スカーレット手帖

機嫌のいい観客

RENT1回目

2015-09-22 | 観劇ライブ記
9/20マチネ、ようやくRENTのマイ初日がきた。
高すぎる期待値とともにシアタークリエに参上つかまつった。

とりあえずの感想です。
映画版だけみて、観劇臨んでおります。


・村井マークの驚異的な「目地」感
 なんといっても村井くんを見なければ ということで手に汗握りしめて半年待っていたRENT、
 しみじみと思った。はまり役、というか「はまりポジション」なのだ。
 今回、彼は主役なんだけど、ぐいぐい前にでる主役ではない。
 地盤の村井、下地の村井。
 そう、さながら色とりどりのタイルをつないで調和させる「目地」のような働きを、
 マークだけではなく村井くん本人の安定感が自然に果たしている。
 演技も歌も、なんだかんだでやはり安定している。
 村井くんへの信頼感はいっそうますます高まるばかりだ。
 でも、まだ固い。まだまだ、弾けられるはずだと思うのよねー
 もっと自分から発光してもいいと思うのよ。まだ内部に蓄電してるよ。抑えているのではないか。
 キッチリしているから、もっと崩れてもよい。そんな村井マークを見つけにいきたい。

・モーリーンのクレイジー女っぷりに刮目
 映画版では高嶺のワガママ美女という印象がとても強かった雪の女王モーリーン。(演:イディナメンゼル様)
 今回の舞台では前衛演説シーンががっつり尺取ってあり、これがまったくヤバいなというパフォーマンスだった。
 翻訳のむずかしさもあるし、もともと寓意を込めた演説というところもあって意味わからないレベルが最上級。(褒めです)
 とにかくこのシーンでモーリーンの役がクレイジーなパフォーマーであることがすごくわかったし、
 RENTに集う「若手芸術家()」の世間からの鼻つままれ感もやむなし、
 ひいては、こんなクレイジーな女と付き合ってたマークは地味そうに見えてかなりのファッキンクレイジーだぞ。
 ということも感じられる、いいキレっぷりだった。
 そしてそんなモーリーンを演じる上木彩矢がすごくかわいい。
 クレイジーなのにキャワイイのだ。人の好さを感じる。
 パンク好きな大阪のギャルみたいだ。仲間のピンチに徒党を組んで助けに来てくれるレディースのヘッドみたいだ。

・Soweluパイセンの熟れっぷりがゴイスー
 とにかくどっちかというとミミが女王様だな、という感じのバランスだった。
 女である。色気がすごいのである。Sowelu。完熟食べごろである。
 若さの勢いでアブナイ橋もはしっちゃお!出逢いと恋を楽しんじゃお!ではなく、
 何もかもわかっている大人の女の凄みある迫り方、惑わせ方であった。19才(役の年齢)ではない。
 ソロナンバーのシーンなどは前列席に座る男性陣の血流がもれなく活発になるであろう熟れっぷりであった。

・ジョアンヌがうまい。
 しみじみうまいジョアンヌ。歌もうまい。小芝居もうまい。何をさせてもバランス良く出演者の中で一番うまくない?
 宮本美季さん、はじめて拝見しましたがすごい。
 「タンゴ・モーリーン」は必聴だ。たのしい。
 モーリーンとのバカップルっぷりが愛おしい。

・ロジャーのピュアさは一体…
 キャラクターもそうなんだけど、堂珍先生の若い頃と同じなめらかで清廉な声は一体…
 聞いてしまう。
 普段から舞台を見てると、だいたい「声を張れる人」が出ていて、音量でるけどハスキーな声質の人とか多いんですよね。
 そんな人の歌声は力強く、遠くまで響くのはいいんだけどよく聞くとちょっとガサガサーとしている。
 だから、堂珍氏の声の響きの、「つぶつぶのないなめらかな感じ」は集団で歌っていてもめだつ。
 聞いてしまう。ナイーブさを強調するいい声だ。声が財産ですね。顔も好みですけど。
 あと、演技が少しずつ少しずつ、うまくなっている。気がする。

・ロジャーにおけるミミってそんなにアマノウズメ感あったっけ というおどろき
 「引きこもり」感がとてもつよい堂珍ロジャー。
 何回も何回も誘ってこじ開けてひねくり出してくるSoweluミミ。ミミがっょぃ。
 セットがワンシーンで、扉を開けて出入りする音が大きいので妙に耳目がそちらにいくというのもあるのかなあ
 と思いました。

・エンジェルのバランスとは
 エンジェル、IVAN登板でした。
 みてる者(というか私)を「?!」という異世界に連れ込むパワーが半端ないIVAN、笑顔とかわいさが規格外だった。
 ただ突然ノンフィクションが展開されはじめたかのような危うさもあり、
 ミュージカルの抑揚というものとはまた違うリズムの人、という感じだった。
 緩急をつけたToday 4 Uがみたいので、平間くんに期待している。

・「ラヴィボエーム」は今後もっと盛り上がれるはず という期待
 ここもひとつのヤマ場。
 と同時に、翻訳物の難しいところでもあるなーと思った。
 すごい勢いあるなと思ったけれども、いやいやいやー
 もっともっともっと、イケるだろうよ、と思っている。
 『村井くんが女優の生尻を叩く』というおもしろさもあるのでどうぞ。

・泣きポイント「What You Own」
 seasons of love でなくこちらで落涙発生。
 引きこもりロッカーと出たがり映像オタク、どちらも夢を夢と捨てきれもせず
 好きなことで生きて行くためのシフトチェンジにもがいている時期の若者ふたりの
 決意表明ともいえる歌を、力強く歌うマークとロジャー。
 声が「しっかり(マーク・村井)」と「なめらか(ロジャー・堂珍)」なのでその掛け合わせの妙もあり、
 とてもよかったです。

  
おもしろかったが、
一方で全体的に、「まだ弾けられるはずだ」という気持ちが残った1回目であった。
まだまだここからだよー? いけるいける、もっとぶちかましていこうゼーイ、
というマネージャー気分での発破を心の中でかけていた。
まあ個人的に、映画で知ってたストーリーがどう展開するかをおさえるのに必死で、
原作ものと同じく、スタンプラリー的な見方をしてしまったのもあるかもしれない。
でも、スタンプラリー的な見方をしちゃうやつは、だいたい回数を重ねるごとに面白くなるから
次に期待し見つめ続けていこうと思っている。

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