スカーレット手帖

機嫌のいい観客

20代よ、さらば

2014-07-31 | わたくし
8月1日で30才になります。
Free!の渚くんと13才違いだということが判明して、いろんな意味で「遠くまで来たなぁ」と思っている次第です。
このように、二次元の人に思いを馳せることができるようになったのはここ1年ぐらいの成長です。
(ちなみに、三次元でいうと渡辺謙の長男とは生年月日が全部一緒らしい(びみょうだ))

子供のころは30才と言えば、まごうことなき「おばさん」だと思ってた。
友達のお母さんでも30才過ぎてから生んでる人は「すごいおばさん」だと思って、仕分けしていたと思います。
でも今や完全に仕分けられている。昔の自分に。
まだ自分の操縦するだけで精一杯で、ぜんぜん繁殖できてない。

まあ、生きてみたら30才なんて別に特筆するほどおばさんじゃないなと思うし、
むしろこれからいくらでも成長するし、別に額に「30才」のシールが貼ってあるわけでもないので、
単に20才から10年経ちましたよアラートということだなと思います。
このアラートにどう意味付けるかは自分次第なんだけど、やたら意味付けしたがるのは20代の自分によくあることだったので、
もう30才になるのを機に、むやみに意味付けするのやめよう。
もう、やめよう。ありのままやねん。

この10年はいろいろあったけど、なんだかんだでますます生きるのが愉快になってきたし、
いまんとこ人生面白いな、絶好調だなというのが総論であり、かつ細部の嫌なことはすぐ忘却の彼方に投げ捨てられる筋肉も付き、
なんか自分、いい具合に脱力してきたような気がする。
いい感じです。

ここから先はどうなるか、まあわからないけど、それもまた一興だ。
人生、死ぬまでの暇つぶしだ。
とにかく自分の気持ちと衝動を大事に、出来るだけ愉快に機嫌良く生きていきたいと思います。

20才になった時は、ちょうど「冬のソナタ」の再放送かなんかを見ながらひとりで誕生日を迎えた覚えがありますが、
今回もまた、Free!の録画なんかを見ながらひとりで年をとるのでしょう。
20代に残した悔いなし。どんとこい、30代。
というわけで、お先に失礼します。

ミュージカルテニスの王子様 全国大会 青学VS立海 感想2(頑張れ負けるな必ず勝て問題)

2014-07-29 | テニミュ
今回の新アンコール曲「頑張れ負けるな必ず勝て」について。
(曲名ってなんですか??)

歌詞を聞いた感じだとこんな流れ。

青学
きしむテニスシューズの音を憶えていてね
 弾んだテニスボールの ラリーを憶えておいてね

 試合が終わった後も人生は続いていくよ 
 できればこのままみんなで 励まし合い エール交換しつづけたいぜ
 頑張れ負けるな必ず勝て よっしゃそこだ突っ走れ
 頑張れ負けるな必ず勝て よっしゃそこだ突っ走れ」


立海
にじむ悔し涙のきらめき忘れないで
 決まった勝利のポーズ 瞳に焼き付けておいてね

 今後も俺たち全員 この日を忘れはしないよ
 みんなばらばらになるけど 離れててもエール交換し続けたいぜ
 頑張れ負けるな必ず勝て よっしゃそこだ突っ走れ
 頑張れ負けるな必ず勝て よっしゃそこだ突っ走れ」



歌詞だけで泣いてしまう。(歌詞違ってたらごめんね)
最終日に号泣することは明明白白だ。

というのは脇に置いておいて。
この曲を初めて聞いたときに思ったのは、まず「違和感」だ。
最初の呼びかけ「憶えていてね」「忘れないで」が、ものすごい違和感。
ちょっとやさしすぎる。
テニミュの曲で、これくらいやさしいやつってありますか?
少なくとも2ndシーズンでは私は思い当たらない気がする。
なぜ、この口調なのだろうか。試合が終わったからか?
いや、それだけではなくて、ここは「視点が違う」のだと思う。

2ndシーズンでは、これまで2曲のアンコール曲があった。

まずは、関東大会決勝まで使われた、Jumping up high touch。
私が初見のテニミュ六角戦で衝撃を受けた、キャストとハイタッチが交わせる「おさわり曲」でもある。
(というと語弊があるので、「ふれあい曲」ぐらいにしておきましょうか)
これは、意図がどういうものだったのかわからないけど、察するにテニミュをもう一度いちから始めるにあたり、
キャストの顔見世、距離を縮める みたいなのもあったのじゃないかなと思う。
(ハイタッチのときの公演2回しか知らないんで、誰か詳しい人は教えてください)
歌詞は、試合も終わったしみんなでハイタッチしようよ! というそのまんま系。

そして、全国大会に入ってからは、We are always together。
ハイタッチは廃止され、「セイヤー」というコールアンドレスポンスが追加された。
歌詞の内容は、「テニス最高」テニスがあればいつまでも俺たち(みんな=客席)は一緒、いつでも仲間というメッセージだった。
けっこうメッセージが濃くなったなと感じたものでした。


そして今回。
この曲、これまでのアンコール曲との完全なる違いは、「解散宣言」であるということ。
歌詞は、「今が終点、そしてここから先」について触れている。
「試合が終わった後も」「みんなばらばらになるけど」と、この時間が終わってしまうことを強調している。
それは全国大会が終わるということだけではなく、言うまでもなくテニミュ2ndシーズンの終焉だ。

そして、どこかで見てなるほどな、と思ったのが
「きしむテニスシューズの音」というのは、屋外のコートではまず起こらないことで、舞台上だから感じられることだということ。
確かに!
ということは、この冒頭の呼びかけも、キャラクターのアフタートークではなくて、
「テニミュキャストの立場からのメッセージ」という意味合いが存分に含まれているということだ。
その視点の違いが、違和感を呼んでいるような気がする。
(ちなみに青学、立海が歌い、そのあと四天宝寺とライバルズが歌うのだが、
 ここの歌詞はさほどそうしたメタなメッセージはなく状況説明的なものが多かった気がする。)
今回の公演、このようにすべてテニミュキャストからのメッセージと読み取れる曲が多くて、すっかり感傷的になるんです。

そんな中、面白いのが、
この冒頭に感じる違和感、聞くたびに感じ取ってしまうメタな立ち位置からのメッセージの感傷をすべて吹っ飛ばすように、
サビが単純明快で力強いことである。
「がんばれ」「まけるな」「かならず勝て」
ちょっと笑ってしまうぐらいそのまんまの歌詞だ。
ものすごく暑苦しいし、逃げようがない。
英語とかかっこいい言葉じゃなくて、ド直球。

けど、これ以上のメッセージもないと思う。
この直球勝負のところがテニミュの魅力の一つ。
男の子の綺麗なところだけを切り取って夢の世界に仕立てているようでいて、(まあ、仕立ててるんだけど)
実際にストーリーは汗臭いし戦ってるし、しかもその最終目的は「部活日本一を決定する」というやつだ。
異世界の魔物を倒すわけではない。世界の終末を救うわけではない。まして正義の味方ではない。
テニスで勝ちたい。うちのチームが戦って勝ちたい。それだけである。
めっちゃストレートだよな。
そりゃあ、「がんばれ」「まけるな」そして「かならず勝て」になるよなぁ。

そしてこの濃いメッセージ、直球すぎるがゆえに、観客にものすごい刺さってくる。
私はちょうど仕事がめんどくさいことになったタイミングで初日を迎えたこともあったので、
このメッセージが刺さりすぎて涙が止まらなかった。

最近って、あまり頑張れって言ったりしないじゃないですか。
でも頑張らないと何も進まないんですよ。
だから頑張れ。
そうだよな。頑張るよ。
大人になって「頑張る」って言うのって、「頑張る」が醸し出す無計画ながむしゃらさのニュアンスを考えてしまって
なかなか人にも言えないし、文字にも書きづらい。
もっと計画的にやれよ、というセルフツッコミを入れずに居られない。
でも、そういうぐちゃぐちゃした言い訳とか考えているのがそれこそ無駄だ。
明日には死ぬかもしれないんだ。
頑張ろう。


テニミュにはいろんなことを教えられるよな、という話でした。


ミュージカルテニスの王子様 全国大会 青学VS立海 感想1

2014-07-25 | テニミュ
いよいよ書いてしまおうかと思う。
だけど、まだ終わりは始まったばかりだ。
まだ結論付けることはできない。
できればずっとやっててほしい。終わらないでほしい。
だけど終わってしまうからこその輝きもあるよね。
私に出来るのは、可能な限りその、ロウソクの火が1本ずつ消えていくカウントダウンの現場に
立ち会うことぐらいだなあだと思っています。
いや、むしろ、選挙の当確者に花つけるみたいに、真っ白なボードを一個ずつ勝ち星で埋めていく
そんな幸せな現場なのかもしれないけど。

ということで、思考回路はショート寸前、今すぐ会いたいよ状態が止まらない、
テニミュ2nd最終公演「青学VS立海」が始まりました。

今回の公演、セカンドシリーズ最後の公演ということで、案の定壮絶なチケット購入合戦が繰り広げられました。
テニミュサポーターズクラブに入るも、全然取れないチケット。笑っちゃったぜ。
そんな中自力でなんとかもぎ取った13日(二日目)のチケットで立海デビューをキメるつもりでしたが、
ありがたや、ネットで広がるテニミュの輪………… 
初日のマチネ、ど初回の公演を見られることになりました。レッツテニミュケーション。

上演時間3時間40分という、グアムへのフライト時間と同等の驚異の長時間公演であることが発表され
騒然となっていた今回の公演。
でも、考えてみて。グアムへの移動中にずっとテニミュ見れてると思ってみて。
めちゃくちゃハッピーになれるよね。

で、わたしはここまでで、7/12マチネ、7/13マチネ、7/18ソワレ の3回観ました。
名古屋に住んでいるのに、1週間のうちに3日も東京ドームシティホールに行ってしまった。なせばなるものだ。

まず初日に立ち会えた喜びはなんというか、筆舌に尽くしがたいものがあった。
場所は2バル右手。ハンカチを握りしめて観た。
初回感想としては、「完全に小越勇輝の物語だ」これに尽きた。
とにかく彼に「ありがとう 愛してくれて」と言われたら、もう私たちは袖を濡らすしかないのである。
天衣無縫の小越勇輝の笑顔しか覚えていない。

2回目に観て、だいぶ腑に落ちた。
場所はアリーナ、中央付近だった。
映像演出がそこそこあるので、中央から観るとかなり効果がよくわかる。
あと、南次郎役が森山さんだったので上手かった。3人観た中では、やっぱり彼がしっくりくる。役者だから。
上島先生は、なんだか周りの芝居に比べると言動がリアルすぎて、ちょっと冷たい父ちゃんに見えた。
新之助先生はほんとに「2ndシーズンの父」という感じがあるので、小越リョーマの実父みたいなイメージなんだけど、
とにかく本公演のもっとも重要なセリフとも言える『なあ、リョーマ。テニス、楽しいか?』を
緊張感と優しさをこめて発することができるのは森山父ではないだろうか、と思いました。わたしは。
初回と異なり、新曲を聞いても「あ、新曲だ」という違和感を感じずに全体として観れたので、
ストーリーとしてのまとまりが見えてきた。
S2のイリュージョン以降が異様に際立って見えた初回だったが、S3もD2もしっかり血の通った試合だということがわかってきた。
しかしこれだけは言いたい。
「それを見ている立海レギュラー」はSNSでのバズらせ用に作った歌詞だとしか思えないことを。

3回目は初めて3バルに入った。また右手。
全体構成を把握してからこの場所で観るのはなかなか面白かった。
フォーメーションが美しく組んであるな、ということ、キャストがよく走っているなということ、
テニミュ舞台の床のデザインの秀逸さを改めて確認したこと、などなど。
イリュージョンの入れ替えタイミングをずっと見つめていた。久保田くんはどんどん仁王になってくる。
そして今回、アンコールの「セイ!」にすべてを懸ける柳生くんのことを忘れない。
四天宝寺は自分たちで頑張って観覧席を移動させている。かわいい。
そして幸村。幸村、幸村だな。睥睨する神様。この試合をずっと見ていたい。

ファーストシーズンは2回に公演を分けたものだったのを今回は1本にまとめられたということで
この尺のこの演目、最初は不思議な感覚だったが、3日間観て、なじんできた。
だってさ、漫画世界の決勝戦だって1日の出来事なんですよ。短期間にミラクルを起こしているのですね。
越前を必死で覚醒させるのも時間勝負だから。
リョーマの「早くサーブを打ってよ 時間がないんだ」という歌詞も、記憶をなぞるだけでなく、時間と戦っているから。
「時代を変えちまえ!」(by目の据わった跡部様)もよかったですね。


しかし私はほんとうに、こんなものを観てしまって、これからどうしましょうか。
5800円でここまでのクオリティのものが見られる場所に生まれてきたことは本当に幸いである。

これから地方公演で立海戦を見る人もいっぱいいると思うけど、今回に限っては複数回見ることをお勧めしたい。
ただでさえチケット争奪が激しいので、今から買うのは大変だと思いますが、少なくともライブビューイングで見てほしい。

私、ほんとに、みんなにテニミュ見てもらいたいんです。
男の人にも見てほしい。部活してた人には特に見てほしいと思う。
多少なりとも高校野球応援できるマインドを持っている人は、誰でもそれなりに胸にくるものがある気がします。
ワールドカップ見て、甲子園見て、テニミュ観ようよ。
で、一緒に泣こう。笑いましょうよ。


思いついた事いちいち掘り起こして感想を書いていると
軽く土日がつぶれる気がするので、なんか散漫だが今回はこれで終わっておこう。私も生活があるので。
もっともっといろいろ感じた事はあるような気がするが、細かく分けようと思う。

そんなわけで、ちょっと他に書きたいことがあるので、じわっと続く。

ブラックメリーポピンズ -後味がブラックでした-

2014-07-23 | 観劇ライブ記


いまから2年前、宝塚に突然頻繁に通うようになってしまった(といっても結局数回で終わったけど)原因でもある、
個人的「推しスター」音月桂さんが、退団後初めて舞台、しかもミュージカルをやる、ということで、
これは1回は見なければイカン、と勇んでチケットを取った「ブラックメリーポピンズ」を見に行って来ました。
7/11 ソワレの回です。

この日のお昼に観た「ネバーランド」が、予想の遥か上を行くすごい作品だったので、
どうしてもその余韻を引きずりつつの観劇になってしまいました。
青山劇場から渋谷へ、渋谷から世田谷へと移動しながら、ネバーランドの世界観を振りきれず。
ただ、世田谷パブリックシアターも、1回来てみたかった劇場だったので、行くの楽しみにしていました。


今回の出演者は

 音月桂/小西遼生/良知真次/上山竜司/一路真輝

主要メンバー5名のみの、緊張感あふれる舞台でした。

とにかく全員、歌がうまかったです。
びっくりしました。
音月一路の雪組スター街道のお二人は言わずもがなですが。
(ちなみに、ネットをあさっていたら次回エリザに桂さん決定 という情報が…
 ホンマかい!! それは、ぜったい複数回観に行く……!)
やっとNOBUママや浜さん以外の、本業の小西くんも見ることができてよかった。
旋律難しいところも難なくこなすわ小顔でスタイルいいわで、舞台向きだなーと思いました。

今回、事前にまったくもって知らなかった人は上山くんだけかな。
で、いま調べたらRUN&GUNの人でした。もう卒業されるそうなのですが。
ふつうに「劇団四季の若手プリンシパル系か?」とか思っていた。なんか雰囲気がそんなかんじだったの…。うまかったの。

あと、良知くんといったら、個人的にはすごく、「ジャニーズの人」という印象だったんですが、
調べたら2001年で辞めてたのね。しかも、来歴がジャニーズ→劇団四季→東宝とな!
ちょっと、詳細よくわかんないんだけど、すごい執念とすごい才能なんだろうなというのが、なんとなくわかります。
話が横にそれてしまうけど、中学校ぐらいのときの私の同世代ジャニーズって、本当にジュニアが花盛りの
盛りだくさんの時期だったんですよ。(96年~2000年ぐらいの時期かな?)小原裕貴くんとかちょっと単体で別格だったし、
二宮くん、櫻井くん、風間くん、生田くん、関西の渋谷すばるくん、
そんな中に居るめずらしい苗字の良知くんはなんとなく知ってはいる、という感じだったけど、
あの黄金期のジャニーズジュニアの中にいたのかと思うと、かなり揉まれてるだろうと思うよね。
そんで今調べたらあれだ!「AUTRIBE」っていうユニットもやってるって、
コレ、アニメ弱虫ペダル第二期のエンディングの曲歌ってた人たちだ!!
しかもこのリーダーの植木さんてよく見かけるアクション指導の…… 
なんか、かっこいい系だけど若干おっさんくさい不思議な人たちが出ているなと思ったらば… 
あ、そうか、アニペダは制作に東宝が入っていたから…… ああ包囲網… 恐ろしい包囲網が……

ということで思わず記憶の淵をたどる流れになりましたが、本筋に戻ります。


お話は非常に見ている方がウツになる感じ。
観ていてとても疲れたというのが正直なところです。
「心理スリラー」という銘打ちで、ワンシチュエーション、部屋の中で話が進む。
一路さん以外の出演者が4人の養子、一路さんがその家庭教師ということで、
現在と過去(15年前)のシチュエーションが行ったり来たりしながら、
過去に起こった辛い記憶を呼び起こしていくのだが、最終的にほんとに救いがないんですよ。
かわいそうになっちゃう。
あと、終盤あきらかになっていく真実がとても辛いからなのか、子供時代を演じているシーンで
4人がやたら明るく子供っぽくふるまっているのだが、衣装は大人のままなので、
そこになんともいわれぬうすら寒さというか、恐怖を感じた。
うーん、あれも演出の計算だったのだろうか… だとしたらとても怖い。
それが良いのか悪いのか分からないけど、なんか怖かった。
ストーリーじたいはそんな込み入った話ではなかったので、先が読める展開だなと思って
若干退屈しつつ最後まで見たんだけど、やっぱりちょいちょい挟まれる回想が現在と
ほぼ場面転換せずに進んで行くことの違和感が、独特のイヤーな効果を生んでいたような気がする。(一応ほめてる)

全体的に音楽はすごく繊細だなと思って、よく録音なのにあんなにピッタリタイミング合わせられるなぁ、
練習しまくったのかしら… と思っていたら、実は生演奏だった(舞台の奥に居た)ことがカーテンコールの、
三方に張られたカーテンが外されたときにわかり、びっくりしました。ぜんぜん気付かなかった。もったいなくない?
これ以外にもなんというか、いろいろと贅沢な使い方をした舞台だなという感じがあって、
この5人の実力派をそろえれば、もっとなにかすごいイリュージョン的なものが生み出せたのではないのか? 
ということを感じてしまった観劇だった。ものすごい熱演だったし…
でもお話の内容的に、閉鎖された空間にいる抑圧された子供たちの話なので、あれでよかったのかな。

というか、なんか観終わった後は後味が悪い話だったせいか、
ネバーランドからのギャップがすごかったせいか、
(それともマチソワの間に自分の仕事のトラブルが発生したことによりイライラが頂点に達していたせいか… ←たぶんこれ)
ダメ!この舞台ハズレ!!! と思っていたんだけど、
いま振り返ったらそんなこともなかったような気がしてきた。
少なくともなぜパンフレットを買わずに帰ってきたのかということだ。毎回買ってるのに。
今から買い直しに行きたい。

でも、桂さんは個人的には「陽」の雰囲気が合うと思うので、
陽気な女性の役も見てみたいなあと思った次第です。
女役の違和感はほんとに、ぜんぜんなかったです。天海祐希路線、いけるんじゃないか!?

ネバーランド -今年イチ、出ました。-

2014-07-21 | 観劇ライブ記
いやあ、すっかり間が空いてしまいました。
この人のことシリーズは、まだまだ言いたい人がいろいろいるんだけど、
考えがまとまらないのでまたある程度書き溜めたら順次やっていきたいと思います。
とりあえず5人書いてみたんですが、どんどんどんどん長さが増えていってしまい、
自分の根本的な粘着性について思いを馳せる事山のごとし、という感じでした。
ふだんの人間関係はアッサリ気味ですが、1on1になるとどこまでもしつこい女、それが私です。ロックオン★

さて、先週から夏のテニミュが始まったのですが、
それに合わせてまたいくつか観劇してきたので、感想を書いておこうと思います。
テニミュ以外からいきます。


少年社中『ネバーランド』7/11のマチネに行ってきました。



いや、もうこれ、言い切っていいでしょう。
今年のナンバーワン作品です。(個人的に)
びっくりしました。
ていうか再演だったんだということをあとで知ったのですが、
さもありなんという感じでした。
これは・・・ ロングランにしてもいいんじゃないのか。(提案)
すごい。
この夜に別作品を見に行くんで、ついでと思って取ったチケットが
今年イチの感動体験に化けました。ああ、人生やってみなくちゃわからない。生きてる…!

なんというか、隅から隅まで演劇の面白さが全開でした。
いやほんとに、びっくりしました。
むずかしい話ではないんだけれど、ピーターパンを材料に取りながらも
けして子供だましではない、普遍的なテーマが組み込まれているし、そうでいながらアレンジが斬新だ。
演じる役者勢の熱もすごい。全員生き生きしている。
別に、泣けるお芝居=いいもの というわけでは必ずしもないと思うけど、
なんかこう胸に迫り続けるものがあり、終盤ハンカチが離せませんでした。
しかも、このお芝居はきっとこの円形劇場でやらないと魅力が活かしきれなかったでしょう。
そういう意味でも、なんだか希少な現場に行けたな という感じで、大満足でした。

ちょっとなんやかんやで10日ぐらい経ってしまったので
ディティールをいろいろ忘れているのはいつものことですが、思った部分だけどんどん書いていきます。


・なんといっても音楽と照明と衣装、あと花道で臨場感満載
 つい1ヶ月前にも円形劇場来てたんです。「赤鬼」で。
 そのときは、セット少なめ、役者の人数少なめ、
 SEも最低限、ライトもこだわって少なめ、というかんじの
 ミニマムな演出が緊張感あっておもしろかったんだけど、今回真逆でした。
 まず劇場に入ったら天井からいっぱいなんか装飾がつり下げてある。草花みたいなやつだったかな。
 そして、スタートと同時に劇場全体をつつむにぎやかな音楽と、明るい照明。
 会場入り口から舞台を貫くように花道が一本用意されていて、
 そこから現れる大勢の、色とりどりのかわいい衣装の出演者たち。
 びっくりした。最初のプロローグみたいなところで一気に持ってかれた。
 大勢の役者が勢いよく出てくるところって、振動がじかに客席にも伝わるんで
 ものすごいこの身体性を感じる劇場で、ほんといいですね。今回は人も多かったし、特によかったと思う。
 あと衣装がかわいいんです。目にもあざやか。カラフルだった。この視覚効果ぜったい大きい。
 後半話が辛くなってくるときにも、カラフルなおとぎばなしの衣装を付けた役者から発せられるセリフは、
 逆にこの夢の国をどうやってになっていく覚悟を持つのか、というところが際立つ気がして
 グッときたところです。
 ちなみに今回、ちょうどDVD撮影の日だったということでカメラが入り、
 私が本来座るはずだった席がカメラ席になるということで、座席の変更がありました。
 これ本来の席だったらめちゃ花道横だったわ! と思い、ちょっと残念だったかな。

・井俣太良さん
 主役の「ピーターパン」でした。劇団社中の看板役者とのこと。
 初見でしたが、とっても魅力的です。
 このネバーランドのピーターパンは情けない、なかなか煮え切らない、割り切れてない、そんな少年(の心を持ったまま大きくなってしまった…)
 なのですが、なんだかとっても愛らしい感じで演じられていたなぁと。
 ところで、この割り切れなくて、物語を引っ張っていっていなくて、どっちかというと自分の優柔不断で皆の足をひっぱってて…
 という主役、ちょうどいま放送している「仮面ライダー鎧武」の主役の佐野岳くん演じるカズラバコウタの人物像とオーバーラップしてくるなぁ…
 てなことを思いながら見ておりました。
 人間らしいっていうことかな。
 本当だったらヒーローなんですけどね。少年の心があれば… でもそれだけじゃダメなんだなぁ。というのが面白い。
 終演後、物販にいらっしゃったので思わず「素晴らしかったです!!」と言ってしまいました。
 ちなみに、右足にバンデージされてるなぁとは思っていたんだけど、どうやらけがをされていたようです。
 けがしてあの演技はすごいぜ…

・椎名鯛造くん
 お名前だけはずっと知っていたものの今回初見でした。
 いやー、この役で椎名くんデビューが出来たのは幸いかもしれない。
 驚異の肉体を持つ青年ということがよくわかりました。
 彼は「ピーターパンの影」の役。
 登場時から笑顔で跳んだりはねたり宙返りしたり、人の背中を借りてくるっと回ったり、
 めっちゃ軽やかに動き回っていました。
 こうくるんくるん動かれると身体を観察せざるを得ない感じになるんで、もうじっくり見ちゃいましたが、
 体に対して手が長いですね。あと、手のひらが大きいですね。動きやすそう。重力を感じない動きをしていた。
 この驚くべき身体能力が、「影」の特に前半の心がない感じ、自分の欲望を果たすために手段とか選ばなくて、
 怖いもの知らずで笑いながら残酷なこととか平気でしそうな雰囲気にはとってもよく合ってたと思う。
 後半の、動揺を覚えてからのところもよかった。
 わかりやすく言うと、はまり役だ!!

・唐橋充さん
 この3名がいわゆる主要キャストだったのですが、
 唐橋さんのフック船長もよかった。この人も初見でしたが。
 この人は、フェロモン大魔王ですね。
 もう1回見れるとするならば、このフック船長に一番感情移入してしまいそうだと思う。
 そしてきっとリピーターの中には、フック船長目当てで来ている人も多いと思う。

・女性陣
 ちょっと、今回ものすごくよかったなと思ったのは、
 女性キャストが素晴らしかったという面が支えている部分が大きいんですよ。 
 これ主要3名の男性キャストが、いかに「大人になるか」という点だけだったら
 ふつうの感動で終わっていたような気がするなあ。
 ウェンディとティンカーベル、ふたりとも大人になってしまった女のリアルな悩みと
 諦念と、覚悟と、みたいな感じのが心にぐさっと来た感じでした。
 ウェンディの川田希さんのお嬢さんだけどしぶとい感も好感だったし、
 ちょっと意地悪だけどお母さんになりフトコロの深さを兼ね備えたザンヨウコさんのティンカーベルは
 セリフが飄々としてて、でもなんか仕草に目線に愛情が詰まっており、それだけ見てて泣いてしまった。 
 いやー、すごいよかった。
 あとタイガーリリーの話もよかったす。肚が座っている。

・宮崎秋人くん
 そもそも今回の出演者の中で、見たことある人は彼しか居なかった。
 ペダステ箱学、新開さん役の宮崎秋人くんです。
 大人になってしまったネバーランドのこどもを好演してました。かっこいい。
 ちょっとあの人に似ている。セカイノオワリのボーカル。
 背中にぬいぐるみを背負っていたんだけど、たしかそれがウサギだったような気がするんだよね…
 違ったらゴメンナサイ。脳内補正でウサ吉にしていたら、ごめんなさい。
 衣装がめちゃかわいかった。

・客席にいる誰かは分からないが若手俳優っぽい人判別問題
 最後にどうでもいいことを書きますが、
 だいたいこういう、出演者に若手俳優がいるような舞台って、
 しかも特に平日公演なんかだと、
 客席にどうみても「あー、あの人もきっと若手俳優だな」という人がいるんですよ。
 今回も居ました。円形なんで、客席まる見えだし、もうすぐに見当付きますね。
 ポイントは ・黒ぶちメガネ ・細身 ・マスク、 あと ・キャップ です。
 顔隠し過ぎなのが異様なのと、隠れてない目が大きすぎたり鼻筋が整いすぎていたりするので
 なんか、わかります。
 でも、暗がりだとなかなか人物特定までいかないのが悔しいところです。
 ブログとか更新してくれるとわかるのだが。
 まあ人物特定しても特に追いかけたりしないので、こっそり心にしまって、
 「あの人的にはどういう見方をしてたのかなぁ」等と考えるのが楽しいです。


という感じであれやこれや書き散らかしてしまいましたが。すばらしかったです。

あの鮮やかに胸に焼き付くラストシーン。
椎名くんの跳躍力を全面に活かしてああいうことになったのかなぁと思うのですが、
なにもいうことないです。完璧です。
素敵なものを見せていただいてありがとうございました。という感じ。
あれを見てから、ホームページのデザインを見ると、そういうことだったのかと思います。

あまりに感動したので、パンフレットと合わせて脚本を買ってきました。
てか、脚本売ってくれるんだよ!? すごくないですか。このよく出来た舞台の脚本を… しかも1000円で。
ほんとにびっくりしました。少年社中さんはいつもこんなんなんでしょうか。みんな買いなよ!!
もしも、私が高校演劇部の顧問であったならば、
この脚本を買って帰って、すぐに生徒にコレをやってみたら? と薦めると思う。
まあ本読んでるだけでこの完成度のものが出来るかといわれればそんなことないし
演出と、とくに音楽と、あと衣装の効果もハンパないのですが。。。
この脚本を私はいったいどうしたらいいのかよくわかりませんが、
読みながらいろいろ思いに耽ってみたいと思います。


鈴木拡樹くんのこと

2014-07-09 | この人のこと

タレント名鑑の写真が見つけられませんでしたので
ブログの写真をお借りしました。
髪型がヘッドフォンが「あざとい」


鈴木 拡樹(すずき ひろき)
生年月日:1985年6月4日
身長:173cm
血液型:AB型
出身:大阪府
所属:オウサム
google検索件数:約 4,310,000 件
(2014年7月時点)


事務所プロフィール
本人ブログ


先日、小越くんについて書いたところ、ちょうどテニミュ前の時期だったこともあってか
これまでにない勢いでブログを見ていただいたようで、本当にビビりました。
みんな小越くんが大好きなんだね。もはや教祖様というか、ご本尊というか…
テニミュ、土曜日からですね! 本当に楽しみです。

それにつづく5人目、ということでどうしようかなーといろいろ考えていましたが、
今回は、鈴木拡樹くんについて書いてみようと思います。
D-BOYSの鈴木裕樹くんではございません。
拡大に樹木と書く、変わった名前のほうのすずきひろきくんについてです。
うーん、この人も熱狂的なファンが多数だ。というか、私の見渡せる範囲(かたよってはいるけどね)、
舞台系若手俳優に対して何かしら腕に覚えのある人(むしろ脛に傷持つ?)たちの間で、
彼を好かんという話をあまり聞いたことがない。それどころか、

“全然それまでこういった若手俳優を見たことなくて、
 たまたま連れられて観に行った友達が「最近好きな俳優ができた」と言い出したんで、
 誰かと聞いたら鈴木拡樹くんだったんですよ~”

と知り合いから聞くぐらいの殺傷能力の高さを誇る。
(ていうかなぜ私にその報告をしてくるのだろう)
メジャーな映像作品にほとんど出たことがないにも関わらず、彼がメインどころを張るチケットは大人気。
本人のSNS上でのパワーも凄まじいものを持っている。
写真付きのツイートをすればものすごい数のリツイートがされているのをよく見る。
2014年舞台系若手界きっての集客力を持つ、世に知られざる「売れっ子俳優」と言っても過言ではなかろう。

そんなわけでとにかく、市場からの飢餓感が強い感じがある鈴木拡樹くんなのだが、
彼のいったい何がそうさせるのだろう。
個人的に感じる彼の魅力は、「非現実感」これに尽きると思う。

鈴木くんは、先日29才になった男性なのだが、そのことがどうやっても信じられないような独特の雰囲気を持っている。
平たく言うと
「絵に描いたような、というか最近のアニメに出てくるような中世的な男性」そのものである。
とりあえずは見た目が、

「前髪をヘアピンで止めて、ゆるゆるのシャツにカーディガンをはおりスキニーパンツを履いている、眠そうな男」
「にっこり笑いながら『殺すよ?』という感じのセリフを言う細身の男」

などの妄想絵から飛び出してきたような風情で、ビックリする。というか、そのものだと思う。
ふつう、この年齢になってそういうものになりきろうとするとムリが出る。コスプレ感がある。
しかし彼の場合はまったくそういった雰囲気を感じない。ナチュラルである。
顔は図抜けてかっこいいとかものすごくハッキリしているとかいうのはないが、中性的で整っている。
そこはかとなく、歌舞伎の女形的な雰囲気がある。
ツボにハマる人には本当に、理想像が肉体をもってこの世にあらわれた、ぐらいの衝撃なのではないだろうか。

出演経歴を見ると、わりとアニメや漫画などの「原作もの」のキャラクターを演じて来た人である。
私の初見はこれもまた『戦国鍋TV』“信長と蘭丸”の蘭丸役で、若干不器用な踊りを見せつけつつ、
小姓役という女形的ポジションをそつなくこなしていた。
ただ、単に役にハマっているだけでは、ここまで人気は広がらなかったように思う。

ここがなにより大きいのだが、本人のパーソナリティとしても、なんだか全体的に浮遊感があるのだ。
写真ではつねに微笑んでいるし、集団でインタビューやトークがある時も、後ろのほうでいつもニコニコしている。
「俺が俺が」という感じはない。ホンワカとしている。
俳優仲間のインタビューでも「拡樹くんはよくわからない」と言っている人が多く、
ものすごく走り込む舞台の稽古時に、「一人だけ涼しい顔をして袖でカフェラテを飲んでた」という逸話が頭から離れない。
しかし飄々としすぎてクールなのかと言われればそうでもなく、まじめで熱いメッセージを語っているのもよく見かける。
一方、ツイートの定型フォーマットとして、上下にたくさん☆★マークをつける という謎のテンション感もある。

さらに正体不明さに拍車をかけるのが、「大阪出身なのに関西弁が出ない」という点。
大阪も堺市という、めちゃくちゃベタなところからやって来ているはずなのに。

『方言を使って親近感を得ようというのがもうダサい、姑息であると思っている』
『大阪弁を話す人=ぶっちゃける、やや下品、オモロいことを言う などといった
 ステレオタイプのイメージから一線を画したい』
『大阪弁を話した瞬間から、同様のキャラを持つ同世代同業者とのイメージ獲得争いになるので、それを避けたい』
『とくに何も考えていないが、大阪弁が出ない』


どれなんでしょうか。
(なんとなく、わたしは「とくに考えていないが」説を取りたいけど。)
このように、「お里が知れる」的なアプローチもなかなか難しい人物である。
そしてそんななか際立つ、「前歴が美容師だった」というエピソード。
これもこれで、ドリーム感をふくらませる要因になっていると思う。
あとはなんといっても、事務所のページの写真の写り方である。
外国人・子供タレントが数多くいる中で、突如現れる白いシャツの鈴木くん。この突然感が本当に面白い。
彼はどこから来たのか、どこへ行くつもりなのか。謎が膨らむ。
あらゆるもののなんともいえないアンバランスさも含めて、
人間というかキャラクターとして絶妙なバランスで現存しているように思われる。

そんなわけで、このように『リアルを感じさせない人物』として軽やかに存在する彼に、
我々は惑わされ翻弄されているのだろう。
いつほころびが見られるのか、いや、ある意味では常にダダモレだと言えるのかもしれないけれど、本当にそれしかないのか。
もっと何か、ドロドロしたものがあるのではないか。きっとあるはず!人間だもの!でもいったいどこに?
そのようにやや意地悪そうな目線のまま、気づけば見続けてしまうのだと思う。

こういう、「意味のない深読み」をさせる対象には、なろうと思ってもなれるものではないので、貴重である。
意図してやり続けると、「イタイ」「ぶりっ子」になってしまい、軽い嘲笑の対象となる。
人気も出ない。そのギリギリのラインをみごとに体現していると思う。
事務所の戦略なのか本人の特性なのか、たまたまそういうふうに進んできたキャリアのたまものなのかは不明だが、
鈴木くんが心の扉を開いているのかあんまり開いていないのかさえ、今ひとつよくわからない。
もちろん舞台俳優なので、舞台を下りたあとのことまで見せつける必要はないのだが、
好きで見ている方としては、自分なりに解釈してわかりたいと思うものだ。でもわからない。
わからないがゆえに、見に行ってしまう。
できるだけ、最新版を観察しようとしてしまう。
そしてまた、見れば見るほどにわからなくなっていく。
これがザ・「ハマる」というやつだと思う。技巧如何ではどうにもならないような、
こういう「とっかかり」を妙に感じさせる部分があるということで、大きな魅力のある人だと思う。

ちなみに、イケメン好き友達で、イケメンがプライベートで飲み食いしている画像を集めてばらまく
非常にフェチズムあふれるツイッターアカウントを運営している人がいる。
これもまた、本能に直結する「食」というものを通して、
隠されたパーソナリティが無意識のうちに食卓の上にこぼれ出していないか、
その瞬間を探ろうとする行動だと思われる。興味深い。(彼女は鈴木くんのファン)

で、面白いなと思っているのが、この現実味のない鈴木くんが、いま
「弱虫ペダル」という、身体性の極みみたいな舞台に出ていることである。
原作マンガの弱虫ペダルという作品自体にものすごいパワーがあるのももちろんなのだが、この舞台版は単体としてすごい。
演出があきらかに独特で、それ自体めちゃくちゃ面白く見る事ができる。
たぶんイケメン舞台という縛りで敬遠していると、本当に損をする演劇作品だと思う。
私も原作ぜんぜん読んでないまま何作かみて、ふつうに毎回演出に度肝を抜かれた上に感動して泣いている。
(その後我慢出来ずに全巻読んでしまったが。)

漫画原作のため、やはり結局デフォルメされた人物を演じているのだが、1点違うのが、
ピッチピチの服を着せ、自転車を漕ぐマイムをやらせ続けるところだ。汗をふりみだしながら走らせるのだ。
このギャップ。
触れられなかったリアルな側面に、ようやく到達したような気になる。「あー、生きてるなこの人も」という感じというか。
この舞台に出演している俳優はみんなこの恩恵を受けているのかもしれないけれど。
より「肉体」と「男性性」を感じさせる方向に向けて彼をキャスティングした人は天才だと思う。
ここで彼の新しい魅力が発揮されているのではないだろうか。
先ごろ発表になったが、秋には彼の主演版での最新作が上演されるそうで、これまたチケット争奪大戦争の予感である。
こうやって褒めてまわることでより一層激しい争奪戦になるような気もするが、まあいっか。

ということで、
こんなに文章を書いてみたのに、何か違う、まだいまいち迫りきれなかった気がするところが鈴木拡樹トラップである。
気づいたときにはかかっている。ご注意ください。


<「鈴木拡樹」これまでの鑑賞歴(舞台)>
・赤レンガライブ
・武士ロックフェスティバル
・サムライ挽歌
・舞台弱虫ペダル インハイ篇1日目
・舞台弱虫ペダル インハイ篇2日目
・眠れぬ夜のホンキートンクブルース


小越勇輝くんのこと

2014-07-03 | この人のこと

ホクロがチャームポイント

小越 勇輝(おごえ ゆうき)
生年月日:1994年4月8日
身長:168cm
血液型:O型
出身:東京都
所属:ATプロダクション
google検索件数:約 1,670,000 件
(2014年7月時点)


事務所プロフィール
本人ブログ

さて、来週からはいよいよ夏のテニミュですね。セカンドシーズン、ラストの公演。
私も、必死こいてかきあつめたチケットの束を握りしめて、もうすでにちょっと泣きながら開幕を心待ちにしています。
第4回目は、データによれば今この人を語りたい率100%、満を持しての現役王子様について語ってみたいと思います。

小越勇輝20才、職業俳優。
10歳も年が違うので、イケメンでときめくというよりは、すでに「すごい親戚の子の活躍を見に行く」のに近い感覚と言える。

私の初見はテニミュセカンドシーズンの六角戦 名古屋公演でした。
私はここが「テニミュ」との初接触だったわけで、やっぱりなんとなく「イロモノ」として観に行ったという部分もあり、
気持ち的にはじゃっかん引き気味なところもあったわけです。
まずこんなに客層が若い(若くないのもいるけど←私も)女の子ばっかりの演目に来たことがなかったし、
テニミュの演出のお約束も、そもそも原作自体も訳がわからず観に行っていたので。
テニミュ独特の世界観に終始圧倒されながらもその日は終演したのですが、舞台上で印象に残ったのが、主役の彼・小越くんでした。
細っこくて背もそれほど大きくないのに、センターに堂々と立ち、すごくピシッとしたキレのある動きをしてる!
そしてめちゃくちゃしっかりした(というか、えらく慣れた感じで)挨拶をしている!
どう見ても高校生ぐらいなかんじなのに… 
いや、もしかして若く見えるけど実年齢はめちゃくちゃ年いった妖怪俳優みたいなやつか!?とも一瞬思った。
パンフレットを見てみるも、地味にこれもびっくりしたんだけど、テニミュのパンフレットって誕生日は載ってるんだけど
生年はわかんないようになってるんです。(役のイメージもあるからかな)ますます高まる妖怪俳優疑惑。
あの謎の説得力のあるたたずまいが返す返すも印象的で、帰途「結局何者だったの!?」とすぐ携帯で調べたのを覚えております。
(そうか、やっぱ高校生か(当時)。。と納得した。
 でもあまりネット上に昔の情報がないんだ、この人… テニミュが主な出演作だから。)
というか、落ち着いて振り返ってみたらあの動きはわりと尋常じゃない感じがするんだけど、みんな(観客)これ普通に受け止めてる!?
マジか!すごくない!!? テニミュやべ!!意外すぎるけどレベル高!!!まじエンタメ!!!となって、その後私はテニミュ沼にハマっていきました。合掌。

小越くんの魅力といえば、とにかく「入れ物っぽさ」というところにあると思う。
彼は、16歳からテニスの王子様の主役をやっているのだが、
そもそもキャリアのスタートが子役だったりすることもあり、成長過程をすべて世の中に晒して生きている。
おそらく、もう物心ついたころから見られることが前提で生きているので、
露出することに対してスイッチの切り替えもくそもないし、黒歴史だ思春期だなんだかんだと、
中途半端に隠しだてするようなこともない。見たい人は見てくださいよろしく、といったような泰然自若としたものを感じる。
これって子役から出てる子を見てるときに、ちょいちょいある感覚です。

だって、ふつうはそんなことないものだと思うのです。
ある程度大きくなってから自分の意志で芸能人になるのって、人前に立って何かをやるのって、
もっと自己顕示欲とか、見栄とか、企てとか、優越感とか、なんかそういった人間味のある
ギラギラしたものを内包しているものだろうと思うんです。
いくら最近は有名人のハードルが下がったと言ったって、やっぱり芸能事務所に自分の身柄を登録するというのは
「ふつう」の人生ではありえない事態なので。
その過程がぜんぶ素っ飛ばされた状態で、気が付けば「前に出ている人」である。
「役を演じる」ことが、生活の中に自然にある幼少期。
これは面白いです。自分だったらどう思うだろうな。

そんな、自意識が無の状態から人前に出るような生活をしてきたとして、年頃になったら人間どうなるのか。
まぁもうきっぱり辞めるのか、なんとなく流されながらその状態に甘んじて適度にやるのか、自意識をもって挑戦していくのかという選択肢があると思いますが、
このあたりは、20才記念のフォトブックにインタビューが載ってたので、読んで「ほほぉ」と思ったのですが、
彼はある時点で自覚し、挑戦し続けていくことにしたわけです。仮面ライダーも決まり、そしてテニミュへ。

こうと決まれば、あとはもうこの無意識でやってきたということを地道に続けていくだけ、ということで
余計なものを削ぎ落して、役になりきることを考え続けて、ここまで主役を張ってきたわけです。(たぶんね。)
ひたすら同じ役をやり続けられるストイックさ、全力投球する秘めた負けん気、確実に磨かれていっている技術、
そして舞台上ではもう、出て来た瞬間に光るカリスマ性。すばらしい。
彼が演じ続けている「テニスの王子様」の主役・越前リョーマというのは、テニスの天才少年で
中学1年生ながらもあらゆる技を次々に会得し、迫り来る強敵を倒しまくっていく生意気野郎なのですが、
最終的に「天衣無縫の極み」という、テニスを自然体で楽しむ という基本にして至高の境地にたどり着きます。
この姿に、彼のイメージがほぼシンクロしてくる。
子供の頃から慣れ親しんだお芝居の世界で、ひたすら誰よりもやりこむことで輝きを増していく姿。
リョーマという役の入れ物として、小越勇輝という器は非常に相似形を感じさせます。
(後から意味付けしてストーリー化しているようで我ながらじゃっかん気持ち悪いですが、神話ってそういうものだぜ。)

ここまでの歴代リョーマ役の人たちの就任期間を見てみると、

<初代> 柳浩太郎/Kimeru/遠藤雄弥:約1年10ヶ月
<2代目>柳浩太郎/遠藤雄弥:約1年3ヶ月  …柳くんは休養の時期も含め足掛け3年ほどつとめている。リョーマの基盤を作ったんですね。
<3代目>桜田通:約1年
<4代目>阪本奨悟:約1年半
<5代目>高橋龍輝:約1年10ヶ月
※重なっている期間もあると思うので細かいことについては間違ってたらごめんなさいね。

ということで、2011年1月~2014年9月(そして多分その後なにかイベントもあるでしょう)で3年8ヶ月以上同役をつとめた経歴は圧巻。
さらに、昨年の氷帝公演中には、それまで最高出演回数を誇っていた兼崎健太郎くん(ファーストシーズンで、真田玄一郎役を演じた)
を抜いて「テニミュ最多出演俳優」となり、現在も継続出演中。“プリンスオブテニミュ”という称号をもらったようですが、
もう言うなれば「テニミュセカンドシーズン」というものの具現化、化身とも言えるわけで、
たとえそれが他の出演者推しの人であっても何十万人の観客が自分のテニミュの思い出を作っているのは小越くん越しの世界であり、
そういう意味でもすっごく「入れ物っぽい。」と思う次第です。器のでかい入れ物です。
どこまでたどり着くかわからないまま進んできたであろうファーストシーズンの成功と反省を踏まえて、
ゴールを見据えた上で計画的にスタートしたであろうセカンドシーズン。観客にとって、その一貫した姿勢の体現者であるのは間違いなく、小越くんです。
テニミュセカンドファンのすべてが、この夏の公演の最終日(千秋楽はもちろんプラチナチケットもいいところで、入手できませんでしたが)、
この長い道のりを完璧に走り終えた座長・小越勇輝をたたえ、その青春を捧げてくれたことへの惜しみない喝采を送ることを切に願っていると思う。
うっ、もうほんとに今から想像するだけで泣ける。

ただし、そんな状況の中でも本人は基本的に淡々としすぎているように見えるので、もはやちょっと不気味ですらある。
プレッシャーを感じさせない。ブラックホールみたいです。
ブログはあまり更新してくれないのと、するときはするけど内容は気まぐれ、アイドルのような写真が上がったり、
かと思いきや全身個性的なハイブランドで決めたご近所ショットが上がったり、と、なかなかに振り乱してくれる。
ちなみに彼は、自我を発散する方向を全力でファッションに向けているのかなという感じもする。服オタもよいところだ。
そうだとすれば、そこらへんは年齢に相応するものというか、執着という意味でのある種の「人間味」を感じて、良いなと思います。
恋愛したり遊んだり、人間生活も楽しんでくれているともっといいなと思うのですが。(ババア目線)

そういった、彼の謎の生態を上手くレポートしつつ、素の魅力を引き出して紹介してくれているのが
テニミュキャストの周辺の面々で、特に多和田くんや松岡くんの「小越大好き感」「果敢に小越アプローチ話」
見ているこっちも「ア…お金を払ったほうがいいかな…」とすら思うくらい、臨場感と新鮮な驚きを与えてくれるものです。
こいつらはほんとによく出来た奴らだな~ と思いながら、目頭を押さえつつブログ巡回をしている日々でございます。
本当に、親戚のオバハンが、
「勇輝くん、お友達とうまくやれてるのかしら」
という超どうでもいいお節介を焼いているのに対して、別に応えなくてもいいのに、
「おばちゃん、だいじょうぶやで。ぼくらきょうゆうきくんとかんけりしてあそんだんや。おもしろかった。ほらしゃしんもとったよ。」
とニコニコしながら教えてくれる、みたいな感覚です。
うーん、重症だ☆


今書いておきたいこととしては、
きっと彼のブログのヘッダー写真は、テニスの王子様が終わったのを区切りとしてリニューアルすると思う。
今の風貌とあまりにも違いすぎているし、さりとて切り替えるタイミングってなかなか他にないじゃないですか。
個人的には、20歳のバースデーのタイミングで変更するかなと思ってたけどもそれはなかったので、とすると次のタイミングはテニミュ卒業だ。
そんなわけで、幼さの残る小越くんを見たい方は画像をキャプチャしておくのが良いと思います。
(これ↓)



<「小越勇輝」これまでの鑑賞歴(舞台)>
この「テニミュ」のところに書きちらしまくってあります。

矢崎広くんのこと

2014-07-02 | この人のこと

髪型で顔まで変わってくるこの人

矢崎 広(やざき ひろし)
生年月日:1987年7月10日
身長:178cm
血液型:O型
出身:山形県
所属:トライストーン・エンタテイメント
google検索結果:約 147,000 件
(2014年7月時点)


事務所プロフィール
本人twitter

ランダムにいきます。超個人的・イケメン俳優列伝。でも今のとこ全員テニミュ経験者だなぁ。
今回は矢崎広くんです。
愛称は「ぴろし」。
彼は、いまこの人を主力推しとして追いかけるのも、すごく楽しめるのではと思わせる「役者」だ。

彼の所属事務所は「トライストーン・エンタテイメント」。
先輩に小栗旬、田中圭、綾野剛。後輩に間宮祥太朗、坂口健太郎
という、ピンポイントで時代を捉えた感じの若者を揃えたセンスを感じさせる事務所だ。
この字面の並びだけをじっと見ながらひとりずつの顔を思い浮かべるだけでも、
採用している人のビジョンが感じられる(気になってるだけかもしれんが)ところがすごい。
全員、パッと見は地味だけどポリシーが強くて、顔というよりスタイルやたたずまいがよい。
ブリブリとしたアイドル売りはしないながらも、本音言います的な秘めた男気演出に長けており、
草食っぽいんだけどガッツリ男な感じのところが共通点だと思う。うーん、トレンドっぽい。
(ここで、あっ、そうか、綾野剛がこないだBAILA(集英社)のCM出てたのって
 坂口健太郎がメンズノンノ(集英社)専属だったりするつながりもあるからかな…
 みたいな妄想をしてあそぶ私)
そんな中にいる矢崎広である。
彼には枠を設けない方がいいと思う。
「イケメン俳優」みたいな枠に置かず、自由にしてあげればあげるほどに羽ばたいていくような風情を感じる。

彼も初見は「戦国鍋」だった。シズガタケの七本槍(初代)の「ひらくん」なので、何気に初回から出ているのが、
最初のころの印象はあんまりなかった。
そして当時はまだ私もイケメン見分け技術が浅かったので、個体識別ができていなかった。
どこでこの人にはじめて「おっ」と思ったかと聞かれれば、「大江戸鍋祭」である。
この人、意外と愛嬌があるぞ?と。そして、「歌、うまくね?」(「松の廊下走り隊7」キラキラ KIRA Killersという歌を歌っていた)
あと、このときあたりではじめて金髪にしたのを見たような気がするのだが、
あれ?意外と、っていうかよく見たらめちゃくちゃ綺麗な顔してない? と。「あれ? あれ?」がたくさん生まれた2011年末。
そして「横浜赤レンガライブ」。横浜を武道館に仕立て上げたのはこの男の声だった。
さらに「イケメン八犬伝」。あれ?いちばん声出てない?そして美人じゃない??
「早乙女太一公演」。脇を固めてる!芝居で脇を固めてるわ!!キュン!!
そんなわけで、もはや見事ウォッチ対象の一軍メンバーである。

矢崎くんのプロフィールで感じ入るところとしては、「山形県出身」である。
私は「北から来た男」というフォルダをなんとなく、頭の中で作っている。
その中に入れておきたい者としては

・松山ケンイチ(青森県)
・三津谷亮(青森県)
・和田琢磨(山形県)
・渡部秀(秋田県)

などが挙げられる。古くは、ギバちゃん(柳葉敏郎)などがいる。
ちなみに、仙台がある宮城はちょっと都会なので、北国から来た男ジャンルから除外しておきたい。(本郷奏多くんなど。)
北海道も北国なんだけど、ちょっともうここは別の国扱い。どさんこはまたちょっと違った味わいがあるじゃないの。
似たようなカテゴリに「九州男児」というものもあるのだが、これもできれば福岡勢を除いておきたい。

要は『周辺部』ということだ。
こうしたところからエンタメ業界にやってくる人に興味がある。
なぜなら、絶対的な人数が少ないはずだからだ。
そして、こういう田舎から上京して人気者になる、というのは、なんだかんだ言って、結構なハードルである。
矢崎くんは、wikipedia情報によれば、高校を出ずに、芸能界に入るために上京してきたのだという。
実際のところどのような状況だったかはわからないので文字面だけ見て判断になるが、ものすごいハングリー精神だと思う。
15才の少年と、15才の少女がいたときに、すぐに商品になりやすいのは少女の方だろう。女は花開く時期が早いのだ。
それに対して男子はどうかな。アイドル以外のやり方で、どこまで売れるか。
矢崎くんはよく見ればとってもかっこいいけど、テニミュの役も「地味’s」だった。地味の役だ。
10代後半の時期にどんな仕事をやっていたのかはわからないけど、世の中には気づかれていなかっただろう。
でも、早めに気づかれて、消費されなくてよかったんじゃないかと思う。
その時期になにか、雌伏しつつも積み上げていたものがあったのではないだろうか。

そんなわけで、若竹のように、という時期はもはや逸しているかもしれないけれど、
彼は最近、いろんなものが一気に有機的につながって枝葉をバッサァと広げ、茂ろうとしているような転換の気配を感じる。
先日、デヴィッド・ルヴォーという有名海外演出家がやってきたときにあったワークショップ。
この公開ワークショップを受ける若手俳優の中に、矢崎くんの名前があった。
「こういうところに出てくるのか」と思った。本気だ。(ぜひ見たかった。)
そしていま、界隈で話題の演劇ユニット「なかやざき」。
「柿喰う客」の中屋敷法仁とのコラボレーションだ。
ちなみに、中屋敷くん(勝手にくんづけ。彼も同い年なので親近感を持っています。ごめんよ。)は、
バランス感覚のいい『翻訳者』的存在であると思う。
挑戦的なことをやるかと思えば、先輩作家たちと協業して、昔の名作を手がけたりする。
よく勉強しているんだと思う。
そして、もはやイケメン狂いとバカにはできないほど大きな財布を持ち、
演劇界をたしかにささえるわれら観客の“腐女子的”な感覚もどうやら、わかっている。
ということは、この池に投げた石がものすごい宝石になって戻ってくることは保証されているでしょう。

そんなわけで、ここからの矢崎広には、正直、期待しかない。
実はあまり生で見たことがないのだけど、単体の魅力として、私の中でものすごく高い俳優なのがこのぴろし氏なのだ。
これから出来るだけ見に行ってみたいと思っている。
とりあえずは「ジャンヌダルク」に行きたいなと思っています。秋だな。

<「矢崎広」これまでの鑑賞歴(舞台)>
■大江戸鍋祭
赤レンガライブ
里見八犬伝
神州天馬峡(早乙女太一公演)
る・フェア