しく、下品で、うるさくて、おもしろくて、悲しくて、
すばらしく満足しました。